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日米スマートグリッドプロジェクト、ロスアラモスで設備が完成し、本格的な実証運転を開始

 NEDOがとりまとめ日本企業が参加する日米スマートグリッド実証プロジェクトにおいて、ロスアラモス郡の実証サイトが完成、本格的な実証運転に入ったとのことです。
 完成した施設では、天候により発電出力が変動するPVを大量に配電線に連系(実証サイト内の電力使用に対し最大約75%のPV発電量)し、電力系統用大型蓄電池制御とデマンドレスポンス(需要家による電力消費の調整)を用いることにより、配電線の電気の流れを制御し、品質を確保するシステムの構築を行い、いわゆる需給調整などを行うということです。
 具体的なシステムは、太陽光発電所(日米それぞれ1MWpずつで2MWp)、0.8MWの鉛蓄電池、1MWのNAS蓄電池、見学することが可能なスマートハウスのモデルハウス、エネルギーマネージメントシステムなどが建設され、付近の2000戸のスマートメーターを備えた住宅も参加して、地域をあげスマートグリッドの実証実験が行われるということです。

 日本側は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)がとりまとめ、以下のような参加企業の実施体制がとられているとのことです。

スマートグリッド・スマートハウス実証に関わる委託先:7社

東芝(スマートグリッド実証リーダー、μEMS、全体システム構築)
京セラ(メガソーラー構築、スマートハウス実証リーダー、HEMS)
伊藤忠テクノソリューションズ(PV発電予測)
シャープ(HEMS、スマート家電)
日本ガイシ(NAS電池システム)
日本電気(高速PLC、需給安定化装置)
日立製作所(電力系統用鉛蓄電池システム、メガソーラー用大容量PCS)

 スマートグリッド実証では、設置した1MW規模のPV由来の電力を、3つの配電線の接続を切り替えることによって導入比率を変化できる環境を構築。地域エネルギーマネジメントシステム(μEMS)により、蓄電池1.8MWやスマートハウスを含む一般需要家へのデマンドレスポンスを用い、PVの出力の変動を吸収しつつ配電線の電力潮流を既存電力システムと協調し最適に制御するシステムを構築し、実証するとのことです。
 また、スマートハウス実証では、3.4kWのPV、24kWhのリチウムイオン電池、ヒートポンプ給湯器といった蓄エネルギー機器、エアコンやLED照明などのスマート家電を導入し、μEMSから送られてくるデマンドレスポンス信号とPV発電予測量や宅内電力需要予測を考慮しつつ最適制御するホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)が構築され、見学などによる、プレゼンテーションも予定されているようです。


 アメリカ側は、 ロスアラモス国立研究所が中心となってこの実証実験が行われます。ロスアラモス国立研究所Los Alamos National Laboratory、LANL)といえば、第二次世界大戦中に、マンハッタン計画の中で原子爆弾の開発を目的として創設された研究施設として知られています。原子力エネルギーの開発の利用の歴史において、広島・長崎という民衆に対する無差別大量兵器の利用における投下側と被爆側という鮮烈な過去を、もつ両国がこの地で電力、エネルギーの共同研究を行うと知って、過去を思い出すと複雑な思いに駆られます。

 2010年の ロスアラモス国立研究所の記事のタイトルは「アトミックシティにおける、太陽光発電とスマートグリッドの実証プロジェクト」についての以下のような記事がありました。

Solar Smart Grid in the Atomic City-----Los Alamos National Laboratory - 1663 Science and Technology Magazine,November 2010
Los_alamos_national_laboratory2010_
-----image : 上記Newsより

 日米の原子力エネルギーの利用における、過去に触れることなく、さらっと研究内容にしぼって紹介されています。もっとも、最近の同研究所の研究内容をみると、原子力はそれほど目立ちません。それ以外の技術は表面上では紹介され、原子力は隠されているだけかもしれませんが、、、、

 今回の日米共同実証プロジェクトは、2014年の春までの予定で行われます。続報があれば、また紹介してみたいと思います。


プレスリリース / 新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDO、2012年9月18日
ロスアラモス郡のスマートグリッド実証サイトが始動

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-----image : 同リリースより

" 米ニューメキシコ州で日米共同実証プロジェクト

 NEDOが、米国ニューメキシコ州において同州政府等と共同で取組んでいる日米スマートグリッド実証プロジェクトのうち、ロスアラモス郡の実証サイトが完成、本格的な実証運転に入りました。同州におけるスマートグリッド実証プロジェクトは、NEDOが海外で実施するスマートコミュニティ事業の最初のケースで、アルバカーキ市の実証サイトが既に運転を開始しています。
 ロスアラモス郡のサイトは、天候により発電出力が変動するPVを大量に配電線に連系(実証サイト内の電力使用に対し最大約75%のPV発電量)し、電力系統用大型蓄電池制御とデマンドレスポンス(需要家による電力消費の調整)を用いることにより、配電線の電気の流れを制御し、品質を確保するシステムを構築し、実証します。本実証の要素を組み入れたいわゆる需給制御は世界でも最先端なスマートグリッド実証です。
 実証運転に先立ち、9月17日14時00分(現地時間)に実証サイトで運転開始式を行ないました。
 運転開始式には、NEDO古川一夫理事長およびロスアラモス郡でのスマートグリッド実証の委託先リーダー企業である株式会社東芝/佐々木則夫社長、スマートハウス実証の委託先リーダー企業である京セラ株式会社/前田辰巳副社長はじめ本事業に関係する委託先企業、ニューメキシコ州Susana Martinez知事、ロスアラモス国立研究所Charles F. McMillan所長らが出席いたしました。

