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2011/08/02

環境省、「うちエコモニター」1000世帯を募集。HEMS機導入を促進し、データを集約・分析

 環境省が、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)機を導入して家庭での消費電力を把握しようという人に協力してもらい、同省が進める「うちエコ診断」に参加してくれる「うちエコモニター」を全国約1000世帯という規模で、募集すると発表しました。

 まずはそもそも、HEMS(Home Energy Management System=ホームエネルギーマネジメントシステム)とはなんなのか? 一般家庭の電力の消費量は、電力会社が取り付けた戸別の消費電力計に積算された値のみわかっているというのが一般的な状況でしょう。消費者たる私たちは、電気料金の請求書ではじめて目にする数字です。HEMSの場合には、最新のIT技術により、個別の家電、コンセントごと、分電盤の分岐回路ごとなどのより細かな消費動向を時間軸にそって詳細に見える化することで、より的確で具体的な省エネを実現するための基礎的な情報を、まず得ようととすることが眼目です。将来的には、ネットを使って、見える化だけでなく、家電の制御なども可能になるといわれています。こちらは有志の企業により研究会がたちあがっていますが、セキュリティや安全をどう担保するなどの問題を解決する必要があり、実用化するにしても、まだ少し先のようです。

 ということで、ホームエネルギーマネジメントシステム (Home Energy Management System)とは、スマートメーターとインターネットや家庭内LANなどの通信環境を使って、電力の消費を多角的に把握しようという試みだと考えておくことにします。この単語自体は、日本のオリジナルではなく、海外でも検討されているシステムです。

Smart Home: The Ultimate Home Energy Management System
-----Smart Grid News,Mar 16, 2010

 ようやく具体的に国内での規格の統一などが具体的に議論されている中で、当然意識されているのは国際的な規格がどうなるのかという動きです。それしだいで、このHEMSの実用性と商業的な価値が決まりそうです。

 さて、環境省はこのHEMSをサポートしている関連機器メーカーを指定し、その利用者、導入者を対象として、今回の「うちエコモニター」1000世帯の募集、家庭に導入するHEMSによるデータ計測を行い、そのデータを集約・分析することで、「うちエコ診断」を受診した際の効果定量化と診断手法の精度向上に資する知見の導出を行いたいということです。
 環境省は、環境アドバイザーが各家庭の省エネについて診断、アドバイスする「環境コンシェルジュ」制度の構築を目指しているとのことです。本年度は、その基盤整備事業を進めるために、省CO2・省エネに関する知識や省エネ家電、地球温暖化に関する幅広い知識を持った「うちエコ診断員」が各家庭を訪問し、対話形式でライフスタイルの改善から省エネ機器等への買い替えなど、各家庭の実情に合わせて実行性の高い省CO2・省エネ提案を行う「うちエコ診断」を実施するということで、この事業の中で、この「うちエコモニター」を募集、HEMSがどう環境コンシェルジュ事業に取り入れられるかをさぐりたい考えです。
 とはいえ、HEMSの導入には、数万円から十数万円かかります。協力者には1万円の商品券とのことですが、ちょっとプログラムとしては、参加する気になるか微妙です。新築する際に、省エネを強く意識した生活を自ら作りたいと積極的に考える人には、参加する価値のあるプログラムかもしれません。というのも、参加することで、国や企業の考えるHEMSと個人、ユーザーにとって役にたつ、省エネのための情報関連機器とは? という異なる立場での知見が得られる可能性もあるからです。

プレスリリース / 環境省、平成23年7月28日
「うちエコモニター」1000世帯の募集開始について~HEMSを使ってCO2削減・節電効果を検証~

" 環境省では、家庭のエネルギー使用状況の把握と家庭の実情に合わせた省CO2・省エネ対策を提案する「うちエコ診断員」を養成し、各家庭を訪問する「うちエコ診断」を実施しているところです。本年度は、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)導入世帯に「うちエコ診断」を実施し、電力使用量などの実測データの集約・分析を行い、このデータ解析をもとに「うちエコ診断」の効果の定量化と診断手法の精度向上を図るための検証事業を行います。
 このたび、HEMSを設置し、「うちエコ診断」を受けていただくために全国約1000世帯を「うちエコモニター」として広く募集します。 "

 環境省では、家庭部門での地球温暖化対策を推進するための取組として、「環境コンシェルジュ」制度の構築を目指しています。本年度、その基盤整備事業を進めるために、省CO2・省エネに関する知識や省エネ家電、地球温暖化に関する幅広い知識を持った「うちエコ診断員」が各家庭を訪問し、対話形式でライフスタイルの改善から省エネ機器等への買い替えなど、各家庭の実情に合わせて実行性の高い省CO2・省エネ提案を行う「うちエコ診断」を実施します。
 この事業の一環として、全国で約1000世帯のHEMS導入家庭を「うちエコモニター」として広く募集します。「うちエコ診断」の受診とともに、家庭に導入するHEMSによるデータ計測を行い、そのデータを集約・分析することで、「うちエコ診断」を受診した際の効果定量化と診断手法の精度向上に資する知見の導出を行います。なお、既にHEMSを設置している家庭及びこれから新規に設置する家庭を対象とします。
 本募集の詳細については、「うちエコモニター」募集サイトを御参照下さい。

