地熱の開発には、時間がかかります
3社、出光興産、国際石油開発帝石、三井石油開発は、地熱発電の事業化に向けて2011年より調査を開始した北海道阿女鱒岳(あめますだけ)地域(赤井川村)において、地熱構造試錐井(しすいせい)の仮噴気試験を実施しました。調査開始から4年を経て、今回の仮噴気試験をはじめとした今後の調査結果をもとに、第3段階の調査(試験井掘削、生産・還元試験、貯留層能力評価、環境調査など)への移行を判断するとのことです。
地熱の開発には時間がかかります。大規模の地熱発電の開発には最低でも10年程度を要するため、国内で複数実施される試錐井の掘削試験の結果が良好でも、地熱発電所が建設されるのは、2020年代の中盤にかかってしまいます。
地熱発電のポテンシャルとしては、アメリカ、インドネシアについで世界第三位の日本ですが、実際の発電利用の規模では、世界9位の規模です。ポテンシャル一位のアメリカは、発電規模でも一位、二位のインドネシアも三位の発電規模(二位はフィリッピン。フィリッピンのポテンシャルは日本に次ぐ4位)となっています。
日本の地熱が出遅れている理由の一つに適地のほとんどが国立・国定公園内ということが指摘されてきました。この点については、環境省は公園内の建築物に対する高さ規制を撤廃、さらに規制対象地域の周辺から地下にある地熱資源まで傾斜掘削を認めることになりました。この規制緩和によって地熱発電の導入が拡大することが期待されます。しかし、それでも大規模な地熱発電が働き始めるのは、早くても2020年代の半ばから2030年代です。
国の長期的なエネルギー政策、手堅い施策が必要です。日本の地熱発電。手堅く地道に、確実に進めたいところです。
おすすめエントリー
・出光興産ら3社、北海道阿女鱒岳地域において、試錐井の仮噴気試験を実施-----ソフトエネルギー、2015/10/16
参考
・地熱発電で2つの規制緩和、国立・国定公園内で開発促進 -----スマートジャパン、2015年10月06日
・石油天然ガス金属鉱物資源機構 : 地熱エネルギーとは : 地熱発電の概要 : 世界の地熱発電
・日本で地熱発電が進まないのはなぜ?-----エコメガネ、2015年5月13日
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