UL、ドイツにおける再生可能エネルギー成功の概要を説明するリポートを公開(日本語版)

 ULは、同じブランドマークで知られ、アメリカ合衆国に本拠を置き、世界的な機器の機能や安全性に関する標準化を目的とした製品安全規格を策定し、同時に評価方法を設定、実際の評価試験を実施している企業です。
 そのULが、そのチーフエコノミストであるエリン・グロッシ(Erin Grossi)による、2015年、ドイツのエネルギー・エコシステムの現地調査の結果をまとめた「Putting the Pieces Together: Transition and Transformation in Global Energy Markets(さまざまな現象の断片をつなぎ合わせる:世界のエネルギー市場における移行と転換)」というリポートを公開しました。
 国内では、現在独メルケル政権とEU全体が直面している、政治および社会システムの困難な状況全体をもって、ドイツの再生可能エネルギーの重用、脱原発へと舵を切った手法全体を失敗だと決めつける話をする人もいます。また、再生可能エネルギーは原発を代替することはできないという、見当違いの話をする識者もいます。しかし、再生可能エネルギーの大量導入を口にしながら、実は優先接続などを最初に設定することこそがその導入の成功の秘訣であるというポイントを見逃している(または、意図的に無視している)現状においては、ドイツとアメリカの実証を得ての知見を国内に活かすための門戸の議論にさえ達していないと考えています。
 今回のエリン・グロッシ(Erin Grossi)のドイツにおける再生可能エネルギー成功の概要を説明する白書がこのタイミングで読めることは、そうした考えに一石を投じる意味でも意味のあるものです。

 そして、今回のリポートは、内容で比較されている独米の再生可能エネルギーの導入体制のリポートという意味だけでなく、福島第一原発事故を経験しつつ安易な原発再稼動に舵を切る日本人に向けてもいると考えています。その意味で、日本語版が同時リリースされたのだと考えています。
 ドイツの成功を表す言葉としては、

「..........規制当局、送電系統運用会社(TSO)、配電系統運用会社(DSO)、再生可能エネルギー供給会社は、世界で最も信頼性の高いグリッドシステムの一つであることを示す長年にわたる記録が、太陽光や風力のような再生可能エネルギー源が有する間欠性によって途切れてしまわないように協力しています..........」という一文をリポートの中から拾いました。そして、この過程、どの送電線をどんなエネルギーが流れているかを、知りたいと思えばだれでも知ることができるというエネルギー民主主義を実現する、ドイツのかつてない試みであると読み取りました。

 日本語リポートには、詳細な数字はあがっていません。誰でも読める18ページのパンフレットです。是非ダウンロードしてお読みください。
 同書では、増加が続く再生可能エネルギーのグリッドシステムへの導入におけるドイツと米国のアプローチの違いが述べられています。そして、特にバッテリーでの蓄電、インテリジェント・トランスフォーマ/インバータ、センサーとデータ分析並びにそれらに関する規格などの分野での、この二つの国の技術協力の可能性に光が当てられています。オバマ政権は、再生可能エネルギー分野への投資を確保して任期を終えようとしています。アメリカ合衆国の今後については、大統領選挙の結果しだいでは、違い選択をする可能性もあります。また、困難に直面しているメルケル政権の今後も不透明です。

 流動化する世界。そのタイミングで出されたこのリポートを味わって読むことにします。

 独米の体制の違いを同リポートは、以下のように表現しています。

 「二つの国の最大の違いは… ドイツ連邦政府が国内のエネルギー市場を転換すると決断したことである。」


プレスリリース / UL UL白書、ドイツにおける再生可能エネルギー成功の概要を説明、2016年2月12日
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-----image : 「Putting the Pieces Together: Transition and Transformation in Global Energy Markets(さまざまな現象の断片をつなぎ合わせる:世界のエネルギー市場における移行と転換)」カバー

" 世界的な安全科学組織であるULはこのほど、ドイツが送電網への再生可能エネルギーの供給量の増量に成果を上げるために何を行っているかを理解する目的で調査を実施した。この調査とその結果は、ULの首席エコノミスト、エリン・グロッシ博士によって書かれた「Putting the Pieces Together: Transition and Transformation in Global Energy Markets(さまざまな現象の断片をつなぎ合わせる:世界のエネルギー市場における移行と転換)」と題する無料の白書(http:bit.ly/1VVnTnx )から入手できる。 ..........  この白書のための調査には、現地調査およびドイツのエネルギー転換に取り組むエネルギー・エコシステム関係者とのインタビューが含まれている。ドイツは、原子力発電所を再生可能なエネルギー源に置き換えるという積極果敢な目標を設定することにより大きな経済的賭けをしており、グロッシ氏にとって非常に興味深いものであった。全体の再生可能エネルギーの使用量に関して、ドイツは2014年に30%の目標をパスしており、全国的に2025年までに40-50%、2050年までに80%に到達する計画である。

 グロッシ氏は「われわれは、なぜドイツが再生可能エネルギーにそのような重大な経済的賭けをするのか、なぜそれが最終的に成功するとドイツ政府が信じているのか、世界中の他の市場が貢献できること、それから学ぶものは何なのかを明らかにしたかった」と語る。

 同白書は、ドイツの環境上の見解と安全保障上の見解の間の全体的な相違、送電網の持続可能性を維持することにカミソリのように鋭い焦点を合わせていること、最新の工学的課題の幾つかを解決する仮想発電所の登場について説明している。しかし、同調査はまた、ドイツがそのエネルギー目標を達成するために対処しなければならない幾つかのエネルギー上の盲点があること、そして他の国々は、その克服に役立つイノベーションを与えることができると記している。

 グロッシ氏は「われわれが最終的に明らかにしたことは、ドイツが自身の変革の取り組みを進めるために最終的に必要とするであろうさまざまな技術は既にあるということである。アジアや他の市場の製造立国は、その取り組みを達成するのを支援することができる。われわれが注目した具体的なイノベーションは、電池による蓄電、インテリジェントな変圧器、インバーター、センサー、データ分析およびそれらに関連する規格である」と語る。

 同白書は、これまでよりももっと広がりのある、柔軟性に富んだ、スマート・エネルギーを擁した未来がこれからの10年間に開花し、発展途上国は中央集中システムを構築するよりもむしろこれらのシステムを利用するようになる、と結論付けている。なぜなら、今日の機械・電気工学と情報技術のリソースをもってすれば、それは現在、技術的に実現可能であり、経済的に実行可能であるからである。
..........
白書の全文は、ULのオンラインライブラリー(http://bit.ly/1VVnTnx )において各種言語でダウンロードできる。 
.......... "

関連
UL Whitepaper by Chief Economist Dr. Erin Grossi Outlines Renewable Energy Success With Power Grids in Germany & Potential Opportunities for Other Nations-----UL、January 21, 2016

UL Podcast - "Putting the Pieces Together

(UL CI Marketing、2016/02/01 )

UL Japan


参考

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東京ガス、田町駅東口で太陽熱集熱器や太陽光発電パネル、地下トンネル水を活用したエネルギー利用計画を推進

 東京ガスは、田町駅東口北地区Ⅰ街区で進められている開発プロジェクトにおいて、港区の公共公益施設、愛育病院、児童福祉施設の3施設に、熱と電気を効率的に供給する「スマートエネルギーネットワーク」を構築し、昨年11月1日から熱と電気の供給を開始しました。都市再開発エリアで「スマートエネルギーネットワーク」を構築するのは、日本で初めてとなるということです。
 具体的には、太陽熱集熱器や太陽光発電パネル、地下トンネル水などを利用、さらに万が一の災害時にも該当地域の重要な業務運営を担保するために、停電対応タイプのコージェネレーションシステムを導入、電力がストップした場合にも電気と熱の供給を継続できるシステムとなっています(BCP対応 : Business Continuity Plan)。
 情報通信技術(ICT)を活用し、エリア全体の需要情報を収集し各建物のエネルギー需給を最適に制御するシステム「スマートエネルギーネットワーク・エネルギーマネジメントシステム SENEMS」を導入することで、リアルタイムでの空調制御やエネルギーの見える化しています。
 太陽熱集熱器により地域に熱を供給する事業は、夏は冷房、冬は暖房に活用。この大規模な太陽熱集熱パネルは、歩行者デッキの屋根面に設置する事で、来訪者が見ることができ、エネルギーの「見える化」が図られています。
 地中熱の利用としては、年間を通して温度変化の少ない地下トンネル水の温度特性を活かし、夏は冷房、冬は暖房に活用します。
 地域内に設置された太陽光発電システムの発電電力が天候等による変動は、ガスエンジンコージェネレーションシステムで補完され、商用電力系統への影響を最小限に留めることができます。

 地域の拠点に対して熱と電力を系統とは共存しながらも、依存を減らすことでマイクログリッドのより統合されたモデルとなる可能性を感じさせるプランです。
 将来的には、隣接地域にも第二スマートエネルギーセンターを設置し、先行する本センターと連携することで、田町駅東口北地区全体で、約45%のCO2削減を目指すとしています。


プレスリリース / 東京ガス、平成26年11月4日
田町駅東口北地区 Ⅰ街区において、スマートエネルギーネットワークを構築し熱と電気の供給を開始

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-----image(”上-本センター外観 、下左-太陽熱集熱パネル、下右-地下トンネル水配管”) : 同リリースより-----
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" 日本初 都市再開発エリアにおけるスマートエネルギーネットワークの構築

