東北大学、下水汚泥から高純度の水素製造。無機添加物と600℃程度の加熱で収率90%以上達成
この時期、福島第一原子力発電所の現在も続く(永遠に続く)過酷事故とその後の核汚染の状況の中では、下水汚泥、と”東北”となると、表題の素晴らしい研究内容とは別の懸念が頭を満たしなかなか取り上げにくい話題ですが、、、、
東北大学は、含水率約 80%の下水汚泥からから高純度の水素を高効率で発生する手法を見出したと発表しました。無機添加物と600℃程度の加熱で収率90%以上達成、その詳細が発表されています。
下水汚泥からの水素製造。将来、除染も含めた総合技術としての下水汚泥処理の中で処理に必要な膨大なエネルギーも問題になるかもしれません、その時エネルギーを回収する手法として陽の目があたることになるかもしれませんね。クリッピングしておきます。
プレスリリース / 東北大学多元物質科学研究所、2011年11月24日
・下水汚泥から高純度の水素製造~無機添加物と600℃程度の加熱で収率90%以上達成~
" (説明)
多元物質科学研究所の張 其武助教と齋藤 文良教授の研究グループは、下水汚泥◆(含水率約 80%)から高純度の水素を高効率で発生する手法を見出しました。
水素は、燃料電池用ガスや燃料ガスなどとして利用が拡大することが期待されております。張助教・齋藤教授の研究グループはこれまでにも木質バイオマスから純度 98%の水素をセルロース基準で 97%の収率で発生させることに成功しましたが、今回は、その手法に工夫を凝らし、下水汚泥(仙台市広瀬川浄化センター提供)から粉砕と乾燥工程なしに高純度水素を高収率で発生させることに成功しました。その手法は以下のとおりです。1.下水汚泥に無機粉体を添加・混合後、600℃程度で加熱すると H2:89.4%、CH4:0.7%で、CO:2.1%、CO2:7.8%が発生
2.無機粉体は低廉な物質で、ガス発生促進剤の役割を果たす
3.加熱時の雰囲気は水蒸気
下水汚泥は細かい粒子になっており、無機粉体と簡単に混合でき、それを加熱すると上記の濃度のガスが発生します。加熱後の固体残渣は、炭酸カルシウムが主です。
本手法は、混合-加熱処理のみであり、先に発表した木質バイオマスからの高純度水素発生法における粉砕処理がありません。したがって、処理コストが大幅に低減できますし、加熱して水素などの有価ガスが得られます。◆下水汚泥
下水汚泥は、排水や下水の処理過程で、沈殿・ろ過等により取り除かれる泥状の物質で、有機物と無機物より成ります。排水・下水から容積比で5~8%排出されます。
下水汚泥の処理は、一般に濃縮-脱水前処理-脱水の順で行われ、コンポスト(生ごみ処理容器)として利用されたり、焼却や溶融されて埋立てられています。下水汚泥は、都市圏での人口集中や水の使用量に比例して年々増加傾向にあり、排水・下水処理場における負荷の増大、最終処分場の逼迫の一因となっています。このため下水汚泥の資源化に関心が寄せられますが、生活排水中の界面活性剤や蛍光増白剤、アンモニアや農薬などさまざまな有害物質の混入、また産業排水の流入による重金属等を含む可能性もあり、有機肥料化あるいは土壌改良材としての利用には慎重論があります現在は、嫌気発酵による発生するメタンガスをエネルギーとして利用したり、乾燥させて石炭火力発電所用の燃料にすること、さらにはセメント(エコセメント)やレンガの材料、路盤材等への利用がなされています。
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