菅首相緊急記者会見。浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を中部電力に対し要請
菅直人首相は6日夜19:10に、首相官邸で緊急記者会見を開き、中部電力浜岡原発の現在定期検査中の3号機に加え、稼働中の4、5号機を含むすべての原子炉の運転停止を中部電力に要請しました。浜岡原発は東海地震の予想震源にあり、30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫していることをあげました。
・Twitter Kantei_Saigai : 【浜岡原発運転停止要請】菅総理会見(19:10)/本日、内閣総理大臣として、海江田経産大臣を通じて、浜岡原発のすべての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請した。
" 【菅総理冒頭発言】
国民の皆様に重要なお知らせがあります。本日、私は内閣総理大臣として、海江田経済産業大臣を通じて、浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請をいたしました。その理由は、何と言っても国民の皆様の安全と安心を考えてのことであります。同時に、この浜岡原発で重大な事故が発生した場合には、日本社会全体に及ぶ甚大な影響も併せて考慮した結果であります。文部科学省の地震調査研究推進本部の評価によれば、これから30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫をしております。
.......... "
-----image : 政府インターネットテレビ-2011/05/06 菅内閣総理大臣記者会見-平成23年5月6日より
これを受けて、静岡県の川勝平太知事は、「英断に敬意を表します」とコメントを発表したということです。
菅さん! ありがとうございます。これで、今晩は枕を少し高くして眠れます。
・静岡知事「英断に敬意」 浜岡原発への全炉停止要請-----asahi.com,2011年5月6日
関連
・海江田経済産業大臣談話・声明 緊急安全対策の実施状況の確認と浜岡原子力発電所について-----経済産業省、平成23年5月6日
" 1.東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、3月30日、全国の原子力発電所について、緊急安全対策の実施を各電力会社に指示した。2.各電力会社からの報告を踏まえ、確認・評価を行った結果、報告を受けた全ての原子力発電所について、緊急安全対策として直ちに講ずることとされている全交流電源喪失等対策が適切に措置されていることを確認した。
3.東京電力福島第一原子力発電所の事故を引き起こしたものと同程度の津波により、全交流電源喪失に至ったとしても、注水により冷却を行い、炉心を管理された状態で維持することが可能となる。これにより、炉心損傷や使用済み燃料の損傷を防止し、多量の放射性物質を放出することなく、冷温停止状態に繋げることができると考えている。
4.さらに、防潮堤の設置、原子炉建屋の水密化工事や空冷式非常用発電機の高所での設置など、各発電所の立地環境に応じた中長期的対策を進める計画を有していることも確認した。これにより、安全対策の信頼性が更に向上する。
5.緊急安全対策に引き続いて、4月9日に指示した非常用ディーゼル発電機に関する安全対策、4月15日に指示した外部電源の信頼性確保対策についても適切な対応がなされることにより、非常用電源や外部電源の信頼性が向上する。原子力安全・保安院には、これらの対策も含め実施状況を確認するよう指示しており、事業者に対して、その確実な実施を促していく。あわせて、今後の徹底的な事故調査等により明らかとなる事故原因等を踏まえ、追加的な対策が必要な場合には、改めて各事業者に対応を求めていく。
6.中部電力浜岡原子力発電所についても、中部電力が短期の緊急安全対策に全力をあげて取り組んでおられる姿に敬意を表す。しかしながら、文部科学省の地震調査研究推進本部の評価によれば、30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性が87%と極めて切迫している。こうした浜岡原子力発電所を巡る特別な事情を考慮する必要があり、苦渋の決断として、同発電所については、想定東海地震に十分耐えられる防潮堤設置等の中長期対策を確実に実施する必要があり、この中長期対策を終えるまでの間、定期検査停止中の3号機のみならず、運転中のものも含め、全ての号機の運転を停止すべきと判断した。本日、中部電力に対して、中長期対策の確実な実施と浜岡原子力発電所全号機の運転停止を求めた。
7.なお、浜岡原子力発電所が運転停止した場合の中部電力管内の電力需給バランスに支障が生じないよう、政府としても必要な対策を講じていく。
.......... "
関連
・浜岡原発:石橋・神戸大名誉教授「もっと早く止めるべき」-----毎日.jp,2011年5月6日
・浜岡原発:全面停止へ 戸惑う地元自治体「あまりに唐突」-----毎日.jp,2011年5月6日
追加情報
・菅首相「現在のエネルギー基本計画はいったん白紙に戻して議論する」。再生可能なエネルギーを基幹エネルギーの一つに-----ソフトエネルギー、2011/05/11
・浜岡原子力発電所の運転停止要請への対応について-----中部電力、2011年5月9日
" 2011年5月6日に、内閣総理大臣が浜岡原子力発電所のすべての号機について運転停止の要請を表明するとともに、当社は、同日、経済産業大臣より要請書を受領いたしました。
.......... "
・海江田経済産業大臣談話・声明-緊急安全対策の実施状況、浜岡原子力発電所の停止及び中部地域の電力需給対策について-----経済産業省、平成23年5月9日
" 関連リンク
(参考資料)30年以内に震度6強以上の地震が起きる確率(PDF形式)