 東京ガス株式会社(略、以下「東京ガス」)と東京ガスの100%出資子会社である株式会社エネルギーアドバンス(略、以下「エネルギーアドバンス」)は、このたび、環境性に優れ、防災に強いまちづくりに貢献するため、田町駅東口北地区のⅠ街区(東側エリア)に設置した第一スマートエネルギーセンター※1(以下、「本センター」)を中心に、港区の公共公益施設、愛育病院、児童福祉施設の3施設に、熱と電気を効率的に供給する「スマートエネルギーネットワーク」※2を構築し、11月1日から熱と電気の供給を開始しました。都市再開発エリアで「スマートエネルギーネットワーク」を構築するのは、日本で初めてとなります。
 今回構築した「スマートエネルギーネットワーク」では、太陽熱集熱器や太陽光発電パネル、地下トンネル水などの再生可能エネルギー、未利用エネルギーを積極的に活用することで、省エネ、省CO2を実現します。また、BCP対応として、停電対応タイプのコージェネレーションシステムを活用し、系統電力がストップした場合にも電気と熱の供給を継続します。さらに、情報通信技術(ICT)を活用し、エリア全体の需要情報を収集し各建物のエネルギー需給を最適に制御するシステム「SENEMS」※3を導入することで、リアルタイムでの空調制御やエネルギーの見える化を可能にします。
 これらにより、1990年基準と比べてCO2排出量を約45%削減※4することを目指すとともに、防災に強いまちづくりに貢献します。
 将来的には、田町駅東口北地区のⅡ街区(西側エリア)の開発に合わせて、Ⅱ街区に第二スマートエネルギーセンターを設置し、先行する本センターと連携することを予定しており、田町駅東口北地区全体で、約45%のCO2削減を目指します。
 なお、本スマートエネルギーネットワークの運営は、エネルギーアドバンスが実施します。

 東京ガスとエネルギーアドバンスは「チャレンジ2020ビジョン」で掲げた、地域全体でエネルギーを賢く使う「地域のスマート化」を本地区で具現化し、他の地域への展開を積極的に行ってまいります。

今回構築するスマートエネルギーネットワークの特長
 (1)再生可能・未利用エネルギーの積極的な活用
 地域に熱を供給する事業として初めて、太陽熱を夏は冷房、冬は暖房に活用します。大規模な太陽熱集熱パネルを歩行者デッキの屋根面に設置する事で、来訪者への「見える化」も行います。
 地域内に設置された太陽光発電システムの発電電力が天候等で変動するのをガスエンジンコージェネレーションシステムで補完し、商用電力系統への影響を最小限に留めます。
 年間を通して温度変化の少ない地下トンネル水の温度特性を活用し、夏は冷房、冬は暖房に活用します。
..........
(2)コージェネレーションシステムの活用等によるエネルギーセキュリティ向上
 停電対応タイプのガスエンジンコージェネレーション、業務用燃料電池等を活用することで、停電等の非常時にも中圧ガス供給が継続する限り、熱・電気の供給を部分的に継続し、防災拠点となる公共公益施設や病院におけるエネルギーセキュリティの向上を図ります。
 非常時には、熱は愛育病院に供給し、病院の最大熱需要が継続しても、72時間は確実に供給することができます。電気は、公共公益施設で非常時に必要となる空調・照明用電力に対して供給することができます。
将来的には、田町駅東口北地区のⅡ街区に設置予定の第二スマートエネルギーセンターと、本センターを連携することで、相互補完機能の強化を図ります。

(3)情報通信技術(ICT)を活用した建物利用者と本センターとの連携、最適制御
 建物の需要情報や本センターの供給情報、気象状況といった膨大な外部情報等を瞬時に収集・分析し、人には難しい最適なコントロールをリアルタイムで実施することで、地域全体のエネルギー需給を一括管理・制御するシステム「SENEMS」を活用します。地域全体の省エネ・省CO2を実現するため、本センターから需要側の建物の空調設備の設定温度を変更したり、供給側の設備の供給温度・圧力や運転状態を変更したりする等、常時最適な需給調整を実施します。

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 田町駅東口北地区におけるスマートエネルギーネットワークのイメージ
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※1:公共公益施設内に設置。 ※2:ガスコージェネレーションと再生可能エネルギーや未利用エネルギーを組み合わせ、これを情報通信技術(ICT)により最適に制御し、効率よく熱や電気を供給することで、省エネルギーとCO2削減を実現するシステム。 ※3:スマートエネルギーネットワーク・エネルギーマネジメントシステム。 ※4:1990年当時に同様の施設整備を行い、エネルギー供給は集中プラント方式を採用し、再生可能エネルギー等は利用しない場合のCO2排出量との比較。CO2排出係数はコージェネレーションにより削減される系統電力の係数として0.69kg-CO2/kWhを使用。 ........... "

関連
・東京ガス : 事例から探す 4.田町駅東口北地区
Case_case04_img02
-----image : 上記サイトより

・エネルギーアドバンス : スマートエネルギーネットワーク
 - 事例:田町駅東口北地区
Senams
-----image : 上記サイトより

"..........
田町駅東口北地区では、港区の「田町駅東口北地区街づくりビジョン」(平成19年10月)に基づき、エネルギーの面的利用や未利用エネルギー等の活用を行ったスマートエネルギーネットワークを構築し、 1990年比で45%のCO2削減を目指し、官民が連携し環境性・防災性に優れた複合市街地を形成します。
第一段階として、平成26年度から港区の公共公益施設などに順次エネルギー供給を開始する予定です。 なお、本プロジェクトは取組の先進性が評価され、国土交通省の「住宅・建築物省CO2先導事業」に採択されました。

建物とスマートエネルギーセンターの連携
.......... "

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日立とABB、国内の長距離送電&再エネ対応など高圧直流送電事業 HVDC で合弁会社を設立

 日立とスイスの電力および電機大手のABBは、電力自由化および再生エネルギーの大量導入時代を迎える(?)わが国の電力市場への対応として、東京を拠点とする新会社を新たに設立し、ABBが得意とする高圧直流送電(High Voltage Direct Current : HVDC)事業の合弁会社を設立すると発表しました。
 ABBのHVDC技術は、大陸間にわたるような長距離の高効率送電網整備計画から、洋上風力発電所と陸や都市、大規模太陽エネルギー発電設備と電力網の統合などの計画に欠かせない技術として、欧米の電力網整備計画に登場してきました。特に直流の変圧と遮断には高い技術を擁するABBのシステムを国内に展開するビジネスとして注目されます。出資比率は日立51%、ABB社49%となる予定です。

 ABB社のCEO ウルリッヒ・シュピースホーファー氏は、リリースに寄せたコメントで、
「ABB社は、60年前にHVDC技術を開発し、常に革新の最先端を担ってきました。世界中のHVDC設備の約半数に携わり、HVDCのすべての主要機器を自社で開発、製造する能力を持つことで、この業界のリーダーとしての地位を築いています。今回、高い評価と、日本市場で100年以上の豊富な経験を有する日立とこのパートナーシップを築いていくことを誇りに思います。両社それぞれの強みを補完し合い、日本の電力インフラ改革を共に支えていきます。」と述べています。
 まさに、日本の電力システム全体が再生可能エネルギーの大量導入には、まったく対応できていないことが露呈し、接続保留問題に揺れるわが国において、海外のすぐれた技術だけの導入ではいかんともしがたいほどの惨状ですが、電力の自由化、再編という流れが健全に行われるのであれば、まずは”その電線に流れる電力の名と量と質”をリアルタイムに計測し、制御する技術が必要となり、その大動脈としてHDVC送電の技術が生きることになります。


プレスリリース / 日立、2014年12月16日
日立とABB社が日本の高圧直流送電事業で戦略的パートナーシップ関係を構築

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-----image(”上-HVDC活用例、下-HVDCのしくみ”) : 同リリースより-----
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" 日立の国内市場での強力な地盤とABB社の先端技術を結集した合弁会社の設立により日本の電力システム改革に貢献

 株式会社日立製作所(略/以下、日立)とABB Ltd(略/本社:スイス連邦/以下、ABB社)は、本日、国内向け高圧直流送電(High Voltage Direct Current、以下、HVDC)事業の合弁会社を設立することに合意しました。新会社は東京に拠点を置き、日立が主契約者として受注する日本国内のHVDCプロジェクトに、ABBの最新技術を導入し、直流システム部分の設計からエンジニアリング、機器供給などを一括で請け負い、アフターサービスも行います。
 両社の出資比率は日立51%、ABB社49%となる予定です。今回の合意は、日立とABB社が日本の電力システムの改革に貢献するための戦略的パートナーシップの第一歩となります。今後、日立とABB社はさらに関係を強化し、協業の範囲を拡げることを検討していきます。
 日立とABB社は、それぞれの取締役会による機関決定ならびに必要な承認などを経て、今後数ヶ月での合弁会社設立をめざします。
..........
HVDCとは、二つの電力系統間で送電するためのシステムです。送電側の電力を、交流から直流に変換した上で送電し、受電側の系統では交流に戻して電力を使用します。電気的な損失や設置面積、建設コストを低くすることができるため、長距離送電の用途に最適です。また、周波数が異なり直接交流で接続できない系統の連系にも適しています。

