燃料在庫45日分の警告――ホルムズ危機は「原油」から「製品不足」へ移りつつある
前説
ゴールドマン・サックスは、世界の商業用精製製品在庫が、需要に対して約45日分まで低下したとみている。これは中東危機前の約50日分からの低下であり、原油そのものよりも、ガソリン、軽油、ジェット燃料など「使える燃料」の不足が先に表面化していることを示す。IEAも、ホルムズ海峡をめぐる輸送制約と中東・アジアの製油所稼働低下により、世界の製品市場が引き締まっていると指摘している。とくにアジアでは、ジェット燃料、ディーゼル、ガソリンの輸出が大きく減少し、欧州ではジェット燃料在庫の低下が航空便に影響するリスクも出ている。
タイトル
燃料在庫45日分の警告――ホルムズ危機は「原油」から「製品不足」へ移りつつある
燃料在庫45日分の警告――ホルムズ危機は「原油」から「製品不足」へ移りつつある
ホルムズ海峡をめぐる緊張は、原油価格だけの問題ではなくなっている。いま市場で目立ち始めているのは、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料といった「精製製品」の不足である。
ロイターによると、ゴールドマン・サックスは、世界の商業用精製製品在庫が、戦争前の需要約50日分から、現在は約45日分まで低下したと見ている。総在庫がすぐに最低運用水準を割るとは限らないものの、在庫の減り方と、地域・製品ごとの偏りが問題になっている。
IEAも、ホルムズ海峡を通るタンカー移動の制約と、中東のエネルギーインフラ被害により、原油処理量が落ち、製品市場が引き締まっていると指摘している。つまり、原油が届かないだけでなく、製油所が十分に動けず、必要な燃料が市場に出にくくなっている。
特にアジアでは影響が大きい。ロイターは、4月のアジアのジェット燃料・ディーゼル・ガソリン輸出が、開戦前3か月平均より約300万バレル日少なかったと報じている。なかでもジェット燃料は、開戦前平均の約154万バレル日から、4月には59.6万バレル日へ急減した。
欧州のジェット燃料も脆い。OPISによると、ゴールドマン・サックスは、欧州の商業用ジェット燃料在庫が6月にもIEAの重要な不足目安である23日分を下回る可能性を示した。英国は輸入依存度が高く、供給制限のリスクが比較的大きいとされる。
短く言えば、危機の焦点は「原油価格が上がるか」から、「必要な燃料が、必要な場所に届くか」へ移り始めている。航空、物流、農業、化学、そして家庭の燃料価格まで、影響は時間差で広がる可能性がある。
ファクトチェック
・精製製品在庫が約45日分まで低下したとの情報は、ロイターのゴールドマン・サックス報道で確認できる。
・IEAは、ホルムズ海峡の制約、中東インフラ被害、原油処理量の低下、製品市場の引き締まりを指摘している。
・アジアの精製燃料輸出減少、ジェット燃料の急減は、ロイターのKplerデータ引用記事で確認できる。
・欧州ジェット燃料の23日分という目安と、英国のリスクについては、OPISのゴールドマン・サックス報道で確認できる。
・IEAは、ホルムズ海峡の制約、中東インフラ被害、原油処理量の低下、製品市場の引き締まりを指摘している。
・アジアの精製燃料輸出減少、ジェット燃料の急減は、ロイターのKplerデータ引用記事で確認できる。
・欧州ジェット燃料の23日分という目安と、英国のリスクについては、OPISのゴールドマン・サックス報道で確認できる。
参照元
Reuters, “Goldman says global oil stocks approaching eight-year low, depletion speed a concern”, 2026年5月4日
Reuters, “Asia exports of refined fuels plunge amid Hormuz closure”, 2026年5月7日
IEA, “Oil Market Report - April 2026”, 2026年4月14日
OPIS, “UK Most at Risk for ‘Jet Fuel Rationing’ this Summer: Goldman Sachs”, 2026年5月6日
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