川崎重工、ノンフロンの水冷媒ターボ冷凍機を開発
川崎重工業は、ノンフロンの水冷媒ターボ冷凍機を開発しました。開発された冷凍機の冷凍能力は、小規模のビルや工場、事務所の空調用に適した100冷凍トン(352kW)。この水冷媒、ターボ冷凍機開発のポイントは、フロン冷媒冷凍機と同等の性能を有し、常温・常圧で気体である代替フロンの場合と比較して水冷媒の冷凍機は大型化してしまうという課題を、同社独自の新型圧縮機などの開発により、フロン冷媒冷凍機並みの高い性能とともに、従来機と置き換え可能なサイズにまでコンパクトな設計を実現したことです。冷却性能はフロン冷媒冷凍機と同等のCOP 5.1を達成しているということです。
実証機による耐久試験を続け、2012年4月の発売開始を目標に商品化を進めるということです。
プレスリリース / 川崎重工、2011年06月23日
・ノンフロンの水冷媒ターボ冷凍機を開発
-----image : 同リリースより
" 川崎重工は、水を冷媒としたノンフロンの小型ターボ冷凍機を開発しました。
今回開発したターボ冷凍機は、オゾン層保護および地球温暖化防止に貢献可能な冷媒として水を採用した地球環境にやさしい冷凍機です。
本冷凍機の冷凍能力は、小規模のビルや工場、事務所の空調用に適した100冷凍トン(352kW)であり、フロン冷媒冷凍機並みの高い性能を実現するとともに、従来機と置き換え可能なサイズにまでコンパクトな設計とすることに成功しました。
本冷凍機は、当社が開発し独自に完成させたもので、冷却性能はフロン冷媒冷凍機と同等のCOP(※)5.1を達成しました。現在、実証機による耐久試験を実施中であり、2012年4月の発売開始を目標に商品化を進めています。
本冷凍機の主な特長は、以下のとおりです。
(1)水冷媒
オゾン層保護および地球温暖化防止の観点から、自然冷媒が冷凍機の次世代冷媒として注目されています。とりわけ水は、地球温暖化問題を生じることがなく、燃焼性・毒性を有しないという特長があります。また、水は低圧冷媒であるため高圧ガス保安法などの適用外となり運用上のメリットもあることから、当社は水を冷媒として利用する技術の開発を進めてきました。
水冷媒利用の小型ターボ冷凍機の完成は、世界初となります。
(2)高性能
ターボ冷凍機の冷媒として水を採用する場合、常温・常圧で液体である水は冷凍サイクル中で蒸発させる際に大幅に減圧する必要があるため、圧縮工程における圧縮機の能力向上が課題でした。今回当社は、これまで培ってきた回転機械技術を活かして圧力比が高く高性能な新型圧縮機を開発し、フロン冷媒冷凍機並みの性能COP5.1を達成しました。
(3)コンパクト設計
ターボ冷凍機の冷媒として水を採用する場合、常温・常圧で気体である代替フロンの場合と比較して冷凍機は大型化する傾向にありますが、新型圧縮機の開発をはじめ、主要機器を自社開発し小型化することで、既存冷凍機との置き換えが可能なサイズにまでコンパクト化することに成功しました。
地球温暖化対策および環境負荷低減が急がれる中、当社は今後とも地球環境の改善に貢献する 技術開発に取り組んでいきます。
主要目
使用冷媒 水
冷凍能力 100冷凍トン(352kW)
COP 5.1(冷却水温度30/35℃)
熱交換器 間接式
寸法 長さ2.2m×幅2m×高さ2.5m
駆動方法 インバータ
※COP(Coefficient of Performance):冷凍能力(kW)/消費電力(kW)で表される冷却性能の評価指数。
.......... "
コメント続き
水冷媒の冷凍機の開発についての記事をクリッピングするのは、神戸製鋼所に続き2度目です。日本の高い技術力が環境分野で果たせる役割は、本当に大きそうです。時代が、環境へと、そして省エネ、脱原子力にシフトする中で、限られた資源の有効活用と環境性能の向上は急務の世界的な課題となっています。まさに、がんばれ日本!(2t)
参考エントリー
・神戸製鋼所と東電、中電、関電の四社、世界初の軸流式水冷媒冷凍機を開発。冷媒が水!-----しなやかな技術研究会、2011/02/01
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