グローバルでのHVDC市場は、1970年代より他励式HVDC*1による多くのプロジェクトがある一方、2000年頃より、新技術である自励式HVDC*2の開発が進んできました。特に近年は再生可能エネルギーの連系における利用に注目が集まっており、系統安定化のメリットも大きい自励式HVDCの新たな設置ニーズが増加しています。自励式HVDCは、地中や海底などの長距離にわたる送電や電力系統の相互接続以外にも、幅広い分野への適用が増加しています。具体的には、陸上の大規模再生可能エネルギー発電、洋上風力発電との連系や、本島から離島への電力供給、海洋石油・ガスプラントや設置面積が制約となる都市の中心部への電力供給、海を隔てた2国間の相互接続などがあります。適用分野を問わず系統連系規定に準拠し、強固なネットワーク接続を確かなものにします。

日本では、2006年までに9つのHVDCプロジェクトがあり、それらは全て他励式によるものでしたが、今後は再生可能エネルギー導入の拡大や電力システム改革を背景に、送電系統の広域連系や洋上風力発電との連系など、自励式HVDCの需要が高まることが見込まれています。

 日立は、日本で設置された全てのHVDCプロジェクトに参画してきました。高い信頼性が求められる日本国内において、技術開発やプロジェクトのとりまとめを通じ、世界トップクラスの高稼働率*3を維持してきたHVDCに貢献してきました。

 ABB社は1954年にスウェーデンで世界初の商用HVDCを納入し、1990年代には自励式技術(HVDC Light)を世界で初めて導入しました。ABB社は同技術で他にも多くの世界記録を打ち立てており、これまでに約100のHVDCプロジェクトに携わり、累計1億2,000万キロワット以上を設置してきました。これは世界で納入されているHVDCの約半分に相当します。ABB社のHVDC Lightは自励式技術の中で最先端のものであり、自励式HVDCの納入実績でも世界の完工済みの15サイトのうち14サイトを手掛けるなど、圧倒的な実績を有しています。

 新たに設立する合弁会社は、日立のもつ営業ネットワークやプロジェクトマネジメントでの知見、品質保証プロセス、これまでの納入実績と、ABB社のもつ最先端のHVDC技術やグローバルでの納入実績を結集し、日本の電力システム改革に貢献していきます。

*1他励式HVDC*1 : オフの際に通過電流をゼロにする必要があるパワー半導体デバイス(サイリスタ)により変換機を構成する方式。1970年以降の主力方式であり、多くの稼動実績がある。システム構成が簡素で技術的にも成熟しているが、設置にあたっての電力系統への制約が多く、無効電力補償などの系統安定化の対策が必要となることもある。
*2自励式HVDC*2 : 任意の時点でオン/オフの切り替えが可能なパワー半導体デバイス(IGBTなど)により変換機を構成する方式。設置にあたっての電力系統への制約が少なく、無効電力の供給など系統安定化のメリットも大きい。系統安定化対策が不要であるため、HVDCの全体構成を他励式に比べ簡易化することが可能である。
*3CIGRE(国際大電力システム会議) 「A Survey of the Reliability of HVDC Systems」などにより報告されている。
..........
HVDCシステムとは、二つの電力系統間等で送電するためのシステム。送電側において交流を直流に変換し,直流で電力を送電する。受電側では直流を交流に変換して電力を使用する。

*1ガス絶縁開閉装置(GIS)
発電所でつくられた電気を需要家(家庭や工場等)に送り届ける中継地点の変電所や開閉所に設置されており、回路の電流を開閉・遮断する遮断器、回路を電気的に隔離し電圧を開放する断路器などで構成される。これらの機器と線路を1つのガスタンクに収納し設置面積をコンパクトにしたもの。
*2電力用パワーエレクトロニクス(変換用変圧器、交流・直流変換器など)
パワー半導体などを用いた交流⇔直流変換器などにより、電力の流れの制御、電力品質の改善や系統安定化などを行う技術。高圧直流送電は、系統の交流電力を変換器で直流化して送電する。
.......... "

関連
日立とABB社が日本の高圧直流送電事業で戦略的パートナーシップ関係を構築-----ABB、2014/12/16
- ABB and Hitachi to form strategic power grid partnership for HVDC in Japan-----ABB,Dec. 16, 2014

日立がスイスABBと送電事業で日本に合弁設立、国内電力改革で-----ロイター、2014年 12月 16日


参考
ABB、日本でソーラー向けソリューションを展示-----ABB、2011-02-23

"新製品、世界初の1,000ボルト 直流ブロックコンタクタ、ならびに包括的なソーラー向けソリューションを発表

GAFコンタクタは、世界で初めて、最大2,000アンペア、直流1,000ボルトの開閉を可能にしたブロックコンタクタ.........."

ABB、世界最強の超高圧直流変圧器を開発-----ABB、2012-07-03

"超高圧直流送電用コンバータ変圧器は、100万ボルト超の電圧で、高効率と信頼性を実現し、より大容量の電力をより長い距離にわたって送電します。"

ABB、テキサスの電力系統の安定化をサポート。 6,000万米ドル相当の直流送電設備を受注-----ABB、2012年8月29日

ABB、高効率の太陽光発電システム設置 静岡県の自社拠点に-----日本経済新聞、2012/9/22

".....750ボルトの高電圧直流に耐える機器を組み合わせ、システム内の電力ロスを従来に比べ3割以上低減....."

ABB、100年来の電力の難問を解決-未来の直流送電系統を実現する新技術-----ABB、2012年11月7日

".....長年にわたる研究の結果、ABBは直流送電(HVDC)向けの世界初となる直流ハイブリッド遮断器を開発しました。 この遮断器は、非常に高速なメカニズムとパワーエレクトロニクスとを融合させ、大規模発電所に相当する電力の流れを、5ミリ秒(1000分の5秒)以内に遮断することができます。 これは人間の瞬きの30倍の速さに相当します。

このブレイクスルーは、直流送電系統の発展における100年来の障壁を取り除くものであり、これにより再生可能エネルギーの効率的な導入および融通を可能にします。 直流送電系統はまた、系統の信頼性を高め、現存の交流系統の送電可能容量を拡張します。 ....."

ABB、島嶼の再エネ電力を北米本土に送る高圧直流送電設備を受注-----TechOn!、2014/07/14

".....スイスABBは7月、カナダの東海岸にあるニューファンドランド島の電力網と、北米大陸の電力網を結ぶ送電技術として、同社の高圧直流送電(HVDC)技術が採用されたと発表....."


コメント続き
 総合統合技術としての電力網制御。一つの電線の中を流れる、電力の量と出自だけでなく、リアルタイムに需給応答を行う技術を備えた電力網。それが技術としてどんなものであるのか? ということより、誰のための技術なのかという質を問うことができるだろうか?
 ABBの電力統合ビジネスの顔は、日本でどんな容貌なのかな?

ABB : HVDC Grid - Power T&D Solutions
Abb_dc_grid_con
-----image : 上記サイトより

"A 100-year-old engineering puzzle is solved opening a new era for the HVDC super grid with the arrival of ABB's hybrid HVDC breaker"

・Twilog @greenpost : #HVDC

続きを読む "日立とABB、国内の長距離送電&再エネ対応など高圧直流送電事業 HVDC で合弁会社を設立"

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NEC、100万台以上の蓄電池を制御しリアルタイム需給調整を実現する技術を開発

 NECは、地域内に分散して設置された家庭用や設備用、そして電気自動車の蓄電池を、クラウドから充放電制御し、需要側の電力制御(デマンドレスポンス : DR、需給応答)を行うことを可能にし、リアルタイムな電力需給調整を実現する「仮想統合制御ソフトウェア」を開発したと発表しました。このソフトウェアで管理できる蓄電池の数は、100万台以上に及ぶとのことで、人口規模で数百万人が住む地域を対象とすることができます。
 さらにこのソフトウェアは、自動デマンドレスポンス(ADR)の最新規格OpenADR2.0bに対応し、工場やビルなどの大口需要家だけでなく、複数の異なるアグリゲータ等が管理する蓄電池との連携による電力需給調整も可能になります。OpenADR2.0b規格は、企業や家庭等の電力需要を自動的に制御する「自動デマンドレスポンス」(ADR)についてOpenADRアライアンス(国際標準規格策定)が2013年7月に策定した最新のものです。これらの技術により、電力会社・企業・家庭などの多数の蓄電池が連携し、既存の電力系統と同等レベルの電力需給調整が可能な、次世代電力システムが実現するということです。

 リアルタイムに需給応答(DR)を用いた電力需給調整が可能であることは、今まさに問題になている、導入が進み、再生可能エネルギーがある程度まとまってきたこのタイミングで発生している、接続保留問題や再生可能エネルギーの将来の導入量を計る議論の中で、その必要性が指摘されているものです。残念ながら、今の電力関連の制度や政治的な決定、そして運用は、再生可能エネルギーの大量導入社会を可能にするという方向性にはなっていません。そのための議論を正々堂々と行ってこなかった、安倍政権のこの2年では、先の見通しがたっていないのです。
 今回、NECが実現したとしている技術が、実際の社会で使われ、その有効性が評価される機会が”的確に用意”されさえすれば、現在生じている規模の再生可能エネルギーの導入軋轢は数年で解決可能だと考えています。問題は、次代のエネルギーを我々が議論できるか、決定していけるのか? というそれ以前のプロセスです。
 選挙を前に、文章が長くなってしまいました。


プレスリリース / NEC、2014年11月13日
NEC、住宅やビルなどに設置した100万台以上の蓄電池を制御し電力系統と同等レベルのリアルタイム需給調整を実現する技術を開発

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-----image(”提案する次世代電力システムの模式図”) : 同リリースより

