グリーンジョブについての考察。Green Jobs Guidebookから
選挙で各党のマニフェストを読んでみたりしていますが、次の政権で実現したい国家像を具体的には読み取ることができないでいます。そんな中で、失業率の数字を見れば、まだまだ深刻な状況であることがわかります。Google 未来を選ぼう2009のみんなで選んだ、5つの質問に選ばれた5項目にしても、施策的には雇用の創出と安定化という側面から大きなアプローチが可能です。
どんな仕事が次代には必要とされ、必要とされるべきなのか? と考えていて、見聞を広めようとするにつれ、一見既存の産業に見えても、グリーンジョブになることがわかってきました。例えば、太陽光発電、風力発電などの周辺機器や構造部材もグリーン産業の象徴的な存在である自然エネルギー関連となり、ネジやボルトの生産や販売に従事すれば、それはグリーンジョブとなります。どんな産業部門に関わる仕事がグリーンジョブと言えるか考えてみる必要がありそうです。
グリーンジョブの部門
・低炭素および再生可能エネルギー産業-----太陽光、太陽熱、水力、風力、地熱、バイオマス、潮流、波力、潮汐力、温度差などの自然エネルギー(再生可能エネルギー)の利用はもちろん、化石燃料であっても、クリーンコール(石炭火力)や高い効率のガスタービンもこの分野に入ります。以下の項目にも共通ですが、開発、設計、施工、管理などのすべての工程に多用な仕事があります。・温暖化効果ガス回収および貯留-----発生する温暖化効果ガスの回収や貯留に関するさまざまな技術が研究、開発されています。
・エネルギーの蓄電および転換-----太陽光、風力などの自然エネルギーの欠点などを補うべく、蓄電池やフライホィールなどの大規模な蓄電システムが実用化されつつあります。さらに、できた電気エネルギーから水素を得て、燃料電池を運用する考え方も将来的には有効です。
・エネルギーの効率化および需要調整-----マイクログリッド、スマートグリッドという概念は、ここ数ヶ月で爆発的な広がりを持ち始めました。家庭から大規模な発電所まで、それぞれの規模と必要に応じてさまざまなシステムが研究、実用化実験に入っています。電力計ひとつにしても、情報のやりとりも加わることで、省エネと多用なサービスに応じた細かい電力料金の個別契約が可能になります。家庭の中では、IT家電が携帯などから省エネコントロールすることが可能になります。
・建築-----エコハウス、エコビル。単なる省エネ、インテリジェントビルという枠を超え、緑化や働く環境や住む感興のトータルデザインが個人、企業、国によって研究、提案されつつあります。
・移動手段-----歩きやすい町、自転車、エコカー。そして公共交通との整合性。民間の開発、自治体や国レベルの研究開発が望まれます。
・カーボン市場-----排出権取引などにたずさわる部門。国際的なカーボン市場の形成において、それぞれの国の利害、そして利害を超えた気候変動問題への適応策を経済的にバックアップする仕組みづくりが求められます。
・気候変動適応策-----気候変動の適応策は、水、食料、エネルギーなどを地域ごとの暮らしにあわせて10年、100年のデザインを必要とします。自治体や国が対応しなければ、地域、個別に対応せざるをえない分野です。
・公共部門-----官公庁。
・コンサルティングおよび調査-----民間のコンサルティング、研究部門など。
・廃棄物のリサイクルおよびリユース-----廃棄物の処理とリユースは、都市鉱山の例を待つまでもなく、廃棄物ではなく資源管理と捕らえる必要があります。減量から処理までの総合的な取り組みは、市民、事業者、自治体に広く求められています。
・非営利団体----NPO
以上、部門をカリフォルニアのEnvironmental Defense Fundが発行しているGreen Jobs Guidebookから項目をひっぱり、コメントを付けてみました。
・Environmental Defense Fund / Green Jobs Guidebook
-----image : Green Jobs Guidebookカバー
この本は、これらの部門別に求人情報が記載されています。時給や年収が必要とされる熟練度にあわせて表示されていて興味深い資料として読むことができます。さらにグリーンジョブの職業訓練の機会へのガイドともなっています。
参考動画
GFA H264
(greenforall,2009年08月04日)
コメント続き
アメリカのグリーンジョブの広がりの中で何度も名前が挙がるのが、Green for All
と、オバマ大統領の公的な諮問機関であるCouncil on Environmental Quality (CEQ)入りした、ヴァン・ジョーンズさんです。ヴァン・ジョーンズさんは、貧困問題と社会再生とう側面からグリーン・ジョブを提唱し、社会活動団体グリーン・フォー・オールを創立しました。著書「グリーン・ニューディール」の日本語訳は7月に出版されたばかりです。同氏の提唱するグリーン・ジョブを知ると、オバマ政権のグリーン・ニューディールやグリーンジョブが、貧困の撲滅と社会革命を意識していることがわかり、黒人初の大統領を頂いたことが、アメリカを大きく変える可能性を見ることができます。そして、是非この動きは日本でも広がるべきムーブメントだと思っています。
雇用、貧困、格差といった問題の解決の鍵が、そこにあります。秘密性、巨大な産業の独占、安全保障上の問題により、原子力産業がグリーンジョブにはなりえないことも理解する必要があります。(t_t)
関連
・Green Jobs Guidebook-----Green for All
-----image : Amazon : グリーン・ニューディール By ヴァン・ジョーンズより
Green Job Opportunities
(greenforall,2009年06月22日)
追加情報
・「グリーン雇用」提唱者、米特別顧問辞任 政権に打撃-----asahi.com,2009年9月7日
関連エントリー
・ミシガンで石炭火力からクリーンエネルギーへ、グリーンジョブの拡大を訴えるイベントが開催-----自然エネルギー、2009/07/29
・グリーンジョブとクリーンエネルギーによる経済 ”Green Jobs and the Clean Energy Economy ” / コペンハーゲンへの道 3-----しなやかな技術研究会、2009/05/26
・パワーシフト! アメリカのグリーン・ニューディール。ヴァン・ジョーンズ The Green Collar Economy-----ソフトエネルギー、2009/04/15
・The Green New Deal グリーン・ニューディール、グリーン・ジョブのゆくえ-----ソフトエネルギー、2008/12/12
・The Green Collar Economyの著者ヴァン・ジョーンズさん -----自然エネルギーの日記、2009-04-20
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