神戸製鋼所と東電、中電、関電の四社、世界初の軸流式水冷媒冷凍機を開発。冷媒が水!
神戸製鋼所、東京電力、中部電力、そして関西電力の4社は、世界初の軸流式水冷媒冷凍機を開発したと発表しました。
冷媒が水!
一般の冷凍機には、例外としてフロンや代替フロンが利用されてきました。今回、上記4社がDanish Technological Instituteなどの海外の研究機関などの協力も得ながら開発した「軸流式水冷媒冷凍機」の試作機は、冷房・冷却性能(COP)は約5.4(間接熱交換器タイプで約4.8)を実現、フロン冷媒冷凍機並みの高性能化に成功したということです。
デンマークLEGOのオモチャ工場にへの導入例がある遠心式圧縮機採用の水冷媒冷凍機にくらべ大幅なコンパクト化を達成しているということです。それでも、目標冷却能力が約1,600kWの間接熱交換器タイプで長さ7.0m×幅3.9m×高さ4.2m。約1,800kWの直接熱交換器タイプで長さ6.6m×幅2.8m×高さ3.5mのサイズがあるそうです。量産機では更なるコンパクト化を目指すとのことです。実証運転を経て、早期の販売を目指すとのことです。
まあ、図をみてただ納得する以外の知識のない門外漢ですが、水を冷媒という発想が素晴らしいと思います。しかもこの性能です。世界的に再生可能エネルギーの利用が進む中で、電力を温度の形で”蓄える”夜氷や夜水システムも注目されています。国際協力が生んだ注目の技術です。
プレスリリース / 神戸製鋼所、2011年1月19日
・世界初の「軸流式水冷媒冷凍機」の開発について
-----image[”左-外観-写真1 軸流式水冷媒冷凍機(間接熱交換器タイプ)、右-図1 システム概略図(間接熱交換器タイプ)-冷媒としての「水」は、『蒸発器~軸流圧縮機~凝縮器~蒸発器』を循環している(この部分がフロン冷媒から水に代わった)。”]: 同リリースより
" 株式会社神戸製鋼所と東京電力株式会社、中部電力株式会社、および関西電力株式会社の4社(以下、「4社」という)は、このたび、Danish Energy Agency*1の支援と、財団法人電力中央研究所、Danish Technological Institute*2、およびJohnson Controls Denmark ApS*3の技術協力を得て、ビルや工場の空調や冷却プロセスなどに使用される冷凍機として、自然冷媒である「水」を採用した「軸流式水冷媒冷凍機」の試作機を世界で初めて完成させ、実用化に向け大きく前進いたしました。地球温暖化問題を背景に、近年開発された空調用冷凍機や冷蔵庫の冷媒には、主に「フロン系冷媒の中では環境に優しいHFC冷媒*4」や自然冷媒である「二酸化炭素」、「アンモニア」、「イソブタン」等が採用されておりますが、本試作機では、より高い環境性を有する自然冷媒である「水」を冷媒として採用いたしました。
また、「水」を冷媒とした冷凍機は、これまでも遠心式圧縮機*5を搭載した冷凍機がありましたが、大容量機においては圧縮機の構造上、装置全体の小型化が困難という課題を有しておりました。このたび、4社が完成させた試作機は、専用の軸流式圧縮機*6を新たに開発し、遠心式圧縮機採用の水冷媒冷凍機*7に比べ、現時点において、直接熱交換器タイプ*8で設置面積は約3分の1(間接熱交換器タイプ*9は約2分の1)のコンパクト化を達成しております。また、冷房・冷却性能(COP*10)はフロン冷媒冷凍機と同等の約5.4(間接熱交換器タイプは約4.8)を達成見込みで、今後、性能試験で確認してまいります。
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「軸流式水冷媒冷凍機」の主な特長は、以下のとおりです。
1冷媒として究極の自然冷媒「水」を採用
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2大幅なコンパクト化
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3フロン冷媒冷凍機並みの高性能化
目標冷房・冷却性能(COP)は、約5.4(間接熱交換器タイプで約4.8)。インバータ制御で部分負荷性能を向上。4多様なニーズに対応可能
他の冷凍機と併用できる「間接熱交換器タイプ」と単独運転用の「直接熱交換器タイプ」の両タイプの開発により、多様なニーズに対応可能。*1 Danish Energy Agency デンマークエネルギー庁。
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*7 遠心式圧縮機採用の水冷媒冷凍機
デンマークのLEGO社のオモチャ工場に設置されている同容量の冷凍機。外形寸法は、長さ12.2m、幅5.2m、高さ10.9m。
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*10 COP:Coefficient of Performance([成績係数]=(冷房・冷却能力/消費電力))
値が大きいほど省エネルギー性が高いことを示す。
なお、COP値は、日本工業規格JIS B 8621に準拠した「冷水入口/出口水温12℃/7℃、冷却水入口/出口水温32℃/37℃」の条件における値で、COPが5.4とは、エネルギー投入量(消費電力)に対し5.4倍の熱エネルギーが取り出せることを意味する。
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実用化開発期間
平成15年10月~平成25年3月(予定)
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-----image [”左-外観-写真2 軸流式水冷媒冷凍機(直接熱交換器タイプ)、右-図2 システム概略図(直接熱交換器タイプ)-冷媒としての「水」は、『 蒸発器~軸流圧縮機~凝縮器~蒸発器 』 を循環しているが、冷水・冷却水と混合されながら循環される。”] : 同リリースより
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関連
・世界初の「軸流式水冷媒冷凍機」の開発について-----東京電力、平成23年1月19日
・世界初の「軸流式水冷媒冷凍機」の開発について- 究極の自然冷媒「水」を用いた冷凍機の本格実用化に大きく前進-----中部電力、2011年1月19日
・世界初の「軸流式水冷媒冷凍機」の開発について-----関西電力、2011年1月19日
・Danish Technological Institute
コメント続き
夜氷については、アメリカで大規模なシステム運用が行われそうです。現在さらに情報を収集中です。
夜氷とは、オフピークの電力や再生可能電量の余剰電力で大型の冷凍・冷蔵施設において、低温という形でエネルギーを蓄えるシステムです。日本でも大型の冷蔵・冷凍システムが多数存在します。大型の蓄電池や特別な設備の追加なく、電力の需給関係を調整できる可能性があります。
・SCPPA & Ice Energy To Develop 53-MW of Energy Storage-----Rnewabel Energy World,2010/01/28
とりあえず、こちらを参照してください。(t_t)
参考エントリー
・CALMAC社、オフピークの電力で作った夜氷で、昼間に建物を冷やす空調システム IceBank(R)16基をフロリダの高校に導入し10%の省エネを実現-----ソフトエネルギー、2010/04/01
・Renewable Energy World Newsが選んだ、2010年再生可能エネルギー大型プロジェクト-----ソフトエネルギー、2011/01/19
・風力発電で発電し、"冷やす"= 電気の削減 オランダの「大型冷蔵システム運用プロジェクト」-----ソフトエネルギー、2007/03/08
本日のおすすめエントリー
・シャープ、イタリア現地合弁会社初となる5MWの太陽光発電所を建設。欧州、中東、アフリカへの展開を強化-----ソフトエネルギー、2011/2/1
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