" 多様な蓄電池を用いたデマンドレスポンスで、次世代電力システム実現へ

 NECは、住宅やビル等に分散して設置された100万台以上に及ぶ多数の蓄電池や電気自動車(EV)の蓄電池をクラウドから充放電制御し、需要側の電力制御(デマンドレスポンス:以下、DR)を行うことで、電力事業者が、既存の電力系統と同等のリアルタイムな電力需給調整を実現する「仮想統合制御ソフトウェア」を開発しました。

 今回開発した「仮想統合制御ソフトウェア」は、多数の蓄電池制御において、発電所が最短秒以下の単位で電力需給調整を行う「ガバナフリー制御」(注1)や「負荷周波数制御」(注1)といった、既存の電力系統と同等のリアルタイムな電力需給調整機能を実現します。また蓄電池の劣化特性を考慮しながら適切な配分で充放電が可能なため、約2倍となる蓄電池の長寿命化を実現します。 さらに本ソフトウェアは、自動デマンドレスポンス(ADR)の最新規格OpenADR2.0b(注2)に対応し、工場やビルなどの大口需要家だけでなく、複数の異なるアグリゲータ等が管理する蓄電池との連携による電力需給調整も可能になります。
 これらの技術により、電力会社・企業・家庭などの多数の蓄電池が連携し、既存の電力系統と同等レベルの電力需給調整が可能な、次世代電力システムの実現に貢献します。
..........
背景
 2012年7月に始まった「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」(注3)を契機として、今後、太陽光や風力等の再生可能エネルギーの大幅な導入拡大が見込まれています。再生可能エネルギーによる発電は天候に依存して発電量が急激に変化するため、導入拡大には、発電所の電力需給バランス調整機能の補強が必要です。多数の需要家の蓄電池を制御し、電力需給調整を行うリアルタイムDRは、本調整機能を補強する有望な仕組みの一つといえます。
 リアルタイムDRでは、再生可能エネルギーの活用時に求められる電力需給バランスの変動に合わせて、需要家の蓄電池の充放電をクラウド上のシステムから自動で制御します。このとき発電所の機能を補強するために、「ガバナフリー制御」や「負荷周波数制御」といった電力需給調整機能の実現が求められてきます。一方、蓄電池は頻繁な充放電を繰り返すと、蓄電池の劣化が早まる可能性が高まるため、蓄電池の劣化スピードを低減しながら、多数の需要家の蓄電池を最適なタイミングで制御する技術が求められます。
..........
1. 既存の電力系統と同等の電力需給調整を実現
 1.  NEC独自の階層協調制御システム(注4)上で動作する「仮想統合制御ソフトウェア」を開発。クラウド側から、蓄電池の状態を集中管理。需給変動の不規則性を需給調整機能毎に把握し、充放電の最適分配処理を行う技術により、発電所の機能である「ガバナフリー制御」と「負荷周波数制御」の電力需給調整機能を、同時に実現する独自のソフトウェア(アルゴリズム)を開発。
 本アルゴリズムをクラウド側、及び需要家の蓄電池側に搭載することで、分散する多数の蓄電池を活用でき、より大容量のリアルタイムDRを用いた電力需給調整を実現。

 2.  新たに蓄電池の状態に依存する劣化特性に応じた充放電制御を実現。これにより、約2倍の蓄電池長寿命化を実現しながら電力需給調整が可能。

2. OpenADR2.0bに対応し、様々なアグリゲータが管理する機器に対応
  自動デマンドレスポンス(ADR)の最新規格である、OpenADR2.0bに対応。本規格に対応した多様なエネルギーマネジメントシステムとの連携が可能になり、従来からの大口需要家に加え、複数の異なるアグリゲータ等が管理する小口需要家、及び蓄電池や多様な機器を対象にしたリアルタイムDRが可能。
..........
(注1) ガバナ・フリー制御や負荷周波数制御とは、電力系統の周波数の安定維持に必要な発電所の機能であり、ガバナ・フリーは、秒以下程度の極短周期の変動の調整を、負荷周波数制御は、数秒から分程度の短周期変動の調整を、分担する。

(注2) 企業や家庭等の電力需要を自動的に制御する「自動デマンドレスポンス」(ADR)についてOpenADRアライアンス(国際標準規格策定)が2013年7月に最新版「OpenADR2.0bを発表。クライアントのVEN(Virtual End Node)は、サーバーの役割であるVT(Virtual Top Node)からの節電要請を受けて、節電応答(デマンドレスポンス)を実行する。OpenADRの2.0bはVTN-VEN間のメッセージ処理、及び各種管理機能を標準化したものである。NECエンジニアリングは、2013年12月に2.0bVEN、2014年3月に2.0bVTNのフルスペック対応のソフトウェア認定を取得。

(注3) 再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電力を、国が定める固定価格で一定の期間電気事業者に調達を義務づけるもの。調達された再生可能エネルギーの電力は、送電網を通じて需要家が普段使う電力として供給される。そのため、電気事業者が再生可能エネルギー電力の買取りに要した費用は、電気料金の一部として、使用電力に比例した賦課金という形で需要家が負担することになっている。

(注4) クラウド側の制御と蓄電池側の制御の2階層で構成される制御システム。クラウド側の制御では、電力需給調整に必要な電力量と各蓄電池の情報に応じて、十数分間隔で各蓄電池に充放電の分担を割り当てる。蓄電池側では、収集・計測できるリアルタイム情報を用い、充放電分担に応じて、秒程度以下で充放電を制御する。
.......... "

参考
NEC、住宅内のエネルギー計測機能と家電制御機能を一体化した「エネルギーマネジメントユニット」を発売-----NEC、2014年11月5日
- エネルギーマネジメントユニット


コメント続き
 GEのリアルタイムに電線内を流れる電力の量と”内容”を測定し把握するシステムを参考にあげておきます。今後日本でも、同様なシステムの開発が進むか、GEやシーメンスのシステムを導入し、電線の中身をリアルタイムに把握し、需給調整を行うことができるシステムを私たち消費者が有利な形で手に入れる必要があります。
 すべての技術には顔があるということです。顔を選ぶ必要があります。

参考2
・GE : Digital Energy Communications : Industrial hardened communications - Pressroom

・Siemens : Integrated Smart Grid Solutions for the digital era

・Twitter : digitalgrid

続きを読む "NEC、100万台以上の蓄電池を制御しリアルタイム需給調整を実現する技術を開発"

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エナリス、10kW東芝SCiBバッテリーシステムを10,000台注文。DR運用へ

 新電力としての展開など再生可能エネルギー関連事業に取り組むエナリスは、東芝のSCiBバッテリーシステムを10,000台注文し、今後数年かけて需要家(公共機関や事業者向け。同社の電力代理購入サービスのユーザーを対象)にバッテリーマネジメントを提供するということです。東芝SCiBバッテリーシステム1基あたりの容量は、定格出力容量が10kW、蓄電池容量は9.9kWhとなります。これが1万基、単純に考えると、合計100MWhの蓄電池システムが分散配置されることになります。
 これらの蓄電池は、需要家(ユーザー)に格段に安価な初期費用で設置提供され、遠隔で充放電制御されます。エナリスは、需給応答サービスの調整役としての蓄電池運用事業に早期に取り組むことで、新電力の需給管理代行業務の新規事業の裾野を広げるとともに、最近問題となっている電力会社における接続保留問題に端を発した、再生可能エネルギーの固定価格買取制度、ならびに導入計画の見直し議論に向けて、エネルギー関連事業者としての解法を模索することになります。

 エナリスが考えるバッテリーマネージメントシステムは、
アグリゲータが、 WHO
蓄電池を需要家に設置し、遠隔で充放電の管理を行うことで HOW
太陽光発電により春夏の発電量>需要量となるときや、通勤時間帯や帰宅ラッシュ時などの需給バランスが不安定なときに WHEN
需要側において WHERE
エネルギー需要を最適化すること WHAT
 とリリースで表現しています。1万基がどのような状況でどこに配置されるのかなど不明な点が多いですが、合計100MWhの蓄電池システムによる、有効な再生可能エネルギーのピークシフト効果を発揮し、かつ補填をする需給応答サービスの実験は意義のあるものです。

 スマートジャパンの記事によると、1万台に投じられるのは250億円。そして、需要家は数千円の月額料金で、蓄電池を導入でき、拠点あたり、3~5%の電気料金を節減できると予想しているとのことです。全体のビジネスとして、どのように成立するのか? 投資回収のノウハウも含めて、運用が成功しなければ利益はでないはずです。いろいろな意味で、タイミングも含めて興味深い試みです。

 なお、東芝のSCiB(TM)は、安全性に優れた二次電池です。カーボンの代わりに、酸化物系新材料の採用し、外力などで内部短絡が生じても熱暴走を起こしにくい構造となっています。 また、充放電10000回以上の長寿命、6分間での急速充電、キャパシタ並みの入出力密度、-30℃の低温での動作等、優れた諸特性があります。
 再生可能エネルギーの大量導入前に数パーセントの導入量でつまづいたわが国の再エネ導入ですが、一桁上を狙うためには、蓄電池だけでなく、それ以外の総合的な技術の向上や投資が必要になります。とはいえ、蓄電池は日本の重要な産業として花開ける分野でもあります。バッテリーマネージメントシステムの有効性の証明、ビジネスの成果に注目です。


