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2011/03/10

海洋研究開発機構、海洋深層の貯熱量が全球広域で増加と発表

海洋研究開発機構は、最新の研究結果として、海洋深層の貯熱量が全球広域で増加と発表しました。世界的にもデーターが必要とされている海洋、とくに把握のむずかしい海洋深層の貯熱量を1985年から2007年までの最近約20年における全球での海洋深層の水温変化を明らかにしたということで、国際的にも注目される研究結果となりました。注目されるのは、海洋深層での貯熱量増加量が海洋表層の8-20%に当たるという点です。

今後さらに、観測点の整備や研究を進め、気圏よりも熱容量の大きな水圏での温度変化と気候変動の相関関係などが明らかになることが期待されます。高精度観測と海洋同化データにより海洋深層の貯熱量長期変動の把握に向けておおきな前進となりそうです。

プレスリリース / 海洋研究開発機構、2011年 3月 5日
海洋深層の貯熱量が全球広域で増加

Image001_2
-----image[”図1 同化モデルで再現された海洋深層(4000-5500m)水温差(上)と観測から推定した(4000m-海底)の水温差(下)(1997年から2006年までの観測値)-(1985年から1994年までの観測値)。南極付近で大きく昇温しそれが西部南大西洋、西部南太平洋、中部北太平洋に広がっている(下)。観測の様子を同化モデルは良く再現していた。”] : 同リリースより

" 高精度観測と海洋同化データにより海洋深層の貯熱量長期変動の把握へ前進
1.概要
...........地球環境変動領域海洋環境変動研究プログラム海洋循環研究チームは、1990年代にWOCE*1のもとで行われた高精度観測と当プログラムも参加して実施されている2000年以降の再観測*2の結果を比較し、1985年から2007年までの最近約20年における全球での海洋深層の水温変化を明らかにしました。またその結果に基づいて全球海洋深層での貯熱量増加を推定するとともに、同化モデル*3を用いてその信頼性の評価を行い、海洋深層での貯熱量増加量が海洋表層の8-20%に当たることを示しました。
海洋深層の貯熱量の変化については、IPCC等の報告でも不確定とされ、具体的な数値については不明確でしたが、本研究で推定した増加量は、地球の気候変動を理解するために必須である地球の熱の配分を把握する上で、海洋深層の近年の貯熱量増加が無視できない量であることを示しています。また、現在の海洋深層の観測網によりどの程度の信頼性で海洋深層の貯熱量を把握できるのかを示したものであり、今後、推定の信頼性を上げるためには、継続的な観測、及び、観測網の強化が必要であることを示した点で重要です。
この成果は、アメリカ地球物理学連合発行のJournal of Geophysical Research - Oceans誌に3月5日付けで掲載されます。

タイトル:
Deep ocean heat-content changes estimated from observation and reanalysis product and their influence on sea level change
著者名:纐纈 慎也、土居 知将、河野 健、増田 周平、杉浦 望、佐々木 祐二、豊田 隆寛、五十嵐 弘道、川合 義美、勝又 勝郎、内田 裕、深澤 理郎、淡路 敏之

2.背景
私達の生活圏の温度は、太陽と地球からの放射の収支と地球の中で熱がどのように配分されるかということで決まります。また海洋の蓄える熱(貯熱量)は、大気に比べて非常に大きいため、その変化は、地球の貯熱量収支の大きな部分を占めると考えられています。特に海洋深層の水温、貯熱量変化の正確な把握と監視は長期的な気候変動を知る上で重要です。しかしながら、海洋深層については、各所で水温の上昇が報告されてはいるものの(Fukasawaら、2000等)、観測が空間的・時間的にまばらであるため、IPCC等の報告においても全球規模でどの程度上昇しているのかについては十分に把握されていませんでした。

3. 方法
本研究では1985年から2007年にかけて、当機構海洋環境変動研究プログラムと世界各国の研究機関によって実施された高精度の海洋深層観測を用いて海洋深層での貯熱量変化を計算しました。次に、海洋環境変動研究プログラムのもとで開発された、数値モデルと観測を融合させた同化モデルの結果から推定された貯熱量変化と比較を行いました。また同化モデルで再現された海洋の中で、実際に行われた観測と同様の擬似的な観測を1万回行うことで、見積りにどの程度の不確かさがあるかを評価しました。

4. 結果
海洋深層の貯熱量は、全球広域で増加しており、この増加は南極付近で大きく、南大西洋西部、南太平洋西部、北太平洋中央部にも、増加傾向が広がっていることが分かりました(図1)。このような大規模な貯熱量増加を全球で合わせると、8×1020J/年でした。これは、従来の研究で明らかにされている全球海洋表層の貯熱量増加の8-20%の大きさにあたります。この増加量は、地球の熱収支における海洋表層以外の他の要素の増加量と比べても大きな値です(表1)。
また貯熱量変化計算の信頼性を推定したところ、海洋深層の貯熱量増加は4-10×1020J/年の間であった可能性が高いことが分かりました。1980年代以降の推定されている地表付近の気温上昇は0.02℃/年になり、これが大気全体の平均気温上昇であったと仮定すると、大気の貯熱量増加は1×1020J/年なりますが、この値と比較しても今回見積もられた海洋深層貯熱量の増加量(4-10×1020J/年)は非常に大きなものです。

5. 今後の展望
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参考エントリー
海水温の上昇は、'93-08の16年間で0.1度上昇の意味。Natureに世界的な海洋観測プロジェクト、アルゴ計画のデーター解析が発表されました-----しなやかな技術研究会、2010/06/02

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アルゴ計画に利用されているフロートは、数年間にわたって海面下から2000m程度の深海までの潜行および浮上のサイクルを百回以上繰り返し、最深層から海面に浮上する間に水温や塩分等の鉛直分布観測し、浮上の際に自動的にデーターを衛星に送り出します。
..... "

コメント続き

海洋観測用のリモートブイで計測されるのは、数百メートルの表層の海水温度です。それに、さらに深度のある観測装置を加え、コンピューターで処理することで、海洋観測のデーターは整備されていきます。頭の中では、地球は狭くなり、環境に対する理解が進んだようにも思えますが、データーが集まり知見が洗練されればされるほど、未来予想はむずかしくもなります。
 また、最新の科学的な知見が、政策に反映するとも限りませんし、反映する場合でも時間がかります。時間がかかったことで、誤った対応になることもあります。データーや科学は大切ですが、情報にまどわされずに、自分の空間や家族、コミュニティを大切にしていくことに時間を割く必要がありそうです。今、猛烈に考えているって感じです。(t_t)
 
-----Google GreenPostサイト横断検索 : 海水 温度-----



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