« アウディR10 TDI、世界に先駆けて次世代バイオフューエルとともにルマン24時間に参戦  / プレスリリース Audi Japan | トップページ | エネルギー相会合声明要旨 産油国に増産投資要請 »

2008/06/06

2030年には、作物も減収。洪水も多発---温暖化影響総合予測プロジェクトが発表

Nougyouhenoeikyou_p7
-----image(pop up ; "農業への影響") : 『温暖化影響総合予測プロジェクト報告書の概要』(PDF 0.84MB) 別添資料1、P.7より

 国立環境研究所や農業環境技術研究所などの研究機関でつくる「温暖化影響総合予測プロジェクトチーム」が5/29日日に、地球温暖化による「日本への影響」を発表した。昨日夕方のニュースで、海の環境が海水の温暖化により劇的な変化、悪い方向にかわりつつある地域が紹介されました。磯やけというらしいですが、海と地上でのこうした影響は、日本の自然環境や生活に大きな影響を与える脅威となるという、「見方」は科学の予想によっても次々と裏付けられはじめています。

プレスリリース / 国立環境研究所、2008年5月29日
地球環境研究総合推進費戦略的研究プロジェクト「温暖化影響総合予測プロジェクト」成果発表のお知らせ

" ~ 地球温暖化「日本への影響」-最新の科学的知見- ~
環境省の運営する競争的研究資金である地球環境研究総合推進費の戦略的研究「温暖化影響総合予測プロジェクト」は、平成17(2005)年にスタートし、平成19年度で前期研究期間(3年間)が終了したことから、これまでの研究成果を公表します。
前期研究期間においては、今世紀中頃(2050年頃)までに重点をおきつつ今世紀末までを対象として、水資源、森林、農業、沿岸域、健康といった我が国の主要な分野における温暖化影響予測及び経済評価を行いました。さらに、影響・リスクを総合的に解析・評価するための統合評価モデルを開発しました。
..........
本報告は、「温暖化影響総合予測プロジェクトチーム」(茨城大学、国立環境研究所、東北大学、農業環境技術研究所、森林総合研究所など14機関)がとりまとめたものです。

1.プロジェクトの概要
(1)プロジェクト名:「温暖化の危険な水準及び温室効果ガス安定化レベル検討のための温暖化影響の総合的評価に関する研究」(温暖化影響総合予測プロジェクト)
(2)研究期間 前期:2005~2007年度、後期:2008~2009年度
(3)研究プロジェクトリーダー:茨城大学 教授 三村信男
(4)研究参加機関
茨城大学、(独)国立環境研究所、東北大学、(独)農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究所、東京大学、国土技術政策総合研究所、筑波大学、国立感染症研究所、(独)農業環境技術研究所、(独)国際農林水産業研究センター、(独)森林総合研究所、九州大学、名城大学、(株)三菱総合研究所から約45名の研究者が参画
(5)研究予算 2008年度:約1.9億円 (2005~2008年度予算額累積:8.2億円)
(6)研究の概要
我が国及びアジア地域に対する温暖化影響に関する包括的な研究である。温暖化による影響の全体像を定量的に把握し、それに基づく温暖化影響の危険な水準を検討し、さらに安定化排出経路に関する科学的な知見の提示を目標としている。
前期3年間の研究期間においては、今世紀中頃(2050年頃)までに重点をおきつつ今世紀末までを対象として、我が国及びアジア地域の水資源、森林、農業、沿岸域、健康といった主要な分野における温暖化影響予測及び経済評価を行い、さらに、影響・リスクを総合的に解析・評価するための統合評価モデル開発に関する研究を行った。
2.中間報告の要点
我が国を主たる対象として、物理的影響及び経済影響を定量的に評価する様々な手法を開発し、それを用いて水資源、森林、農業、沿岸域、健康の5分野への温暖化影響の地域分布を示す多数のリスクマップを提示した。今世紀半ばには、これらの分野において、洪水や土砂災害の増加、森林の北方への移動と衰退、米作への影響、高潮災害の拡大や沿岸部での液状化リスクの増大、熱中症患者の増加、感染症の潜在的リスクの増大といった多岐にわたる影響が現れる。さらに、これらには地域差がある一方、我が国全体として見ると厳しい影響となるものがある。
気温上昇とその時の影響の程度との関係を示す「温暖化影響関数」を構築し、それを用いて、温暖化が進行する2100年までの気候シナリオに沿って、我が国に対する影響がどのように拡大するかを総合的に検討し、我が国にも比較的低い気温上昇で厳しい影響が現れることを提示した。
近年、温暖化の影響が様々な分野で現れており、本報告書で明らかとなったような悪影響を抑制するためには、早急に適正な適応策の計画が必要である。そこで、必要となる適応策の考え方及び各分野における対策の方向性について整理した。
添付資料
別添資料1 『温暖化影響総合予測プロジェクト報告書の概要』(PDF 0.84MB)
別添資料2 温暖化影響総合予測プロジェクト報告書 『地球温暖化「日本への影響-最新の科学的知見-』(PDF 6.3MB)