プレスリリース / エナリス、2014年10月09日
エナリスが新たなバッテリーマネジメントサービスを開始

20141009_01_1
-----image : 上下とも同リリースより-----
20141009_03

" 東芝ITコントロールシステムから蓄電池を大量調達

 株式会社エナリス(本社:東京都千代田区 略、以下「エナリス」)は新電力の需給管理代行業務で得た電力需要予測の高い技術を生かし、当社の電力代理購入サービスのユーザー様を対象に新しいバッテリーマネジメントサービスを開始します。エナリスが東芝ITコントロール システム株式会社(本社:東京都新宿区 略 以下「東芝ITC」)から大量調達した蓄電池を、ユーザー様に格段に安価な初期費用で設置提供して、遠隔で充放電制御するものです。蓄電池の設置台数は目標1万台となります。再生可能エネルギー買取の新規契約中断を一部の電気事業者が発表するなど、固定価格買取制度の課題が指摘される中、バッテリーマネジメントは再生可能エネルギー普及にむけた突破口になると考えています。

■エナリスの需給管理ノウハウと「バッテリーマネジメント」
 エナリスは、エネルギー情報業の先駆者として、新電力の需給管理代行業務などを通じて培った需要予測や気象予報士による発電予測(エナリスは、気象庁から予報業務の許可を受けています)など、 エネルギーの流通情報に関する独自の技術と経験を持っています。すでに当社が管理する電力規模は約200万kWに達し、エネルギーマネジメントシステム(以下、「EMS」という)の販売実績は約1万件の実績を有しています。それらの管理実績を生かして実用化されたのが当社のバッテリーマネジメントサービスです。
..........
バッテリーマネジメントサービスとは、以下を指します。

WHO アグリゲータが
HOW 蓄電池を需要家に設置し、遠隔で充放電の管理を行うことで
WHEN 太陽光発電により春夏の発電量>需要量となるときや、通勤時間帯や帰宅ラッシュ時などの需給バランスが不安定なときに
WHERE 需要側において
WHAT エネルギー需要を最適化すること

■電力代理購入サービスと組み合わせたバッテリーマネジメントサービス
 本サービスでは、電力代理購入サービスと組み合わせて、エナリスが大量調達した蓄電池を需要家様に提供することで、初期費用を格段に抑えます。また、エナリスの需給管理ノウハウを生かし、蓄電池の充放電を遠隔で効果的に制御することで、通常の代理購入サービスに加えてさらに電気料金の割引を受けられます。

20141009_02

-----image : 同リリースより

■需要家様のメリット
 ピークカット制御により契約電力を削減することで、電力料金を削減できる
 安価な夜間電力を蓄電し昼間に放電することで、電力料金を削減できる
 これらにより蓄電池導入の採算性を大幅に改善し、需要家の蓄電池活用の裾野を広げることのできる画期的サービスです。また、災害時をはじめ、停電時のバックアップ電源として使用できます。

■電力会社のメリット
 電力会社にとっては、蓄電池の充放電制御により、再生可能エネルギーの出力変動や気温上昇によって生じる電力の需要と発電の誤差(インバランス)を軽減でき、需給バランスの安定や非効率な発電所の稼働低減、不足時の補給費用の削減が可能となります。

■本事業の社会的意義
 太陽光や風力などの再生可能エネルギーを大量に導入するには、発電量の自然変動に対応して安定供給を実現できる『蓄電池』が必要です。エナリスは、バッテリーマネジメントサービサーとして、蓄電池を市場に大量インストールすることで、再生可能エネルギーの普及促進につなげます。特に、複数の電力会社が再生エネルギー買取の新規契約を見合わせている昨今の状況は、蓄電池が普及していない現在の電力システムのもとで出力変動の大きい自然エネルギーが増加したことにより、冷暖房の使用が少ない春や秋の晴天時などには、昼間の消費電力を太陽光・風力による発電電力が上回り、電力の需要と供給のバランスが崩れることが大きな原因の一つといえます。蓄電池の普及は再生可能エネルギーの本格的普及のための必要な条件であるともいえます。

■当社にとっての意義
 エナリスは、本事業により下記の効果を見込みます。
 蓄電池10,000台(10kW・9.9kWh)の市場インストール
 代理購入事業における、契約件数の拡大
 代理購入事業の利益率向上
 エナリスは蓄電池を需要家側に設置してバッテリーマネジメントを行うことで、これまでの電力流通の仕組みを変え、新たなエネルギーインフラを創ることを目指しています。 エナリスは、再生可能エネルギーが大量に系統接続される未来社会にむけて、電力系統の安定化に資するサービスを構築したいと考えています。電力システム改革の将来を見据え、今後も様々な取り組みを進めてまいります。

■東芝ITCの蓄電池システム
 東芝ITCの蓄電池システムには、東芝製リチウムイオン二次電池「SCiB™」が搭載されており、約1万回以上の充放電が可能な長寿命、高い安全性、低温動作などの優れた特性を評価し、採用に至りました。

【蓄電池システムの概要】
......... "

関連
株式会社エナリス向けに蓄電池システムを10,000台受注-----東芝、2014年10月09日
Enaris
-----image(”蓄電池システムのイメージ”) : 上記リリースより

"..........
蓄電池システムの概要

定格出力容量
10kW
定格出力電圧
AC 202V
定格出力周波数
50/60Hz(自動判別)
蓄電池容量
9.9kWh
蓄電池種類
SCiBTM20Ahセル
電気方式
単相3線式
外形寸法(mm)
W950×H1600×D550(チャンネルベース除く)
質量
約511kg
......... "

東芝 SCiB(TM)二次電池

" 東芝のSCiB(TM)は、安全性に優れた二次電池です。
酸化物系新材料の採用などにより、外力などで内部短絡が生じても熱暴走を起こしにくい構造です。
また、充放電10000回以上の長寿命、6分間での急速充電、キャパシタ並みの入出力密度、-30℃の低温での動作等、優れた諸特性があります。"

1万台の蓄電池――遠隔制御で電力の「あふれ」なく、電気料金も削減-----スマートジャパン、2014年10月15日

".....250億円を投じて、公共機関や大規模店舗、オフィスビルなど電力を消費する需要家側に合計1万台の蓄電池を取り付ける。....."


参考エントリー
エナリス、大分県佐伯市で2.5MWのバイオマス発電+ウナギ養殖事業。新たな展開!-----ソフトエネルギー、2014/07/28

エナリス、群馬で食品残渣等を利用する420kWバイオガス発電プロジェクトを実施へ-----ソフトエネルギー、2013/11/07

東芝、英国シェフィールド大学の系統周波数調整実証試験向けにコンテナ型SCiB蓄電池を受注-----ソフトエネルギー、2014/06/24

東北電力、西仙台変電所に2万kWh(20MWh)の世界最大規模のリチウムイオン蓄電設備、着工-----ソフトエネルギー、2013/11/28

新型二次電池「SCiB(TM)」の事業化について / プレスリリース 東芝-----しなやかな技術研究会、2007/12/27

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今こそ読み返す、ブルームバーグNEFからの2011年6月の日本のエネルギー政策への7つの提言

 今こそ読み返す、ブルームバーグNEFからの2011年6月のエネルギー政策への7つの提言。よく読もう。


プレスリリース / ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス、 2011 06:25
フクシマ後の日本のエネルギー戦略に向けた7項目の提言

" 福島第一原発の危機により急激な電力不足が発生した今、日本は将来の電力源構築のために7項目の大胆な行動を検討すべきではないでしょうか。ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの研究によれば、日本には化石燃料発電への依存を単純に高める以外の優れた選択肢が存在しています。

 日本は福島原発の事故で原子力発電による電力供給の20パーセントを失いました。2010年には原子力発電で300テラワット時の電力が生産され、3月の津波以前は、2019年までに生産量を50パーセント近く増加させて447テラワット時にする計画でした。炭素排出量の削減に積極的に取り組んできた日本は、再生可能エネルギーへの広範な目標を掲げつつも、その取り組みは新たな原子力発電所の計画に大きく依存していたことが現実でした。菅直人首相が5月に発表した計画も棚上げされる見通しです。日本は供給不足に対処するだけでなく、新たなエネルギー政策を早急にゼロから構築する必要に迫られています。

 ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス最高責任者のマイケル・リーブライクは、次のように述べています。「日本の将来のエネルギー戦略に向けて、当社のアナリストが7項目の計画を作成しました。私たちは、この計画が日本経済の再活性化、十分なエネルギーの確保、炭素排出量削減目標の達成に貢献するものと考えています。」

以下が7項目の概略です:

1.省エネルギーでの世界のリーダーを目指す。
 日本は前世紀に起きた石油ショックの脅威に積極的に対応しました。その結果、1990年までは電池、ヒートポンプ、燃料電池、大量輸送、太陽光発電を含むいくつもの主要クリーンエネルギー技術で世界をリードしていました。2000年以来、日本はドイツ、デンマーク、スペイン、中国、分野によっては米国に首位の座を明け渡しています。

 日本は今こそ、産業・商業・住宅向けの緊急の省エネ計画を開始するべきです。LED活用、オートメーション・システム、スマートグリッド、その他の省エネ技術の大規模な導入には供給側を支援する仕組みが必要なため、日本企業は大規模な輸出国として設備投資を支えることができます。特に、需要を平準化することで新たな発電所建設の必要性を減らすことができる「ピークシェービング」技術を最優先すべきであり、日本は他のG20諸国に先駆けて本当のスマートグリッドへの完全接続を目指すべきです。

