東芝は、高効率のモーターと回生ブレーキシステム、そして新開発のインバーターを阪急電鉄 8000系車両に搭載し、従来比約50%の省エネを実証
東芝は、高効率のモーター、全閉型永久磁石同期電動機(全閉PMSM)と新たに開発したインバータ装置、4in1VVVFを採用したシステムを阪急電鉄 8000系車両に搭載し、既設のシステムを搭載した車両と比較し、約50%の消費電力量削減を実証したと発表しました。
今回開発された4in1VVVFインバータ装置は、1台の冷却器にインバータ回路を4回路搭載することで装の小型、軽量化を実現したもので、通常運転(力行運転)時に消費電力量約10%削減し、さらに減速時の回生
電力量を約85%増加させ、トータルで約50%の消費電力量削減結果を得ることに成功しました。
世界的に公共交通として注目される鉄道の分野で、1割の省エネを実現し、回生エネルギーも利用することで総合効率を飛躍的に増大させる技術として注目されます。
プレスリリース / 東芝、2012年10月23日
・全閉型永久磁石同期電動機システムを鉄道車両に搭載し従来比約50%の省エネを実証
-----image(”新たに開発した4in1VVVFインバータ装置の写真”) : 同リリースより
" ..........阪急電鉄株式会社(以下、阪急電鉄)8000系車両に高効率の全閉型永久磁石同期電動機(以下、全閉PMSM)と新たに開発した4in1VVVFインバータ装置を採用したシステムを試験搭載し、既設の誘導電動機(IM)とGTO素子注1を使用したVVVFインバータ装置のシステムを搭載した車両と比較して、約50%の消費電力量削減を実証しました。今回開発した4in1VVVFインバータ装置は、1台の冷却器にインバータ回路を4回路搭載することで装置の小型、軽量化を実現しました。全閉PMSMと組み合わせることにより、力行 注2 の消費電力量を削減するとともに、当社独自の制御方法により電力回生ブレーキ 注3 の負担を増やして回生電力量を増加させ、車両全体の省エネを実現しています。
当社は、2012年9月に、阪急電鉄8000系車両の同一編成内に全閉PMSMと新たに開発した4in1VVVFインバータ装置のシステムと、既設のIMシステムを搭載して、各駅停車相当の運行パターンにて試運転を実施し、消費電力量を測定して、両者の比較を行ないました。その結果、力行の消費電力量約10%削減、回生電力量約85%増加、トータルで約50%の消費電力量削減結果が得られました。今後は、営業運転にて効果を実証していきます。
当社は既に、東京地下鉄株式会社(以下、東京メトロ)16000系車両にて採用されている高効率の全閉PMSMとVVVFインバータ装置のシステムにおいて、東京メトロ06系車両に搭載しているIMとVVVFインバータ装置のシステムと比べて、力行の消費電力量を削減し、制御の見直しによる電力回生ブレーキの負担の増加により、営業運転にて39%の消費電力量削減を実現しています。
近年の環境意識の高まりから、鉄道車両は更なる省エネルギー化が求められています。当社は今後も全閉PMSMに代表される高効率の装置を提供するとともに、輸送計画や制御システム、蓄電装置、電力供給システムなど、鉄道システムをトータルで設計することで、さらなる省エネ化を実現する鉄道エネルギーマネジメントシステム(鉄道EMS)に取り組んでいきます。
注1 半導体素子の一種で、素子自身で点弧(ターンオン)・消弧(ターンオフ)出来る機能を持つ。誘導電動機の駆動用インバー
タのスイッチング素子として使用されている。
注2 電力の供給を受けて車両が走行する状態。
注3 主電動機を発電機として用い、これによって発生した電力を電車線に返す電気ブレーキ。
.......... "
関連
・阪急電車 : エコトレイン 未来のゆめ・まち号について
".....神戸線・宝塚線8000系車両(8両編成)
各1編成
京都線8300系車両(8両編成)
1編成
合計3編成
※8000・8300系車両は、ブレーキ時電動機の回転力を活かし、発電機として使用(回生ブレーキという)することで30%~40%の電力を架線に返し、他の加速中の列車の電力として使用する省エネルギータイプの車両です。......."
・Wikipedia : 永久磁石同期電動機
参考
・「PMSM」・・・電車用モーターの次のスタンダードとなりうるか?-----ミライヘ / リポート、2012年03月06日
・川崎重工、JR東日本と鉄道システム用地上蓄電設備 ギガセル の実証試験を開始-----しなやかな技術研究会、2012/08/01
・日立、英国の都市間高速鉄道計画に関する契約を締結。2016年に現地工場も稼動へ-----しなやかな技術研究会、2012/07/26
[ カテゴリー : エコトレイン ]
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