U.N. FAO、Food Price Indexを更新。世界は危機的な食料価格の高騰を今経験している
つい先日も、オーストラリア産の農作物の値上がりや、アメリカの穀物地帯でも発生している洪水、そしてアメリカやヨーロッパの寒波の影響による、世界的な食糧不足、値あがり懸念がある会合で話題になりました。
しかし、2月3日にFAO 国際連合食糧農業機関が発表した最新の食料価格指標 Food Price Index によれば、世界はまさに歴史的な食料価格の高騰を経験している。日本などの豊かな国ではその影響は隠されているが、貧困な国や地域においては、昨年を通して食料は上がり続け、8月以降は深刻な影響がではじめていたようです。そこに、冒頭のように先進国、新興国、途上国、貧しい地域の別け隔てなく、厳しい気候変動の影響が現れています。この統計が現在の形になった1990年以降では最悪とのことですが、新たな要因として石油の価格も上がってきています。消費の増加、気候変動の影響、投機的な動き、そして石油価格などのエネルギーコストの上昇を考えると心配な時節です。
プレスリリース / 国際連合食糧農業機関、2011年2月3日
・トップページ / 世界の食料価格は史上最高値を更新 1 月に3.4%の上昇-FAOが食料価格指数を更新(PDF)より-----World food prices reach new historic peak
" 世界の食料価格の月ごとの変化を定期的に監視しているFAOの食料価格指数の最新版によれば、世界の食料価格は 7 ヶ月間連続で上昇し、1 月には史上最高値に達した。指数は 1 月に平均して 231 ポイントとなり、2010 年 12 月から3.4%上昇した。これはFAOが食料価格の測定を開始した 1990 年以降(実質および名目で)最高水準である。変化のなかった食肉を除いて監視をしているすべての食品グループで大幅な価格上昇を記録した。
アブドルレザ・アバシアンFAOエコノミスト・穀物専門家は、「新しい数値は、世界の食料価格に対する上昇圧力が収まる気配がないことを明らかに示している」と述べ、「この高価格は今後何ヶ月も続くだろう。特に価格の上昇は食料輸入代金のやりくりの問題に直面する低所得食料不足国や、食料へ所得の多くを費やす貧しい世帯にとって重大な懸念となるであろう。」と続けた。
「今までのところ、唯一勇気付けられる要素は、豊作により世界価格に比して主食の国内価格が低い諸国が多く存在するということである」とアバシアンは加えて述べた。
食料価格指数は、主として、食肉価格指数が調整されたことを反映して改定されたとFAOは強調した。この改訂は、遡及的に適用され、すべての指数が改められたが、1990 年からの全体の傾向には変更はない。
FAO穀物価格指数は、12 月より3%上昇し 1 月には 2008 年 7 月以降最高の平均245ポイントとなったが、2008 年 4 月の最高値に比べると依然11%低い。1 月の上昇は主に供給が逼迫する中で小麦とトウモロコシの国際価格が継続的に上昇していることを反映しており、他方、コメの価格は主要輸出国の主要作物の収穫時期と重なるため若干下落している。
油脂価格指数は、油料種子等の全体的な需給がますます逼迫してきていることを反映し5.6%上昇して 278 ポイントとなり、2008 年 6 月の水準に近づいている。
乳製品価格指数は、12 月より6.2%上昇し 1 月には平均221ポイントとなっているが、依然 2007 年 11 月の最高値より17%低い。乳製品に対する世界的に安定した需要があるところに南半球における(通常の)季節的生産減という背景が加わり乳製品価格を下支えし続けている。
砂糖価格指数は、12 月より5.4%上昇し、1 月には平均 420 ポイントとなっている。国際的な砂糖の価格は世界的な供給が逼迫しているため依然高止まりである。
一方、FAO食肉価格指数は、飼料汚染事件を受けた消費者の信頼低下に起因する欧州での食肉価格の下落がみられる一方、ブラジルと米国の輸出価格の若干の増加に相殺され、安定して約166ポイントであった。
.......... "
関連
・FAO Food Price Index
-----image : 上記サイトより
参考
・トップページ
/ 1月26日:食料価格上昇によって大きな打撃を受ける諸国のための政策指針(PDF)
/ 1月31日:水産物消費が史上最高に達す世界の漁業資源水準に改善はない-FAO報告書が最新データと傾向を分析(PDF)-----国際連合食糧農業機関、2011年2月3日
コメント続き
世界の政治も動いています。チェニジア、エジプト、そしてその他の地中海沿岸から中東の国々まで、経済や政治が人々の不満の原因とされていますが、食料の高騰は人を怒らせる理由としては、非常に大きなものです。
日本では、巨大な長年にわたって構築されてきた、買い付けおよび加工、市場形成までの巨大な歴史のあるシステムが機能するので、すぐには危機的な問題にはならないでしょう。しかし、この危機が一過性のものではなく、今後何回かにわけてひどくなる波を経験し、長い目で見ると、悪化の一途をたどっていく可能性について考えれば、今は満たされている食料であっても、この先10年、数十年となれば、とても安閑としてはいられない状況だと思います。
私たちは、ころがりおちる”ある地点”をすでに通過してしまったか、まさにその地点にいる可能性があります。(t_t)
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