2.正確な費用データを入手する。
 日本の新たなエネルギー戦略の立案者は、クリーンエネルギー・ソリューションの現在の実際の費用と将来の進展を考慮することが不可欠です。太陽光発電が通常の電力小売価格と比べて十分な競争力を持っている市場がいくつか存在し、2015年までにさらに多くの市場で競争力を持つようになるという現実は、あまり知られていません。今年の最新鋭の風力発電所では補助金を含めずに1メガワット時の電力を68ドルで生産できますが、この価格は、設備投資費用と適正な環境対策費用を考慮した場合、新設の石炭火力発電所と競争できる価格です。これまで当然視されてきた集中的発電設備、ベースロードの必要性、送電網の多重化、再生可能エネルギーの高コスト体質といった先入観は捨てる必要があります。

3.固定価格買い取り法案を通過させる。
 日本では現在、電力供給の速やかな回復が急務です。固定価格買い取り制度は、政策決定者がクリーンエネルギー導入に弾みを付けるための格好の手段です。住宅用太陽光発電は電力買い取り制度と設置補助金の後押しを受け、昨年の日本での年間設置数は倍に増えました。しかし、昨年ドイツでの太陽光発電設備の新設が7.5ギガワットに達した一方、日本の新設量は1ギガワットに届きませんでした。国会では固定価格買い取り法案がすでに審議中です。この法案は、住宅用太陽光発電はもちろん、バイオマス、小水力、地熱、商業用太陽光、風力も対象としています。法案には、2年間で失効する時限措置、総量制限、販売権入札のような方式を組み入れることが望ましいでしょう。しかし、最も重要なことは素早い行動です。

4.クリーンエネルギー導入への障壁を排除する。
 迅速なクリーンエネルギー導入への障壁は取り除かねばなりません。リスクの低減、立法・計画のボトルネックの排除、公共部門での調達を通じた素早い市場創出が非常に重要です。日本の計画過程は極めて煩雑で、特に地熱・風力部門の発展を阻害しています。今が改革を行う良い機会でしょう。何らかのクリーンエネルギー技術の日本でのコストが他国より高かったり何らかのプロジェクトの実行が他国より困難であったりするのであれば、その理由を突き止め、利害関係者を結集して問題を解決するべきです。

 日本の地熱部門の大きな可能性と直面する障害については、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスが6月2日にお客さま向けに発行したインサイト・ノート「Could The Answer to Japan’s Energy Gap Lie Right Under Its Feet?(日本の電力不足への答えは足下にあり?)」で検討しています。

5.電力市場を再構築する。
 自由化については盛んに議論されていますが、日本の電力市場は他のほとんどの地域と比べて硬直しています。問題の深刻さを考えれば、問題解決への革新性・柔軟性・報償が優先されるべきですが、現在のシステムは現状の擁護に偏っています。特に、世界最大級の民間公益企業で2400万戸の顧客を有する東京電力は莫大な債務を抱え、政府の全面的な支援を必要としています。今がエネルギーについての広範な改革を進める好機であり、そうすることが日本の産業や経済の状況に波及効果をもたらすでしょう。具体的には、供給の規制緩和、新規参入者への奨励措置、ネットメータリング、新技術使用への資金援助、マイクログリッドやオフグリッド生活への支援、需要管理を奨励する創造的な仕組み、地域の大規模な再生可能エネルギー資源の活用が考えられます。

6.原子力発電への信頼の再構築を始める。
 防護マスクを装備した検査官から放射線チェックを受ける日本の幼児のイメージを消し去るのは難しいでしょう。しかし、工学的見地からは、原子力発電が大規模でさらに拡大を続ける日本のエネルギー需要を満たせない理由はありません。リスク管理の科学を実質的に築いてきたのは原子力産業であり、原子力産業はリスクの把握と管理を現場で徹底的に行うために必要な技術を持っています。求められているのは、日本の原子力産業の安全文化の徹底的な見直しです。排除すべきは、排他的な空気、政治家との癒着、ずさんさに対する許容、言い逃れ、無能力、隠蔽です。望まれるのは、独立性と透明性であり、内部告発、処分、訴追もあるべきです。

7.不足を補うために天然ガス発電を拡大する。
再生可能エネルギーを強化し、原子力発電への信頼を再構築するには間違いなく何年もかかるでしょう。短期的には、60ギガワットをわずかに上回る程度だった2010年の実績を超えるべく、日本は天然ガスの輸入とガス火力発電の能力を早急に高める必要があります。炭素排出量削減目標の観点から見れば、日本の電力不足を解消するためには石炭・石油火力発電を増やすよりもガス火力発電を拡大するほうが理にかなっています。
.......... "

[ bnef.com/assets/pdfs/press-releases/
BNEF_press_release_6_8_2011_JP.pdf ]

関連
Bloomberg New Energy Finance
- 2030 Market Outlook

/ 日本語ホームページ


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三菱電機、再エネ大量導入社会を前に、安定した電力品質を提供する自励式無効電力補償装置を製品化

 三菱電機は、再生可能エネルギーの導入比率が高まりつつある世界の要請に応え、多様化する電力系統に安定した電力品質を提供する自励式無効電力補償装置を製品化すると発表しました。無効電力とは、誘導負荷や静電容量に由来する容量負荷など、負荷で消費されない負荷容量のことです。世界各国、そして国内で再生可能エネルギーの大量導入が進むなか、この無効電力により発生する、系統電圧の変動および送電能力の低下を制御し抑制するために、高品質・高信頼性の無効電力補償装置が必要になります。
 今回開発がアナウンスされ製品では、再生可能エネギー導入による系統電圧の変動および送電能力の低下を無効電力の補償によって抑制するだけでなく、電力系統解析による最適ソリューションの提案と、リアルタイムシミュレーション技術の適用することにより、さまざまな電力品質の問題の解決に対応できるということです。
 三菱電機では、電力系統の安定化問題を解決する、この MMC 方式による「自励式無効電力補償装置(SVC-Diamond TM)」を、年率 5%の拡大で、2018 年には 2,000 億円規模になると予想されている世界の成長市場に、2016年以降の初号機出荷を目指し、投入するということです。


プレスリリース / 三菱電機、2014年8月25日
多様化する電力系統に安定した電力品質を提供 三菱電機 自励式無効電力補償装置(SVC-Diamond)製品化のお知らせ

0825b
-----image(”自励式無効電力補償装置(SVC-Diamond TM) MMC モジュール参考図”) : 同リリースより

" 三菱電機株式会社は、風力や太陽光発電などの再生可能エネルギー普及による電力系統の安定化問題を解決するMMC※1方式による「自励式無効電力補償装置(SVC-DiamondTM/エスブイシーダイヤモンド)」の開発を完了し、製品化します。
 再生可能エネルギー導入による系統電圧の変動および送電能力の低下を無効電力の補償※2により抑制するだけでなく、きめ細かな電力系統解析による最適ソリューションの提案と、リアルタイムシミュレーション技術の適用により、お客様の抱える様々な電力品質の問題を解決します。当社は、2016年以降の初号機出荷を目指します。

※1:Modular Multilevel Converter モジュールと呼ばれる単位変換器を多段に構成して1つの変換器システムを組み上げる方式
※2:無効電力は、負荷で消費されない電力。変動する無効電力を一定に保つことで、系統電圧の安定化や送電電力の向上に寄与するため、無効電力の自動かつ高速な制御を実現
..........
製品の特長

高品質・高信頼性の実現
・当社製IGBT※3モジュールの採用により、重要なコンポーネントから製造まで当社内技術を擦り合わせ、高品質と運用面での高信頼性を確保

※3:Insulated Gate Bipolar Transistor 絶縁ゲート型バイポーラトランジスター

MMCモジュール採用による小型軽量化と高速応答性の実現
・MMCモジュール採用により、ひずみの無い波形で出力することが可能。これにより、高調波抑制フィルターが不要となり、従来の他励式に比べ60%の省スペース化実現と現地工事の削減に貢献
・従来の他励式に比べ、急激な系統電圧変動に対する先回り制御による高速応答性を実現
.......... "


参考
・パワーアカデミー : SVC(静止型無効電力補償装置)

・Google検索 : 無効電力
- 無効電力補償装置

<第5回>パワコンの役割や機能は、発電した電力を直流から交流に変える以外にもあるのでしょうか?(下)(page 3)-----TechOn!、2014/01/15

・日本電気技術者協会 : 無効電力と無効電力制御の効果

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東芝と神戸製鋼、南淡路市において風力と太陽熱発電、そしてバイオマス発電のハイブリッドシステムを稼動

 東芝と神戸製鋼、南淡路市において、環境省の補助事業「地球温暖化対策技術開発・実証研究事業」として進めてきた、風力と太陽熱と木質バイオマスのバイナリー発電のハイブリッドシステムを稼動させました。これは、兵庫県などが進めるあわじ環境未来島構想にそったプロジェクトです。
 今回稼働を開始したシステムは、再生可能エネルギーである風力・太陽熱・バイオマスを熱エネルギー源として組み合わせ、沸点の低い熱媒体を加熱し、蒸発させて生成する蒸気でタービンを回すことにより発電します。自然条件の変化にかかわらず、安定した電力に加え、温水の供給を可能にするもので、バイナリー発電機の発電出力は70kW。今後、2014年度末まで実証試験が行われます。
 システムの概念図は、計画発表時の下の図のほうが具体的でわかりやすいです。

東芝、神戸製鋼、慶大らは、南淡路市において風力と太陽熱と木質バイオマスのバイナリー発電のハイブリッドシステムの実証へ-----ソフトエネルギー、2012/09/12
Zu
-----image : 東芝、2012年09月11日発表より

 構成機器をみてみましょう。
・風力発電機-----南淡路市の既存の1.5MWの南淡風力発電所。[ 南淡路市 : 南淡風力(事業概要・風車仕様) ]

