『生きている地球レポート2008年版』が発行 世界を揺るがす金融危機と同様に、エコロジーの分野にも危機が迫っている / プレスリリース WWFジャパン
"【ロンドン発】 世界はエコロジーの危機に向かいつつある。人類の自然資源に対する需要は、地球が持続的に提供できる資源量をほぼ3割近く超過してしまっているからだ。これは、地球の健康状態に関する先進的な報告書である、WWFの『生きている地球レポート』の最新版が鳴らす厳しい警鐘である。加えて、今回のレポートでは、世界の自然資源の豊かさと多様性が低下し続けており、ますます多くの国が恒常的なもしくは季節的な水不足に陥っていることが明らかになった。
(2005年データを集計して、『生きている地球レポート2008年版』は作成されています)
-----WWFジャパン、2008年10月29日発表より-----地球の使いすぎに警鐘!『生きている地球レポート』2008年版を発表
-----image(pop up) : 同リリースより「大局的に見ると、世界は自然資源量を過大に見積もっており、これまでは誤った見積もりに基づいたふるまいをしてきた」とWWFインターナショナルの事務局長であるジェームス・リープは言う。
「すべての人間社会が突き進んでいるのは、エコロジカルな信用危機(ecological credit crunch)ともいうべき地点である。エコロジカルな信用危機が起きるというのは、すべての生命とその繁栄の基礎となる環境資産の不足が意識され、生態系への信頼がゆらぐ事態を指す。そうなると生物資源の入手が困難となり、調達コストが増大してしまう」
ロンドン動物園協会(ZSL)およびグローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)とともに作成された今回のレポートによれば、世界人口の4分の3以上が、エコロジーの視点からは赤字の状態にある国に暮らしている。ここで赤字の状態にある国とは、ある国の消費が、その国の生物生産力(biocapacity)を超えてしまっていることを意味する。
「私たちの大半は現在のライフスタイルを維持し、経済成長を続けようと躍起になっている。ただし、世界のほかの場所から天然資源という元本を過剰に引き出しながらやっているのである。また、地球環境に対する私たちの需要が現在と同じペースで伸びていくとすれば、2030年代の半ばまでには、私たちはライフスタイルを維持するために、地球を2個分必要とする状態になってしまうだろう」とジェームス・リープは言う。
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-----image : 同リリースより 2008年版 『Living Planet Report:生きている地球レポート』ダウンロード(全文:英文 / PDF形式:3.25MB)可能、カバー "
・New Data Shows Humanity’s Ecological Debt Compounding-----Global Footprint Network,10/29/2008
" Download the Living Planet Report 2008
Download The Ecological Footprint Atlas 2008 "
コメント
エコロジカルフットプリントについて、数字的な根拠を調べようと思っていて、時間がとれずにいます。ネットで調べた結果としては、いろいろな考え方があるようです。個人では、食料、消費エネルギー、暮らし方によって、それを賄うに足る”面積”に換算し、全人類に平等な方法で割り振った面積を1とし、個人のそして国の暮らし方をその面積比で表していくという点が非常に資源やエネルギーを考える際に理にかなっているように思います。なぜならば、人間はどんな暮らしをするにせよ、地球の資源の物理的な広がりの中にいるからです。その物理的な広がりを表現するさまざまな方法がありますが、Built-up land(道路、建築物等に使われる土地面積)、Fishing ground(海洋淡水域における食糧の採集に必要な土地面積)、Forest(森林-木材・紙原料に必要な土地面積)、Grazing land(牧草地-牧畜用に必要な土地面積)、Cropland(耕作地-食料生産に必要な土地面積)、Carbon(二酸化炭素を吸収するために必要な面積)などで個人の生活、国別の暮らし方がはっきりとでてきます。
問題となるのは、エコロジカルフットプリント”比”が「1」のライフスタイルを日本で可能かどうかについて考えることです。 日本のエコロジカルフットプリント値は、2006年集計のデーターによれば、4.9です。世界平均のエコロジカルフットプリントは、2.7ですから、4.9/2.7=1.8となります。日本は、1.8倍平均よりも地球の資源を多く使っています。
さて、問題なのは、世界のbiocapacityの値です。こちらは、資源側(カーボンでは吸収側)能力です。世界平均が2.1となっています。世界平均が2.7ですから、世界的にも超過となっているわけです。日本エコロジカルフットプリント”比”は、4.9(カーボンでみれば消費)/2.1(カーボンでは吸収)=2.33となります。エコロジカルフットプリント比は、よく報道などで使われる値です。その国のカーボンフットプリント÷世界平均のbiocapacityとなります。
ところで、今回はじめて知ったのですが、日本のbiocapacityがいくつだかご存知ですか? たった0.6です。アメリカの値が非難の的になりますが、面積がでかい資源国ですから、biocapacityも2.3とそれなりの大きさです。
USA エコロジカルフットプリント 9.4
世界平均のエコロジカルフットプリント 1.8
USA biocapacity 2.30
世界平均のbiocapacity 2.1
各国の現状、今後の国の資源、エネルギーの考え方に有力なヒントを与えてくれそうな考え方だと感じました。ただし、非資源国としては、評価が厳しいと国がなりたたなくなる指標となります。また、biocapacityには、おそらくもっと海洋における二酸化炭素の吸収という重要なファクターを海水とプランクトンによる吸収の両面からの再評価も必要な気もします。海洋における二酸化炭素の吸収は、過小評価されていると感じています。ただ、どこまで反映しているのか、反映すべきかについて調べるのは今後の課題にしときます。(t_t)
参考
・EICネット環境用語集 : エコロジカル・フットプリント
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追加情報
・欧州議会、カーボン・フットプリント30%削減を目標-----日刊 温暖化新聞、2008年11月12日
" (欧州議会より)
欧州議会理事部は10月29日付けのプレスリリースで、欧州議会のカーボン・フットプリントを30%削減するという戦略的な計画を進めることを決定したと発表。この削減率はEUの温室効果ガス排出量20%削減を超えている。
.......... "
投稿: 追加情報 欧州議会、カーボン・フットプリント30%削減を目標 | 2008/11/12 11:33