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2011/03/07

住友電工、世界初となる新型、溶融塩電解液電池電池の開発に成功

 住友電工が、世界初となる新型、溶融塩電解液電池電池の開発に成功したということです。今回の最大の進展は、低温で機能する低融点の溶融塩が開発されたことです。これまで、塩を溶融状態に保つためには高温が必要であり、100℃未満に融点をもつ溶融塩を電解液とした電池は実現されていなかったということです。住友電工は、京都大学(エネルギー科学研究科 萩原研究室)と共同で、57℃という低融点の溶融塩を開発し、それは完全不燃材料で構成され、組電池の小型化も実現する技術の確立にも道を開くものだということです。今後実証試験を重ね、低価格化などをすすめるということです。

 電力、電気自動車で注目され、期待される二次電池。新たな展開。安全で、エコで、低価格な製品を世界は待っております。待たれる技術を日本はまだまだたくさんもっていそうですねぇ。
 
プレスリリース / 住友電工、2011年3月4日
世界初となる新型電池の開発に成功

Sumitomoyouyuuenbattery
-----image(”【補足資料】主な二次電池との比較”) : 同リリースより

" 完全不燃材料で構成、組電池の小型化を実現
..........世界初となる新型電池を開発し、大阪製作所(大阪市此花区島屋1-1-3)で、構内試験を開始しました。今回開発に成功した新型電池は、電解液に溶融塩のみを使用した二次電池(以下、溶融塩電解液電池)であり、290Wh/Lという高エネルギー密度を有するとともに、完全不燃性であり、組電池の小型軽量化を実現します。
 溶融塩は、不揮発性や不燃性、高イオン濃度など、電池の電解液として優れた特徴があります。しかしこれまで、塩を溶融状態に保つためには高温が必要であり、100℃未満に融点をもつ溶融塩(イオン液体とも呼ばれる)を電解液とした電池は実現されていません。
 当社は、国立大学法人京都大学(エネルギー科学研究科 萩原研究室)と共同で、57℃という低融点の溶融塩(NaFSAとKFSA*1の混合物)を開発し、また、これまで培った電池技術をベースに充放電管理や電力系統への連系などの蓄電池システム化技術を確立するとともに、セルメット(*2)やタブリード(*3)という当社独自の部品材料を採用することにより、高エネルギー密度かつ高出力の二次電池の開発に成功しました。
 今回開発した溶融塩電解液電池は、資源豊富なナトリウム化合物からなる正極及び負極、溶融したNaFSA・KFSA混合物の電解液で構成され、充電時にナトリウムイオンが正極から出て負極に入り、放電時にはナトリウムイオンが負極から出て正極に入ります。
【溶融塩電解液電池の特長】
(1)高エネルギー密度
ナトリウム化合物を正極に採用しており、290Wh/Lという高エネルギー密度を実現しています。

(2)完全不燃性
不燃性材料のみで構成されているため、地震や事故などの衝撃により外部から空気が混入しても発火することはありません。また、過充電や電池温度の上昇による、いわゆる熱暴走現象も発生しません。

(3)組電池の小型化が可能
溶融塩電解液電池は、稼働温度領域が57℃~190℃と他の電池と比べて広く、また、不燃性材料で構成されているため、排熱のためのスペースや防火・防爆装置が不要であり、電池を高密度に配置することが可能です。当社の試算では、同じ容量の組電池の場合、リチウムイオン電池の約1/2、ナトリウム硫黄電池の約1/4の体積となり、小型化が実現できます。

 現在、大阪製作所において、一戸建て・4人家族1日分相当の9kWhの組電池4台分36kWhを所内電力系統に繋げ、構内試験を実施しています。
 なお、コスト面では2万円/kWhが視野に入りつつありますが、中規模電力網や家庭などでの電力貯蔵用途、トラックやバスなどの車載用途での実用化に向けて、電池の評価・改良を重ねるとともに、より低温で稼働可能な溶融塩の探索を進めていきます。
以上

(*1) NaFSA:ナトリウムビス(フルオロスルフォニル)アミド
KFSA:カリウムビス(フルオロスルフォニル)アミド
(*2) セルメット : 高い気孔率と連結空孔からなる、当社独自の多孔質金属材料。
(*3) タブリード : アルミラミネートフィルムを外装に用いた、電池及び電気二重層キャパシタ内部から電気を取り出すためのリード線。優れた耐電解液性に加え、熱変形を抑制した絶縁層を有することで、高い封止信頼性を実現しています。
.......... "

追加情報
住友電工、横浜製作所において200kWpの集光型太陽光発電装置(CPV)および5MWhの大型蓄電池などのEMSの実証運転へ-----しなやかな技術研究会、2012/04/19

コメント続き

 実際には、こうした蓄電池の技術革新も、現在私たちが依存している石油や天然ガスなどの化石燃料の世界に急激におとずれようとしている、政治的、かつ現実の資源制約などのエネルギー問題に適応するには量的、コスト的にはむずかしいとも言われます。電気自動車にしても普及速度を考えれば、ガソリンの値段があがって、車の使用が控えられる流れにどれだけ対応、代替案として存在感を示せるかは短期的(ここ10年)では懐疑的です。しな研でクリップする技術情報の中で、これらが期待されるのは実に20年以上先の世界であると考えるようにしています。もちろんブレークスルーは歓迎ですが、過度の期待はできません。

 この10年をささえる技術。結局、極省エネ、管理型省エネにつきるのでは、、、、。しかし、時代はゆるやかなライフスタイルの変更という余裕も与えてくれません。かつ、現在の日本の政治情勢を考えれば、家族、インターネット上まで拡大したコミュニティの中で、個々がこの10年の対応策(個人的な適応策)を考えなければならないタイミングに突入していると思います。

 私たちは、変わることができるか? できるのか? と真摯に問う気のある人たちとの連帯、ネットワークづくりを開始したいと思います。今、いろいろ考えています。(t_t)

[ しなやかな技術研究会 カテゴリー : 蓄電技術 ]




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