川田工業、産業技術総合研究所、軽量型働く人間型ロボット開発用プラットフォーム HRP-4 を2011年1月より提供開始
川田工業、産業技術総合研究所は、軽量でスリムな働く人間型ロボット開発用プラットフォーム HRP-4 を2011年1月より提供開始すると発表しました。
体重は、バッテリーを入れても39kg。身長は、151cm。アルミニウム合金のフレーム構造で、腕を動かすだけで、肩:3、肘:1、手首:3軸での動きを7個のモーターを装備、全身では34 軸の自由度を実現し、人間の動作を再現することができるということです。外観デザインには人との親和性を追求。「スリム・アスリート」のコンセプトをデザイン設計に盛り込んみ、研究用だけでなく、人気をテコにしたキャラクターとしても”採用”されそうなロボットです。
将来のロボットが果たす役割というのは、エネルギーや資源の問題ともからみ、さらにそれぞれの国が抱える状況を考えても、どのような普及が望ましいのか、また普及すべきものなのか、についても多くの議論を必要としそうな分野です。現在はよくできた操り人形であっても、ITの技術が組み合わされれば、革命的な機能や動きを果たすことも可能です。多くの議論が必要なのは間違いないでしょう。
ただ、海外のロボット開発において軍事や警備などの分野でロボットや無人機が、すでに世界的に広まりつつある現実を考えると、”アシモフのロボット三原則”の第一条はすでに反古にされています。
「第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。」
そんな中で、日本が民間部門で堂々と人間のために働く高性能のロボット開発を行えることは、まずは重要な点だと考えています。私たちの三原則、つまり”武器輸出三原則”を反古にしないことが非常に大切に思えます。
プレスリリース / 川田工業、2010/09/15
・HRP-4 / 働く人間型ロボット研究開発用プラットフォームHRP-4を開発-2011年1月より外部研究機関へ提供開始-(2010/09/15 pdf)
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主な仕様
寸 法 身長 151 cm
重量(バッテリ含む) 体重 39 kg
外装および構造 専用ロボットカバー装備
アルミニウム合金のフレーム構造
総自由度(軸数) 34 軸
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制御システム CPU:Intel Pentium M(1.6 GHz)
外部通信:10/100base-TX(1ポート)/無線LAN IEEE802.11a/b/g
OS:Linux (RT-Preemptパッチ)+OpenRTM-aist
標準デバイス:音声出力×2拡張性 頭部カメラ、音声入力(マイク)システム
認識用PC(背面部)
研究用途により軸構成ほか追加・変更が可能
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関連
人間型ロボットHRP-4_歩行・体操他
(aistchannel,2010年09月15日)
・働く人間型ロボット研究開発用プラットフォームHRP-4を開発-----産業技術総合研究所、2010/09/15
-----image(”HRP-4”) : 同リリースより。上記動画クリップも。
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ポイント
HRPシリーズの流れをくむ軽量でスリムな新しいボディー
仕様の最適化や部品の共通化・簡素化を推し進めることにより低価格化を実現
OpenRTM-aistの採用で、国内外のソフトウエア資産が利用可能となり研究効率が向上概要
川田テクノロジーズ株式会社【代表取締役社長 川田 忠裕】のグループ企業である川田工業株式会社【代表取締役社長 川田 忠裕】(以下「川田工業」という)は、独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 野間口 有】(以下「産総研」という)と共同で、働く人間型ロボット研究開発用プラットフォーム:HRP-4(以下「HRP-4」という)を新たに開発した。共同開発の分担は、川田工業が人間型ロボットハードウエアの開発を行い、産総研 知能システム研究部門 ヒューマノイド研究グループ【研究グループ長 横井 一仁】 金広 文男 主任研究員らが動作制御ソフトウエアの開発を行った。HRP-4は産総研が開発したサイバネティックヒューマンHRP-4Cの高密度実装技術を応用し、さらに物体操作に適するように片腕7自由度とし、全34自由度を持ちながら、身長151 cm、体重39 kgの軽量でスリムなボディーを実現した。また、HRP-4の制御システムにはRT-Preemptパッチを適用したLinuxカーネルおよびソフトウエアプラットフォームOpenRTM-aistを採用し、オープンソースのロボットシミュレーターOpenHRP3をはじめ、国内外の多数のロボットシステム用のソフトウエア資産が利用可能となっている。これにより、さまざまな環境の下で稼動する人間協調型ロボットなど、今後のロボット産業で必要な次世代ロボットシステムの研究開発を加速することが期待される。
なお、HRP-4は、2010年9月22~24日に名古屋工業大学で開催される日本ロボット学会学術講演会で一般公開・展示される。
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・人の認識も可能、人間型ロボットは2600万円-----YOMIURI ONLINE,2010年9月16日
コメント続き
世界の武器市場に供されている軍事用ロボットや人間をサポートするメカの姿を見ると、しなやかな技術の対極にある、人間を不幸にする技術の存在を強く意識します。
人間の歩行や筋力をアシストする技術の研究を見てみると、日本ではホンダの体重支持型歩行アシスト技術やCYBERDYNE社の福祉用ロボットスーツHALは、労働や福祉の分野での利用を前提に開発されています。
一方、アメリカでは、こんなアシストスーツの開発も進められています。
Raytheon Sarcos Exoskeleton
(wired,2008年05月08日)
とはいえ、いずれの技術も悪用されれば、人を弾圧することにも、殺すことにも利用できます。そうした強力な技術には、SF作家アイザック・アシモフが考えたアシモフのロボット三原則のような基準作りが必要だと思います。
ロボットの軍事利用に関しては、実用化は先と考えられてきましたが、湾岸、イラク、アフガニスタンなどの現”戦場”を抱えるアメリカを中心とした軍事産業にとって、それらの技術を開発するための時間と資金を確保することが可能になりました。実際、RQ-1 プレデターは、多くの戦場で使われ、さらに地上でのロボット開発も進められています。そして、懸念される事態も多く報告されています。一部には、軍事技術の草刈り場とも言われる日本、人を支える技術を多く作れる国としての誇りをもって、懸念される残忍で冷酷なロボットではない、技術の成果を積み上げていって、それを世界にアピールしてほしいものです。(t_t)
参考
・米軍マネー、日本の研究現場へ 軍事応用視野に助成-----asahi.com,2010年9月8日
" .....「MAGIC2010」に出場したチバ・チーム代表の野波副学長は「本選への参加は取りやめた」と話し、「スポンサーは軍。私の良心があるので悩んだ」..... "
・Robot warfare: campaigners call for tighter controls of deadly drones-----guardian.co.uk,16 September 2010
・最新型「ASIMO」発表、共同作業も可能に-----GreenPost -Heuristic Life -,2007/12/12
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