■「うちエコモニター」募集サイトURL:http://uchieco.go.jp

 また、モニター期間中、各家庭のHEMSから取得された電気使用量データは、専用サイトに反映されます。これに加えて各家庭で水道、ガス等の水道光熱費を同サイトに入力することで、世帯ごとのエネルギー使用状況を一元的に「見える化」し、必要に応じて目標設定や管理ができるようになります。
 全国の家庭を対象とするため、HEMS機器については複数機種を前提に募集し、HEMS製品・サービスの製造・販売に係わる別添の事業者等が参画予定です。
 なお、環境省では、当事業の実施にあたり業務委託先の公募を行い、受託者として凸版印刷株式会社を、その共同実施者に日本アイ・ビー・エム株式会社を選定しました。今後、両社は、本事業の事務局として、「うちエコモニター」の募集から、HEMS事業者を介した計測データの集約、データ分析による効果検証を行います。
.......... "

関連
環境省 : うちエコモニター募集
/ 対象のHEMS一覧

" 因幡電機産業 AEMグラファー
ナビ・コミュニティ エコナビターミナル NT-A3E
エーイーエムシージャパン 日揮情報システム エコリンコ(ECO LINCo)
パナソニック電工 ECOマネシステム(電気・ガス・水 計測タイプ) - [ //denko.panasonic.biz/Ebox/densetsu/lifinity/eco/home_eco.pdf](PDF)
パナソニック電工 HIT太陽光発電システム(ワイヤレスエネルギーモニター)- [ //denko.panasonic.biz/Ebox/densetsu/lifinity/eco/home_eco.pdf](PDF)
ユナイテッドコミュニケーションサービス @touch スターターキット(ASKT-K003)
ユナイテッドコミュニケーションサービス @touchスターターキット(ASKT-K001)
ユナイテッドコミュニケーションサービス @touchスターターキット(ASKT-K003)
  "

凸版印刷と日本IBMが環境省の「うちエコ診断」の検証事業を共同実施-----凸版印刷、2011年07月28日
" ~HEMSを使った約1000世帯の電力使用などの実測データを収集・解析、エネルギー使用状況モデル化による家庭の“省エネ”行動を支援~   "

IBM :「スマート」なエネルギー 家庭編 家庭用エネルギー管理システム(HEMS)
/ IBM 「スマート」なエネルギー 家庭編 実証実験のねらい

参考エントリー
KDDI、東京電力、三菱自動車、シャープなど家電7社らは、家庭用エネルギーの統一化に向けて研究事業をたちあげた

コメント続き

 こうなってくると、グーグル、Google Power Meterのサービス打ち切りは、ちょっと残念です。スマートフォンで自宅の電力消費をモニターしながら、省エネと家電の使い方を少しづつ学びたいという意識があったからです。将来、スマートメーターといわれる、最新の電力量(ガス、水道の使用量同時把握もある)計測システムは、太陽光発電やバッテリーが家庭に導入されるとするならば、全体のシステムの把握のために不可欠な情報となります。
 日本の家電メーカーが開発する省エネ情報家電と、スマートメーター(IT利用電力量計-自動検針、電力料金サービスのリアルタイム選択、一部家電の制御など)、スマートな電力送電網、そして多くの情報をユーザーにオープンに提供して、利便性を高めてくれる可能性があります。一方、情報が一本化されることで、管理が強化され、情報が電力会社にのみ蓄積されることになれば、ユーザーの利便性ではなく、電力会社の利益のみが強化されてしまう弊害もありえます。各家庭の消費動向とから発電までの情報のより透明な開示が求められる中で、情報のプールの仕方、開示のしかた、アクセス権などが問われます。

 今年は、省エネの年です。これからもその傾向はますます強まりそうです。省エネ行動を強いられるだけでなく、それを社会として積極的に評価できるしくみが必要です。電力やガスや水道の消費量の見える化を進めるためには、見える化しその情報を共有化することで、いったい何を得て、何を失う可能性があるのか? そのあたりのオープンな議論が必要に思えます。(2t)

グーグル、Google Power Meterのサービス打ち切りを発表-----しなやかな技術研究会、2011/06/30

[ カテゴリー : エネルギーマネージメント/EMS,HEM ]




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コメント

このプログラムにはちょっと参加する気になれませんね

投稿: hiro | 2011/08/02 09:18

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