1.概要
独立行政法人海洋研究開発機構(略)地球環境変動領域・寒冷圏気候研究チームの猪上淳主任研究員らは、冬季バレンツ海を発生源とする低気圧の経路が近年の海氷減少に伴い通常より北側を通過していることを気象データの解析により示しました。この低気圧経路の変化によって、北極海上はより暖められる一方、シベリアでは北からの寒気が入り込みやすい状況が形成されます。これは地球温暖化が進行するにもかかわらず、近年の日本の冬が寒い原因の一つであることを意味し、海氷減少と北極温暖化が中緯度の気候変動と密接に関連することを示した極めて重要な知見です。
この成果は、米国気象学会発行の学術誌Journal of Climateの3月号に掲載予定です(1月26日付けでEarly Online Release版に掲載済み)。
タイトル:
The role of Barents Sea ice on the wintertime cyclone track and emergence of a warm-Arctic cold-Siberian anomaly
著者名:
猪上 淳1・堀 正岳1・高谷 康太郎2
1.独立行政法人海洋研究開発機構 地球環境変動領域 寒冷圏気候研究チーム
2.同機構 同領域 中・高緯度域気候変動予測研究チーム
2.成果
本研究では、バレンツ海の海氷が少ない冬は低気圧の経路が通常のシベリア沿岸域よりも北極海側にシフト(北上)することを見出し(図1赤矢印)、その結果形成される気圧配置の変化(図1暖色域)が北極海上の温暖化を促進する一方、大陸上では寒冷化が起こりやすい状況になることを明らかにしました(図2a)。ここで形成された寒気は数日後には日本に到達することが多く、日本の冬の寒さとも密接に関連します。本研究では、この北極の温暖化と大陸の寒冷化のパターンをWACS偏差(ワックス:warm-Arctic cold-Siberian anomaly)と名付けました。2011/2012年の冬も「平成18年豪雪」(2005/2006年冬)と同様、バレンツ海の海氷面積が著しく少なく、WACS偏差によって例年よりも寒い冬となりやすいことを説明することが可能です(図2b、図3、図4)。
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今週のトピックスの中で、地味ながら私の周囲で盛り上がったのが、波力発電所でした。きっかけは、下のスペインのMutriku港に300KW振動水柱型(OWC)波力発電所の話題からでした。この振動水柱型(OWC : Oscillating Water Column)と呼ばれる方式は、実は過去に日本でも複数の研究が行われていたが、その後”忘れ去られた”という歴史があるということでした。
Oscillating Water Columns (OWCs) are simple constructions that act like a piston and cylinder. As the wave rises within the OWC, it replicates the action of a piston, driving a column of air ahead of it and past the turbine. As the wave recedes the opposite effect is experienced. Air is sucked back into the OWC and past the turbine.
To make the energy extraction effective, the cross sectional area of the OWC is narrowed as it approaches the turbine. This serves to accelerate the air so that it reaches its maximum velocity as it passes the turbine.
Oceanlinx has developed two variants of the OWC concept; one for shallow water (greenWAVE) and one for deeper water (blueWAVE). Both variants use the same fundamental principles of the oscillating water column, the same turbine (airWAVE), and the same generator and control systems.
オーシャンパワー・テクノロジー Ocean Power Technologies社のブイ型波力発電 パワーブイ Power Buoy がハワイ、スコットランド、そしてまもなく開始されるアメリカ、オレゴン州での実証テストにより実用化に向けて動き始めました。日本でもブイ型ということもあり、導入しやすいと思います。実際に検討もされているようですので、今後が楽しみです。