(報道発表)福島第一原子力発電所事故を踏まえた他の発電所の緊急安全対策の実施状況の確認結果について(平成23年5月6日)
(大臣談話)緊急安全対策の実施状況の確認と浜岡原子力発電所について(平成23年5月6日) "
・浜岡原子力発電所の全炉停止要請。続報1-----自然エネルギー、2011/05/07
コメント続き
ちょうど、Fukushima とならび、海外で有名になりつつあった Hamaoka についての海外のニュースの情報をクリッピングして、来週アップする予定の記事の準備をしているところにこの、菅首相の浜岡原子力発電所の全炉停止要請のニュースとなりました。
"Fukushima そして hamaoka 、世界が注視する中部電力浜岡原子力発電所"という仮題を決めていました。さて、世界は、ニューヨークタイムズ、ウォールストリートジャーナルはさっそく伝えています。
・Japan Orders Nuclear Plant to Suspend Operations-----NYTimes.com,May 6, 2011
・Kan Orders Operations Halt at Chubu Plant-----WSJ.com,MAY 6, 2011
この処置は、どれくらい続くのでしょうか? 保安院は、津波対策完了まで停止としています。複数の報道では、「中部電力が中長期対策に2年から3年程度かかる見通しを示していることから、最低でも2年以上」と報じている例もありますが、正確なものではないでしょう。一息つけるかもしれませんが、あの浜岡原子力発電所は廃炉が相当と考えています。日本における原子力発電の議論は、実はもともとエネルギー問題ではないと考えています。地震国日本が、このプレート境界に位置する列島で地震と原子力発電を”ある一定の年月のリスク”の中でどう評価するかの問題です。下のようなところに建設された浜岡原子力発電所は、もともと立地的に不可な原子炉なのです。
プレート境界と地震の関係は、またいつか資料をアップしたいと思います。とりあえずきょうのところは、IRIS Seismic Monitorをクリックして開いてみてください。地震は、プレート境界で、常に起こっているのです。
まずは、一秒でも早く全炉停止になってほしいです。(t_t)
-----Google Earthにプレート境界のデーターを読み込み図を試作してみました-----
参考
・浜岡原子力発電所の津波に対する防護対策の確実な実施とそれまでの間の運転の停止について-----経済産業省、平成23年5月6
" 本件の概要原子力安全・保安院(以下「当院」という。)は、福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、平成23年3月30日に、中部電力株式会社(以下「中部電力」という。)各電気事業者等に対して、津波により3つの機能(全交流電源、海水冷却機能、使用済み燃料貯蔵プール冷却機能)を全て喪失したとしても、炉心損傷等を防止できるよう、緊急安全対策に直ちに取り組むとともに、これらの実施状況を早急に報告するよう指示しました。
当該指示を受け、中部電力浜岡原子力発電所において保安規定や手順書を整備、必要な設備を導入、さらに実地の訓練により確認し、原子力安全・保安院が立入検査により適切に行われていることを確認しました。その結果、適切に措置されているものと評価しました。
しかしながら、同発電所については、想定東海地震の震源域に近接して立地しており、文部科学省の地震調査研究推進本部の評価によれば、30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性が87%と極めて切迫しているとされており、大規模な津波の襲来の可能性が高いことが懸念されることから、(別紙)のとおり、中部電力の報告にある津波に対する防護対策及び海水ポンプの予備品の確保と空冷式非常用発電機等の設置についても確実に講ずることを求めるとともに、これらの対策が完了し、当院の評価・確認を得るまでの間は、同発電所の全ての号機について、運転を停止するよう求めました。
.......... "
" 原子力発電所の運転状況(2011年3月2日現在)
号機 定格出力 運転状況
1号機 - 運転終了 (2009年1月30日)
2号機 - 運転終了 (2009年1月30日)
3号機 110万kW 定期点検中
4号機 113.7万kW 運転中
5号機 138万kW 運転中 "
・気象庁 : 東海地域で大地震が起きると考えられているのはなぜか
コメ-本当になぜ、何がつらくて、こんなところに原発を作ったのか?
参考エントリー
・地震調査研究推進本部 地震調査委員会、「全国地震動予測地図」の2010年版を公表-----しなやかな技術研究会、2010/05/21
・防災の日 地震、雷、火事、おやじ、、、、自然エネルギー?-----自然エネルギー、2009/09/01
[ カテゴリー : 災害-地震 ]
[ カテゴリー : 災害-核汚染 ]
[ カテゴリー : 災害情報 / 国内 ]
人気blogランキング参加中。クリックお願いします!
上のバナーをクリックしていただくだけで当サイトの- 評価 -の向上になります。ご協力ありがとうございます。
・東北関東大震災、福島原子力発電所事故対応サイト : crisis311 #disaster_kit311
greenpost(@greenpost) - Twilog-----twitter : greenpost
---しなやかな技術研究会のGoogleマップ2---掲示板
| 固定リンク
« 枝野官房長官:現在、定期点検等で休止している全国の原子力発電所の再開については地元自治体の了解がないと再開できない | トップページ | 環境エネルギー政策研究所 ISEP、菅首相の「浜岡原発の停止要請」を高く評価する-原発を全停止しても電力は不足せず、安全性で正しい政治判断をすべき-とのプレスリリースを発表 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント