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2007/04/24

二刀流アルカリ土壌耐性イネの誕生 / プレスリリース 東京大学大学院農学生命科学研究科

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-----image(pop up ; " 図1 通常のイネ(右)は、石灰質アルカリ土壌で栽培すると、鉄欠乏のために葉が黄白化する鉄欠乏クロロシスの症状を示し、生育が抑えられた。これに対して、改変型三価鉄還元酵素遺伝子を導入したイネ(左)は、石灰質アルカリ土壌における鉄欠乏にも耐性を示し良好に生育した。 ") & text : 東京大学大学院農学生命科学研究科、2007/4/23発表より

" 発表概要
 「キレート戦略」と「還元戦略」の二つの鉄吸収機構を兼ね備えた、二刀流アルカリ土壌耐性イネの開発に成功しました。不良土壌における食糧増産や緑化、バイオマスエネルギーの増産に貢献することが期待されます。
 発表内容
 東京大学大学院農学生命科学研究科では、後で述べるキレート戦略と還元戦略の2つの鉄吸収機構を兼備することによって、アルカリ土壌における鉄欠乏を克服して、良好に生育するアルカリ土壌耐性イネを開発することに成功しました。
 世界には、農耕地としては生産性の極めて低い不良土壌が全陸地の67%も存在し、その約半分はアルカリ土壌です。このアルカリ不良土壌においても画期的に高い植物生産性を上げることができれば、食糧の増産ばかりでなく、緑化による二酸化炭素の減少、すなわち地球温暖化防止や、砂漠化の防止などの環境問題への貢献、バイオマス増産などによるエネルギー問題の解決にも貢献することが期待されます。
 石灰質アルカリ土壌では、植物の生育に必須の栄養素である鉄が、水に溶け難い水酸化第二鉄の形態となっているために、植物は鉄を吸収できません。その結果、鉄欠乏症(人間でいえば貧血症)となり枯れてしまいます。この土壌中の難溶性の鉄を吸収して利用するために、植物は大きく分けて2つの鉄吸収機構を進化的に発達させてきました。イネ、ムギ、トウモロコシ、サトウキビなど主要な作物が属するイネ科の植物は、キレート物質であるムギネ酸類を根から分泌して、土壌中の不溶態の三価鉄を水に溶けやすいキレート化合物である「三価鉄・ムギネ酸類」として、そのままの形で吸収するキレート戦略をとっています。一方、イネ科以外の植物は、根の表面の三価鉄還元酵素によって、三価鉄を水に溶けやすい二価鉄に還元して、二価鉄イオンの形で吸収する還元戦略をとっています。
 私達はこれまでにオオムギにおけるムギネ酸類の全生合成経路を解明し、そのすべてのステップを触媒する酵素の遺伝子を単離してきました。さらに、これらのオオムギのムギネ酸類生合成経路上の酵素遺伝子をイネに導入することにより、キレート戦略を強化した石灰質アルカリ土壌耐性のイネを作出することに既に成功しています。
発表雑誌
米国科学アカデミー紀要(電子版)April, 2007
Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)
Mutational Reconstructed Ferric Chelate Reductase Confers Enhanced Tolerance in Rice to Iron Deficiency in Calcareous Soil.  "
(英論文へのリンクが公開されています。)

関連記事
「不良土壌」で育つイネ 東大開発、温暖化防止貢献に期待-----イザ!、2007/4/23

コメント
 東大で、石灰質アルカリ土壌に育つ米が開発されたという。遺伝子操作の結果なのでしょう。「世界には、農耕地としては生産性の極めて低い不良土壌が全陸地の67%も存在」そうだ。稲が、世界の食料、エネルギーのひとつのソリューションを提供してくれることにつながるのなら、遺伝子操作という技術も容認されるのかもしれない。しかし、この分野のリスクをわれわれはほとんど知らないし、知らされていない。ただ、人間は、考え付くことはすべて実現しようとする動物だそうだ。また、実現可能ならば、いつかは実現する存在だとも思う。可能性と若干の恐ろしさを感じる。
 
 ご飯は、おいしい。稲はそれにもともと非常に強い植物だといわれている。しかし、日本の米は高度に品種改良された結果、土、水を選ぶ。温度環境にも古来種より弱いという話だ。また、遺伝子操作ではなく、日本のお百姓さんの手で、長い年月をかけて改良されてきた品種もある。実験室の米ではなく、人間が環境中で時間と労力をかけて品種改良してきた品種だ。稲をめぐるさまざまな技術は、人間にとって都合のいい方向へといずれにしろ導かれようとしている。だが、地球環境全体をみると、人間の手でむしろ温暖化という弊害を生み出していることを忘れてはいけないのではないか、、、大枠、僕らは失敗している事実を見つめる必要がある。どの技術開発の現場でも、、、、(t_t)。



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