・集光型太陽熱発電(CSP) -----リリースによると、太陽熱集熱装置(大型1列:6台、小型4列:64台)。出力の記載がないので、かってにGoogleマップで見たサイズから計算すると、小型のパラボラミックトラフ式の太陽熱発電装置の水平受光面積を1500平方メートルとし、発電効率を15%とすると、75kW。大型は、500平方メートルで、約25kW。つまり、両方で出力100kWと見ておきます。

・バイナリー発電機-----神戸製鋼所のマイクロバイナリー。70kWモデル(MB-70H)。

・バイオマスボイラ(木質ペレット焚ボイラ1基、竹チップ焚ボイラ1基、九州オリンピア工業製)-----バランスからみると、ボイラ2基で100kWと勝手に予測。

 両社の役割分担は、東芝は、太陽熱集熱装置および太陽熱発電システム全体を制御するシステムの開発に加え、設備建設とデジタル制御装置一式(太陽熱、風力余剰電力制御)などを利用した試験の全体取りまとめを担当。
 神戸製鋼は、太陽熱集熱装置と木質バイオマスボイラで生成した蒸気を熱源とするバイナリー発電システムの開発を担当。
 気になるのは、実証試験が終わったあとの運用です。風もそれほど強くないようですし、東芝の集光型太陽熱発電(CSP) の情報がまったくないので、継続した情報の発表を望みたいです。


プレスリリース / 神戸製鋼所、2014年8月22日
風力・太陽熱・バイオマスを組み合わせたバイナリー発電設備が稼働を開始

Awaji
-----image(”システムのイメージ”) : 同リリースより

" 株式会社東芝(以下 東芝)と株式会社神戸製鋼所(以下 神戸製鋼)は、環境省の補助事業注として建設を進めていた風力・太陽熱・バイオマスを熱源とするバイナリー発電システムの実験設備を完成させ、この度、実証試験を開始しました。

 今回稼働を開始したシステムは、再生可能エネルギーである風力・太陽熱・バイオマスを熱エネルギー源として組み合わせ、沸点の低い熱媒体を加熱し、蒸発させて生成する蒸気でタービンを回すことにより発電します。自然条件の変化にかかわらず、安定した電力に加え、温水の供給を可能にするもので、発電出力は70kWです。 今後、2014年度末まで実証試験を行う計画です。
 なお、本システムは、兵庫県が中心となって推進する「あわじ環境未来島構想」の一環として、県および地元南あわじ市の協力を得て建設しました。実証試験では、南あわじ市が出資する株式会社南淡風力エネルギー開発が建設した出力1.5MWの風力発電設備の電力を使用します。

 東芝は、太陽熱集熱装置および太陽熱発電システム全体を制御するシステムの開発に加え、設備建設と試験の全体取りまとめを担当しています。
 太陽熱集熱装置は、大型集熱器と小型集熱器で熱を回収します。回収した熱はバイナリー発電および温水供給の熱源として活用します。実証試験において、小規模施設などで経済的に使える電気・熱供給源としての太陽熱集熱装置の実現性を検証します。
 制御システムでは、変動が大きい風力発電設備の発電出力から短期の変動電力を分離し、分離した電力を熱に変換し、熱媒体で吸収します。これにより、電力系統へ接続する風力発電設備からの電力を平準・安定化します。

 神戸製鋼は、太陽熱集熱装置と木質バイオマスボイラで生成した蒸気を熱源とするバイナリー発電システムの開発を担当します。
 バイナリー発電システムには、補助熱源として木質ペレットと淡路島の竹のチップを燃料とするバイオマスボイラを設置しています。実証試験では、コンパクトかつ高効率のパッケージ型バイナリー発電装置を検証します。

 東芝と神戸製鋼は、本実証設備で得た技術をもとに、地域に密着した電気・熱エネルギー供給設備の開発を進め、災害時を考慮した地産地消のエネルギー源として活用するなど、再生可能エネルギーの利用拡大に貢献します。

注 環境省 地球温暖化対策技術開発・実証研究事業(競争的資金)

実証実験設備の概要
 実験期間 2014年度末まで(予定)
 建設地 兵庫県南あわじ市阿万西町大谷 1061番
 設置設備 太陽熱集熱装置(大型1列:6台、小型4列:64台)
 バイナリー発電機(1台)
 バイオマスボイラ(木質ペレット焚ボイラ1基、竹チップ焚ボイラ1基、九州オリンピア工業製)
 デジタル制御装置一式(太陽熱、風力余剰電力制御)
.......... "

関連
風力・太陽熱・バイオマスを組み合わせたバイナリー発電設備が稼働を開始-----東芝、2014年08月22日

・神戸製鋼所 : バイナリー発電システム マイクロバイナリー

・兵庫県 : あわじ環境未来島構想


参考
・九州オリンピア工業 : 木質ペレット焚燃焼装置

南淡風力 : 概要 - 発電実績

"平成25年1月1日からの累計
(平成25年12月末現在)
発電電力量累計 2,089,189 Kwh"


コメント続き
 東芝のCSPシステムと思われる施設がGoogleマップに写っていました。

Awaji_toshiba_csp1
-----image :
Googleマップで、淡路の東芝のCSPと思われる施設を表示。上下とも-----
Awaji_toshiba_csp2

 下は、南淡路市の既存の1.5MWの南淡風力発電の同じくGoogleマップでの鳥瞰写真。

Awaji_1_5mw_wind_turbine
-----image : Googleマップで1.5MWの南淡路市 南淡風力を表示。下は、このあたりから見た景色-----
Awaji_1_5mw_wind_turbine_2


参考2
「.....火力発電の給水系統に付加することで日中の発電量が増加するため、日照条件の優れた地域では魅力的..........火力発電所の熱効率向上に向けた太陽熱付加システムの経済性評価のため、(株)神戸製鋼所及び慶応義塾大学と共同で、環境省の「風力・太陽熱・バイオマスボイラを組み合わせたバイナリー発電に関する技術開発」で、淡路島に試験設備を建設中である。今後この実証データーを基に、太陽熱システムの最適化を図り、市場の拡大を目指している。.....」
-----引用 : 東芝レビュー / バックナンバー 2013
"2013 vol.68 No.6再生可能エネルギーを活用した多様な発電システム"より
[ www.toshiba.co.jp/tech/review/
2013/06/68_06pdf/a02.pdf ]


参考エントリー
モロッコで、160 MWのNoor 1集光型太陽熱発電(CSP) の建設が開始されました-----ソフトエネルギー、2013/05/22

集光型太陽熱発電 Concentrating Solar Power(CSP) / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2011/01/29

長崎県の小浜温泉で神戸製鋼所の地熱発電、マイクロバイナリー60kW 3台が稼動開始-----ソフトエネルギー、2013/04/12

神戸製鋼所、125kWのバイナリー発電システム、マイクロバイナリー MB-125Sの販売を開始-----ソフトエネルギー、2013/07/25

地熱発電(廃棄熱発電等用)小型バイナリー発電ユニット カタログ

続きを読む "東芝と神戸製鋼、南淡路市において風力と太陽熱発電、そしてバイオマス発電のハイブリッドシステムを稼動"

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中国電力の隠岐諸島における太陽光(3MWp)、風力(2MW)+蓄電池による実証事業の全貌

 中国電力は、隠岐諸島における”離島の再生可能エネルギー導入促進のための蓄電池実証事業”にかかわる、風力発電事業他の受付を開始するとともに、太陽光発電への対応を発表しました。
 昨年の4月に隠岐諸島・西ノ島に導入される二種類の蓄電池に関しての内容が発表されました。具体的には、短周期変動対策(出力変動抑制)及び長周期変動対策(余剰電力シフト)を行うため、高出力のリチウムイオン電池(2.0MW)で短周期変動を、大高容量のNAS電池(4.2MW)で長周期変動を協調制御するハイブリッド蓄電池システムということでした。

中国電力、隠岐・西ノ島にて再エネ+二種類の蓄電池による実証事業を開始する。ん、再エネはどこ?-----ソフトエネルギー、2014/04/15
Okinoshima_nisinosima_renewbattery_
-----image :中国電力、平成26年4月1日リリース、添付資料「ハイブリッド蓄電池システムによる再エネの出力変動対策について[PDF]」より

 そして今回、隠岐諸島・隠岐の島(町)への導入が進められているのは、太陽光が、1.5MWp×2案件で合計3MWp、風力が2MW機1基です。太陽光発電は、隠岐の島町が公募する「隠岐の島町メガソーラー発電事業」に採択された案件となります。運転開始時期は、平成27年9月末の予定です。風力は中国電力が今回「隠岐諸島におけるハイブリッド蓄電池システム技術実証事業に伴う風力発電事業」として募集するものです。こちはは、平成28年度末が運転開始の目処として示されています。

 整理すると西ノ島に、
・NAS(ナトリウム・硫黄)電池:出力 4.2MW(4,200kW)
・リチウムイオン電池:出力 2MW(2,000kW)
 
 そして、隠岐の島(町)に、
・太陽光発電 合計3MWp
・風力発電 2MW

 となります。システムが実際に構築されるまでは、まだ時間がかかります。離島におけるバッテリーと再生可能エネルギーの取り合い、そして需給応答などに関する実証の成果、他のエネルギーソースとの取り合いのなかで、その実証実験の結果に注目しています。


プレスリース / 中国電力、平成26年8月18日
隠岐諸島におけるハイブリッド蓄電池システム技術実証事業に伴う風力発電事業他の受付について

" ..........隠岐諸島における再エネ導入拡大を進めるにあたり,添付の受付要領に基づき,本実証事業にご協力頂ける風力発電事業者他の受け付けを行いますのでお知らせします。

