農林水産省、バイオ燃料生産拠点確立事業(北海道、新潟)3案件、平成26年度限りで廃止
農林水産省は、バイオ燃料生産拠点確立事業における3地区(北海道2地区、新潟県1地区)に対する支援について、平成26年度予算限りとすることを決定しました。
今回廃止されることが決定された3事業は、
・北海道清水町(事業実施主体:北海道バイオエタノール株式会社)-----ホクレン、JA北海道中央会など道内企業等の出資で設立。
"施設能力 : 1.5万kL/年
原 料 : てん菜、小麦
製造開始 : 平成21年4月~
販売形態 : ETBE混合ガソリンとして首都圏等のSSで販売
製造状況(H24):製造量 11,000kL、製造コスト 204円/L、
収益90円/L"(2014/1/31付け検証委員会資料より)"
・北海道苫小牧市(事業実施主体:オエノンホールディングス株式会社)-----酒造会社が設立。
"施設能力 : 1.5万kL/年
原 料 : 米
製造開始 : 平成21年5月~
販売形態 : ETBE混合ガソリンとして首都圏等のSSで販売
製造状況(H24):製造量 12,600kL、製造コスト 196円/L、
収益89円/L"(2014/1/31付け検証委員会資料より。※ ETBEは、エタノールと石油系のイソブテンから合成される化合物)
・新潟県新潟市(事業実施主体:全国農業協同組合連合会)-----JA全農。
"施設能力 : 0.1万kL/年
原 料 : 米
製造開始 : 平成21年2月~
販売形態 : バイオエタノール3%混合ガソリン
(E3)として県下のSSで販売
製造状況(H24):製造量 700kL、製造コスト 654円/L、
収益136円/L"(2014/1/31付け検証委員会資料より)
これら3事業は、平成19年度より準備のための予算がつき、国産バイオエタノールの原料生産から製造・販売に至る一貫システムを確立するための実証事業を北海道と新潟の3地区で実施。24年度から、それまでの実証で明らかになった課題を解決し事業化を実現するためバイオ燃料生産拠点確立事業を実施し、平成28年度まで実施する予定でしたが、今回廃止が決まりました。
もともと、2010年6月に閣議決定されたエネルギー基本計画の中で、政策目標として、
・ 2020年にバイオ燃料を全国のガソリンの3%相当以上に導入、温室効果ガスを1990年比25%削減、バイオマスを炭素量換算で約2,600万トン活用
・ 農山漁村地域の資源を活用した自立
・分散型エネルギー供給システムの実現
という話の中で進められたもので、温室効果ガス削減目標を現在もてないわが国において、完璧に採算性がないという理由で、廃止が決定しました。作物由来、食料生産と競合するバイオ燃料という文脈から当初から無理筋との指摘があるなかで進められた、補助政策の破綻ということです。予算としては、2013年度で20億円程度が投じられています。全体の予算については、検証委員会の資料を時間をみてあたりたいと思います。無駄な政策となりましたが、単なる無駄にしないで報告書だけはきっちりとまとめてほしいです。
プレスリリース / 農林水産省、平成26年7月9日
・バイオ燃料生産拠点確立事業の今後の取扱いについて
" 農林水産省は、バイオ燃料生産拠点確立事業における3地区(北海道2地区、新潟県1地区)に対する支援について、平成26年度予算限りとすることを決定しました。1 概要
バイオ燃料生産拠点確立事業については、平成26年2月に設置した外部有識者からなる「バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会」において、3地区(北海道2地区、新潟県1地区)の自立化・事業化の実現可能性の検証を行い、平成26年5月9日に取りまとめられた「バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会報告書」の中で、「提示した内容を踏まえ、農林水産省は、各地区における今後の補助事業の取扱いについて十分検討の上、結論を得て、公表すること」とされたところです。
今般、各事業実施主体との議論等を踏まえ、各地区における今後の本補助事業については、以下のとおり取り扱うこととしました。2 今後の取扱い
・北海道清水町(事業実施主体:北海道バイオエタノール株式会社)
・北海道苫小牧市(事業実施主体:オエノンホールディングス株式会社)
・新潟県新潟市(事業実施主体:全国農業協同組合連合会)
上記の3地区いずれも平成29年度以降の自立化・事業化という補助目的を達成することは困難と判断されることから、本補助事業による支援は平成26年度予算限りとします。
(参考)
・平成26年5月9日付けプレスリリース 「バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会報告書」の公表について
.......... "
関連
・「バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会報告書」の公表について-----農林水産省、平成26年5月9日
・農林水産省 : バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会
"第1回(平成26年2月5日) 議事次第 会議資料 議事録 議事録(PDF版)(PDF:254KB)
第2回(平成26年2月20日) 議事次第 会議資料 議事録 議事録(PDF版)(PDF:304KB)
第3回(平成26年3月12日) 議事次第 会議資料 議事録 議事録(PDF版)(PDF:302KB)
第4回(平成26年3月31日) 議事次第 会議資料 議事録 議事録(PDF版)(PDF:231KB)
第5回(平成26年4月25日) 議事次第 会議資料 議事録 議事録(PDF版) (PDF:204KB)
バイオ燃料生産拠点確立事業検証委員会報告書(平成26年5月9日)(PDF:708KB)"
・国産バイオエタノール 農水省が補助金廃止-----東京新聞、2014年7月10日
参考
[ バイオ燃料生産拠点確立事業(新規) 【2,166( 0 )百万円】 2012予算
www.maff.go.jp/j/aid/hozyo/2012/
sangyou/pdf/sangyo_17.pdf ]
[ バイオ燃料生産拠点確立事業の概要
www.maff.go.jp/j/press/shokusan/bioi/
pdf/140131-02.pdf ]
参考エントリー
・大成建設、稲わらからバイオエタノールを製造技術を開発。製造コスト 70.7円/L-----ソフトエネルギー、2014/06/10
[ カテゴリー : バイオ燃料 ]
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