温暖化影響総合予測プロジェクト報告書 『地球温暖化「日本への影響-最新の科学的知見-』
目次

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
目次 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
主な研究成果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
報告書の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
報告書の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
世界の温暖化影響研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
Ⅰ. 分野別温暖化影響
1. 水資源への影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
1.1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
1.2 影響評価の対象と方法 ・・・・・・・・・・・・・・・ 11
(1) 洪水氾濫 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
(2) 斜面災害 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(3) 土砂堆砂・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(4) 積雪水資源 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(5) 水需給 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
1.3 水資源影響の将来予測 ・・・・・・・・・・・・・ 14
(1) 洪水氾濫の将来予測 ・・・・・・・・・・・・・・・ 14
(2) 斜面災害の将来予測 ・・・・・・・・・・・ 17
(3) 土砂災害の将来予測 ・・・・・・・・・・・・ 17
(4) 積雪水資源の将来予測 ・・・・・・・・・・・ 17
(5) 水需給の将来予測 ・・・・・・・・・・・・・ 20
2. 森林への影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
2.1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
2.2 影響評価の対象と方法 ・・・・・・・・・・・・・・ 21
(1) ブナ林 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
(2) マツ枯れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
(3) チシマザサ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
(4) 山地湿原 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
(5) ハイマツ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
(6) シラベ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 3
2.3 森林影響の将来予測 ・・・・・・・・・・・・・・・ 23
(1) ブナ林 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
(2) マツ枯れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
(3) チシマザサ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
(4) 山地湿原 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
(5) ハイマツ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
(6) シラベ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 3
3. 農業への影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
3.1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
3.2 影響評価の対象と方法 ・・・・・・・・・・・・・・・ 35
(1) 我が国のコメ生産・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
(2) 世界食料モデルによる温暖化の影響予測 ・ 37
3.3 農業影響の将来予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
(1) 我が国のコメ収量 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39
(2) 世界食料モデルによる気候変化の影響予測 ・・・ 44
4. 沿岸域への影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
4.1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48
4.2 影響評価の対象と方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
(1) 高潮浸水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
(2) 河川堤防 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
(3) 砂浜の経済価値・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
(4) 干潟の経済価値 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50
(5) 液状化危険度の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
(6) 斜面災害リスク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 51
4.3 沿岸域影響の将来予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52
(1) 高潮浸水被害の将来予測 ・・・・・・・・・・・・ 52
(2) 河川堤防脆弱性の将来予測・・・・・・・・・・・ 55
(3) 砂浜の経済価値・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57
(4) 干潟の経済価値・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
(5) 液状化危険度の変化・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60
(6) 斜面災害リスク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62
5. 健康への影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64
5.1 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64
5.2 影響評価の対象と方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64
(1) 熱ストレス死亡リスク・・・・・・・・・・・・・・・ 64
(2) 熱中症・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 64
(3) 大気汚染リスク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65
(4) デング熱・マラリア・日本脳炎・・・・・・・・・・・・・ 65
5.3 健康影響の将来予測 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 66
(1) 熱ストレスによる死亡リスク・・・・・・・・・・・・・・・ 66
(2) 熱中症の将来予測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 67
(3) 大気汚染リスク ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68
(4) デング熱・マラリアの将来予測・・・・・・・ 71
6. 分野別影響の統合評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 79
Ⅱ. 適応策と今後の課題
1. 水資源への影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82
2. 森林への影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82
3. 農業への影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83
4. 沿岸域への影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84
5. 健康への影響・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86
参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88
参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 91
連絡先・研究参画者・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94 "

関連記事
日本の洪水被害年1兆円増、ブナ林消滅 温暖化続けば-----asahi.com,2008年05月30

" ..........
京都議定書に続く次期枠組みの合意内容次第で、将来の気温上昇幅は左右される。世界全体で2050年に半減以下にできれば2度前後の上昇に抑えられるとされている。 "

コメント続き
 東北、北海道では、暖かくなることのメリットを評価する人もいるが、自然はそんなにあまいものではないようですね。原生林が病虫害の影響でなくなりかねない、、、、(t_t)
Japan1999tempJapan2050tempJapan2099temp
-----参考イメージ : Google Earthキャプチャー画像、[]

参考記事
米農務省報告書:気候変動が農業、土地・水資源、生物多様性に及ぼす影響-----日刊 温暖化新聞、2008年06月05日

New vision of climate change through Google Earth  / プレスリリース www.metoffice.gov.uk-----しなやかな技術研究会、2008/05/23



ninki blog ranking

人気blogランキング参加中。クリックお願いします!
上のバナーをクリックしていただくだけで当サイトの- 評価 -の向上になります。ご協力ありがとうございます。





しなやかな技術研究会のタイムライン2Ico_rss --- グリーン・ポストのおすすめ”本”(amazon.co.jpインスタントストア)-----しなやかな技術研究会のGoogleマップ-----はてなのブックマーク-----

-- [ バックナンバー、しなやかな技術研究会のタイムライン1 ]--




[PR GreenPostの商品案内のサイトへ PR]

|

« アウディR10 TDI、世界に先駆けて次世代バイオフューエルとともにルマン24時間に参戦  / プレスリリース Audi Japan | トップページ | エネルギー相会合声明要旨 産油国に増産投資要請 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 2030年には、作物も減収。洪水も多発---温暖化影響総合予測プロジェクトが発表:

« アウディR10 TDI、世界に先駆けて次世代バイオフューエルとともにルマン24時間に参戦  / プレスリリース Audi Japan | トップページ | エネルギー相会合声明要旨 産油国に増産投資要請 »