受付内容につきましては,添付の受付要領をご覧ください。

”..........
1.受付の概要
 本受付は,環境省の補助事業として当社が実施する本実証事業にご協力頂ける事業者の受付を行うものです。
 隠岐諸島において,大きな出力変動を伴う太陽光・風力発電を新たに導入するためには,蓄電池を組み合わせるなどの出力変動対策を実施して頂く必要があります※2が,本実証事業にご協力頂ける事業者につきましては,当社が設置するハイブリッド蓄電池システム(以下,「蓄電池システム」という。)をご活用頂くことにより,事業者による蓄電池などの対策が不要となります。

※2:隠岐諸島は送電線が本土と連系しておらず,電力ネットワークの規模が小さいため,大きな出力変動を伴う太陽光・風力発電を新たに導入するためには,通常であれば,蓄電池を組み合わせるなどの出力変動対策を事業者に実施して頂く必要があります。

2.受付に関する事項
(1)受付対象事業
 隠岐の島町が公募する「隠岐の島町メガソーラー発電事業」に採択された太陽光発電事業
 島前における風力発電事業
 (複数の申込みがあった場合には(5)に定める審査方法に従い,受付事業を選定します。)

(2)受付量
 太陽光発電:合計3.0MW
 風力発電 :合計2.0MW

(3)受付期間
..........
(4)受付条件
(a) 対象発電設備
 本実証事業の対象となる発電設備は,環境省の補助要件を踏まえ,太陽光発電設備および風力発電設備とし,申込み1プロジェクトの総出力および運転開始時期はそれぞれ以下のとおりとします。ただし,運転開始時期については,蓄電池システムの試験工程にもよるため,個別に協議いたします。
・太陽光発電
申込み1プロジェクトの総出力:原則1.5MW
運転開始時期:平成27年9月末を目途に運転開始
・風力発電
申込み1プロジェクトの総出力:原則2MW
運転開始時期:平成28年度末を目途に運転開始
........... ”-----添付資料「隠岐諸島におけるハイブリッド蓄電池システム技術実証事業の協力申込み受付要領」より
.......... "

関連
隠岐の島町メガソーラー発電事業者の募集について-----隠岐の島町、 2014/08/1
Okinoshima_pv
-----image : 上記リリース「企画提案募集要領(PDF)」より

" 隠岐の島町では、旧隠岐空港滑走路跡地において、メガソーラー発電事業を行う事業者を募集します。

1.事業の概要
(1) 事業の名称・・・隠岐の島町メガソーラー発電事業
(2) 事業の場所
・所在地:隠岐の島町岬町田垣2144番3他309筆
・面  積:約21,000㎡×2箇所(A工区・B工区)
(3) 選定方法・・・・・公募型プロポーザル方式
.......... "

Okinoshima
-----image : Googleマップで隠岐諸島 を表示

追加情報
隠岐諸島におけるハイブリッド蓄電池システム実証事業に伴う再生可能エネルギー導入計画の決定について-----中国電力、平成26年10月15日
Energia_okiisland_hybrid_kettei
-----image : 上記リリースより-----
Energia_okiisland_hybrid_kettei_map

" ..........
 本実証事業では,当社がハイブリッド蓄電池システム(出力6,200kW)を設置するとともに,地元自治体や他事業者のご協力により,約8,000kWの再エネを新たに導入することとしていましたが,本日,この再エネ導入計画の具体的な内容が決まりましたので,お知らせします。
今回決定した導入量(約8,000kW)と既存の導入量(約3,000kW)により,隠岐諸島における再エネ導入量は合計約11,000kWとなります。
電力系統制御用のハイブリッド蓄電池システムの活用は,国内初の画期的な取り組みであり,今後,平成27年度~平成29年度の3年をかけ,再エネ導入拡大における技術的課題の解決に向け,本実証事業に取り組んでまいります。
.......... "

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欧州連合 EU、再生可能エネルギーと二酸化炭素貯留技術 CCS に10億ユーロの助成

 欧州委員会 EUは気候変動対策として、全欧規模で実施される再生可能エネルギーと二酸化炭素貯留技術など、革新的実証プロジェクト19件に対し、10億ユーロの助成金を拠出することを公表しました。10億ユーロといえば、現在のレートで、約1365億5千円(1ユーロ =約136.5円換算 )です。

 具体的には、

クロアチア 地熱発電 14.7 百万ユーロ(1.35億円換算で、約19.8億円)

キプロス 太陽熱発電 CSP 60.2 百万ユーロ(約81.3億円)

キプロス スマートグリッド 11.1 百万ユーロ(約15.0億円)

デンマーク バイオエネルギー 39.3 百万ユーロ(約53.1億円)

エストニア バイオエネルギー 6.9 百万ユーロ(約9.3億円)

エストニア バイオエネルギー 25 百万ユーロ(約33.8億円)

フランス 地熱発電 16.8 百万ユーロ(約22.7億円)

フランス 海洋エネルギー 72.1 百万ユーロ(約97.3億円)

アイルランド 海洋エネルギー 23.3 百万ユーロ(約31.5億円)

イタリア 太陽熱発電(CSP) 40 百万ユーロ(約54億円)

イタリア スマートグリッド 85 百万ユーロ(約114.8億円)

ラトビア バイオマス発電(熱分解) 3.9 百万ユーロ(約5.3億円)

ポルトガル 太陽光発電 8 百万ユーロ(約10.8億円)

ポルトガル 海洋エネルギー 9.1 百万ユーロ(約12.3億円)

スペイン 風力発電 33.4 百万ユーロ(約45.1億円)

スペイン 風力発電 34 百万ユーロ(約45.9億円)

スペイン バイオエネルギー 29.2 百万ユーロ(約39.4億円)

スウェーデン バイオエネルギー 203.7 百万ユーロ(約275.0億円)

イギリス CCS 300 百万ユーロ(約405.0億円)

 となっています。最大のプロジェクトはイギリスの二酸化炭素貯留技術実証プロジェクト(CCS)で、約405.0億円の資金が投じられます。これは、EUにおける最初の大規模な二酸化炭素貯留技術プロジェクトとなるものです。今回の助成は、NER300プログラムの第2期選定分です。NER300プログラムは、欧州県内の新規参入者用排出枠分売却による収益による50%の共同融資プログラムの2012年実施の第一回(23件、12億ユーロ)に続く、第二弾となるものです。
 これにより、欧州県内の気候変動対策におけるエネルギー分野の具体的な対策がここに盛り込まれることになります。
 今回意外だったのは、海洋エネルギー関連が、3件あったことです。2030年代に実用化する技術として、予算的な限界がある中で、手厚く育てようとしている様が見えます。この3件については、具体的に日をあらためてみていきたいと思います。


プレスリリース / EUROPEAN UNION, 8 July 2014
Climate action: Commission uses polluters' revenues to fund clean energy projects across Europe

" The European Commission today awarded €1 billion funding to 19 projects to fight climate change under the second call of the so-called NER 300 funding programme. The funding for the projects comes from revenues resulting from the sale of emission allowances in the EU Emissions Trading System. This makes the polluters the driving force behind developing new low-carbon initiatives.

The funding will be used to demonstrate technologies that will subsequently help to scale-up production from renewable energy sources across the EU as well as those that can remove and store carbon emissions. The projects awarded co-financing today cover a range of technologies − bioenergy, concentrated solar power, geothermal power, photovoltaics, wind power, ocean energy, smart grids and, for the first time, carbon capture and storage (CCS).

Connie Hedegaard, EU Commissioner for Climate Action, said: "With these first-of-a-kind projects, we will help protect the climate and make Europe less energy dependent. The €1 billion we are awarding today will leverage some additional €900 million of private investment. So that is almost €2 billion of investment in climate-friendly technologies here in Europe. This is a contribution to reducing Europe's energy bill of more than €1 billion per day that we pay for our imported fossil fuels."
..........
NER 300
The NER 300 programme is so-called because it is funded from the sale of 300 million emission allowances from the new entrants' reserve (NER) set up for the third phase of the EU emissions trading system (EU ETS).

In its recent Communication: 'A policy framework for climate and energy in the period from 2020 to 2030', the Commission outlines the possibility of exploring an expanded NER 300 system in the post-2020 climate and energy framework. This could be a means of directing further revenues from the EU Emissions Trading System towards the demonstration of innovative low-carbon technologies in the industry and power generation sectors.
.......... "

関連
Questions and Answers on the outcome of the second call for proposals under the NER 300 programmeEUROPEAN UNION, 8 July 2014

欧州投資銀行、CCSプロジェクト資金を調達-----Global CCS Institute,29 Apr 2014

"EUのCO2排出枠3億単位の売却で調達された20億ユーロ以上の資金で、欧州における革新的な再生可能エネルギー実証プロジェクト及びCO2回収プロジェクトが恩恵に与ることになる。このことは、排出枠売却の第2フェーズが成功裏に完了した後、欧州投資銀行によって発表された。この売却は、欧州委員会、欧州投資銀行及びEU加盟国が共同で管理している資金調達手段であるNER300プログラムの一環として行われた。
......... "

EU 再生可能エネルギー・二酸化炭素貯留技術実証プロジェクトに10億ユーロの助成を決定-----EICネット、 2014.07.08


追加情報
仏 Akuo Energy、西インド諸島マルティニークに16MW浮体式海洋温度差発電所"NEMO"建設へ-----ソフトエネルギー、2014/08/20

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