三菱電機、風力発電向けのレーザー光 風計測ライダシステムを開発
三菱電機は、風力発電向けのレーザー光を利用した風計測用のドップラーライダシステムを開発したと発表しました。ライダー Lidarとは、Light Detection and Rangingの略で、訳すと”レーザー光による検知と測距”技術となります。ドップラー効果を利用した距離と方位の正確な測定が可能な技術です。原理は、レーザ光を空間に発射し、大気中のエアロゾルからの散乱光を受信、その信号周波数成分を解析により、移動する測定対象(この場合は風)の移動速度が、すなわち上空の風速を計測することができます。また同時に、レーザ光を繰返しパルス送信しながら、レーザビームをスキャンすることで、測定対象までの距離と方位を正確に得ることができます。
今回同社が開発したのは、風力発電所設置時の発電量の予測精度を向上する風計測ライダ技術です。再生可能エネルギー技術の研究機関であるオランダエネルギー研究センター(以下、ECN)での第三者評価試験において、風力事業への導入基準をクリアすることが2014年4月に承認されました。
用途としては、風車建設候補地の風況観測他、風車の予測制御、広範囲の風車の一括制御などが考えられます。風車の計画から運用、そして統計データーなどの解析用になくてはならない、風況観測の技術です。
プレスリリース / 三菱電機、2014年5月28日
・オランダエネルギー研究センターが性能を承認 三菱電機 風力発電向けの風計測ライダを開発
-----image(”上-図1:ライダ使用例、下-図2:風計測ライダ”) : 同リリースより-----
" 三菱電機株式会社は、風力発電所設置時の発電量の予測精度を向上する風計測ライダ※1を開発しました。当ライダは、再生可能エネルギー技術の研究機関であるオランダエネルギー研究センター(以下、ECN)での第三者評価試験において、風力事業への導入基準をクリアすることが2014年4月に承認されました。本成果を活用し、世界中で広がる再生エネルギー分野に貢献します。 ※1:Lidar = Light Detection and Ranging .......... 開発の背景 風力発電所を設置する場合には事前に風況調査を行いますが、従来は風況観測マストを建設し、それに取り付けたカップ式風速計による調査を行っていました。しかし、カップ式風速計は一地点の風のみの計測に留まり、さらに風車の大型化に伴い風況観測マストの建設費用が増加するという課題がありました。 レーザー光により地上から上空風を遠隔観測するライダは、風車のローター面を含む全高度の風を計測できるため風車の発電量の予測精度が向上するほか、風況観測マストが不要となるため費用の大幅な削減が可能となります。国際エネルギー機関(IEA)ではライダの国際標準化に向けた動きも本格化するなか、今回の開発により、世界中で高まるライダ導入の期待にお応えします。 .......... 開発の特長 耐環境性能の向上などにより、洋上などへ運用範囲が拡大 ・耐水性IP67相当と耐温性マイナス20℃を実現し、耐環境性能を向上 ・ジャイロ搭載により耐動揺性を確保し、浮体式洋上風力発電への活用が可能省エネ・小型化により、運用負荷を低減
・定常時消費電力100W以下、重量60kg以下を実現し、運用負荷を低減ECNによる第三者評価試験で性能承認
・計測の基準となっているカップ式風速計との比較で誤差1%以下を承認
・欧州を代表する洋上風力研究開発プロジェクトNORSEWInD で要求されているライダの仕様条件をクリア
・ライダ稼働中のデータ取得率※2 95%以上をクリア
※2:データ取得率は三菱電機での解析結果となり、ECNは解析手法の妥当性を承認今後の事業展開
現在当社では、開発したライダの製品化を2014年6月に予定しています。本成果を活用して風計測ライダ事業のグローバル展開を図ると同時に再生エネルギー分野における風力発電の発展に寄与します。
.......... "
関連
・三菱電機 : ドップラーライダシステム
/ 風力発電分野
-----image : 上記サイトより
| 固定リンク
| コメント (1)
| トラックバック (0)