IHIの燃料電池ユニットを積んだボーイング 737 ecoDemonstratorがテストフライトを実施
IHIの燃料電池ユニットを積んだボーイング 737 ecoDemonstratorがテストフライトを実施したとのことです。ボーイング社は、燃費の向上、静穏化、そして環境を意識した使用部材の調達などに一貫して取り組む実証機の開発、 ecoDemonstratorプロジェクトを実施しています。
今回は、米国シアトル近郊においてアメリカン・エアラインのボーイング737型機を用いてのテスト飛行が行われました。その機には、民間航空機用補助電源の製品化に向けて開発されたIHIの燃料電池ユニットが搭載されたとのことです。発電規模などは明らかになっていませんが、フライト試験では、航空機の離陸前から高度上昇中において、燃料電池からの発電による電力供給を行い、巡航飛行時に航空機の電源を用いて充電を実施、その後、再度、発電、充電、発電のサイクルを行うことに成功したとのことです。
また、過去にはボーイング社や電動プロペラ小型機による燃料電池駆動型の小型飛行機を開発を行っています。きわめて高い安全性と機能性が問われる航空機搭載用の発電ユニットとしての燃料電池の開発が続いています。
・ボーイング社が燃料電池駆動型の小型飛行機を開発-----しなやかな技術研究会、2008/04/08
プレスリリース / IHI、2012年10月4日
・世界初となる再生型燃料電池システムの民間航空機飛行実証に成功 -IHI/ボーイング共同研究によるフライト試験-
"IHIとIHIエアロスペースは、米ボーイング社と共同で再生型燃料電池システムを民間航空機に搭載し、飛行実証することに成功しました。再生型燃料電池システムの飛行実証は、世界初の試みとなっています。再生型燃料電池は、充電可能な燃料電池であり、エンジンとは独立して電力を供給することが出来ます。また副産物は水のみであるため、省エネルギー化、二酸化炭素排出削減を可能とし、航空機の環境負荷を低減することができます。今回の飛行実証は、ボーイング社の環境対応技術実証を目的としたecoDemonstrator計画の一環として、米国シアトル近郊においてアメリカン・エアラインのボーイング737型機を用いて行われました。フライト試験では、航空機の離陸前から高度上昇中において、燃料電池からの発電による電力供給を行い、巡航飛行時に航空機の電源を用いて充電を実施、その後、再度、発電、充電、発電のサイクルを行うことに成功しています。
再生型燃料電池の航空機適用技術は、経済産業省が公募した「航空機用先進システム基盤技術開発(航空機システム革新技術開発)」で採択されたプログラムを活用し、平成21年度より研究を行ってまいりました。 ここで得られた研究結果を、ボーイング社との共同研究でのフライト実証試験につなげることにより、今回の成功に至っています。
航空機という閉鎖空間に、水素ガスを用いた燃料電池システムを搭載する必要があったため、飛行安全をどのように確保するかという部分が、一番重要な課題でした。水素ガスを民間航空機に搭載するための基準が現状は存在しないため、航空機の安全性確保のための安全設計基準を検討し、安全性解析、システム設計をボーイング社と共同で繰り返して行いました。 本システムにおいては、航空機を安全に飛行させるためのバックアップを含め、各種安全機能が備えられていることが特徴となっています。IHIは、ジェットエンジンでは国内最大のシェアを有し、航空機装備品メーカーとしての経験は豊富です。また、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と地上発電用燃料電池の研究開発を行った経験があり、IHIエアロスペースにおいてもJAXA(宇宙航空研究開発機構)と成層圏プラットフォーム飛行船プロジェクトの電源系開発の一環として再生型燃料電池の研究を進めてきており、今回 実証した再生型燃料電池システムの基礎技術になっています。
IHIは、今回得られた経験をもとに、再生型燃料電池の小型化、大出力化の改良を進め、航空機の低燃費及び環境負荷低減に寄与する将来の民間航空機用補助電源の製品化に向けた検討を実施していきます。
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関連
・Boeing, American Airlines, FAA collaborate on 737 ecoDemonstrator Airplane-----Boeing,Sept.18, 2012(PRNewswire版)
" Boeing (NYSE: BA) and American Airlines today showcased a Next-Generation 737-800 airplane known as ecoDemonstrator in Washington, D.C., to highlight testing of environmentally progressive technologies. The visit to the nation's capital follows extensive flight testing in Glasgow, Montana, where it flew a series of missions designed to test and accelerate advanced technologies that increase fuel efficiency and reduce airplane noise.
Top officials from Boeing, American Airlines, and the Federal Aviation Administration (FAA) held a joint news conference at Reagan National Airport to highlight innovation and collaboration among government and industry.
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Other technologies on the 2012 ecoDemonstrator airplane include variable area fan nozzles, active engine vibration reduction, a regenerative fuel cell, and testing of flight trajectory optimization to enable more efficient routing for fuel savings. With fuel now the leading operating expenditure for airlines worldwide and increasingly stringent environmental regulations, improving fuel efficiency and reducing carbon and noise emissions is a top priority for the aviation sector.
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(Boeing : ecoDemonstrator Takes Flight-----September 17, 2012)
参考エントリー
・ボーイング社が燃料電池駆動型の小型飛行機を開発-----しなやかな技術研究会、2008/04/08
おすすめエントリー
・週刊GreenPost 43号 - しなやかな技術研究会 2012/10/9-12日版
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