1.実証事業の概要
(1) ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証事業
 本事業は、NEDOが米ニューメキシコ州政府および米連邦政府エネルギー省(DOE)傘下の国立研究所(ロスアラモスおよびサンディア)などと協力して行うスマートグリッドの共同プロジェクトです。
 NEDOは、同州政府が州内5カ所で行うスマートグリッド実証プロジェクトのうち、ロスアラモス郡とアルバカーキ市の2カ所で連携、2009年度から2013年度まで予算額約48億円(ロスアラモスサイト約30億円、アルバカーキサイト約18億円)でスマートグリッド実証を展開。新エネルギーの導入拡大、省エネルギーの推進に向け、日本国内で培ってきた優位な技術(系統用大型蓄電池、エネルギーマネジメントシステム等)を実証し、世界各国で急速に概念整理が進むスマートグリッドの標準化活動へ参画すること、また日本のスマートグリッド関連技術の海外への展開を目的に、日米共同事業として本実証事業を進めています。

100503260
-----image[”ロスアラモスサイトとアルバカーキサイト(米国ニューメキシコ州 引用:Google map)”] : 同リリースより
 本事業は、出力が不安定な再生可能エネルギーが大量に配電系統へ導入された場合の課題を解決するために、〔1〕蓄電池とデマンドレスポンスを組み合わせた太陽光発電の導入比率が高い配電系統におけるスマートグリッドの実証、〔2〕デマンドレスポンスを行う都市の構成要素としてのスマートハウスの実証(太陽光発電の予測と電力系統側からのデマンドレスポンス信号を考慮した世界最高水準のシステム)、〔3〕スマートグリッドの中でデマンドレスポンスを行う構成要素としてのスマートビルの実証(太陽光発電による変動の吸収、また非常時(停電など)に自立運転が可能な、世界でも稀にみる低炭素・高品質電力供給システムを有する高機能ビル)を行います。
 これにより、デマンドレスポンス効果の定量的な把握とともに、デマンドレスポンス効果を加味したうえで、太陽光発電の変動吸収に必要となる蓄電池容量を明らかとする等により、同環境における最適なスマートグリッドの構築が可能となります。また、本実証データを活用することによって、他地域へ新たに展開する際に最適なシステムの設計が可能となり、迅速な展開に繋げていくことが期待できます。

(2) ロスアラモス郡における実証内容
 本年5月17日にアルバカーキ市の実証サイトが実証運転を開始したのに続き、ロスアラモス郡の実証サイトでは、NEDOから委託された11社※が、スマートグリッド実証とスマートハウス実証を行ないます。
 スマートグリッド実証では、設置した1MW規模のPV由来の電力を、3つの配電線の接続を切り替えることによって導入比率を変化できる環境を構築します。本環境を最大限に活用し、地域エネルギーマネジメントシステム(μEMS)により、蓄電池1.8MW、スマートハウスを含む一般需要家へのデマンドレスポンスを用い、PVの出力の変動を吸収しつつ配電線の電力潮流を既存電力システムと協調し最適に制御するシステムを構築し、実証します。
 また、スマートハウス実証では、3.4kWのPV、24kWhのリチウムイオン電池、ヒートポンプ給湯器といった蓄エネルギー機器、エアコンやLED照明などのスマート家電を導入し、μEMSから送られてくるデマンドレスポンス信号とPV発電予測量や宅内電力需要予測を考慮しつつ最適制御するホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)を構築し、実証します。

Nedo_n_usdoesmartgrid2012project

-----image(”米国ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証事業 ロスアラモス郡での実証事業の概要”) : 同リリースより
..........
※)ロスアラモス郡における事業に関わる委託先:11社(両事業に関わる会社を1社としてカウント)
・スマートグリッド・スマートハウス実証に関わる委託先:7社
株式会社東芝(スマートグリッド実証リーダー、μEMS、全体システム構築)、京セラ株式会社(メガソーラー構築、スマートハウス実証リーダー、HEMS)、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(PV発電予測)、シャープ株式会社(HEMS、スマート家電)、日本ガイシ株式会社(NAS電池システム)、日本電気株式会社(高速PLC、需給安定化装置)、株式会社日立製作所(電力系統用鉛蓄電池システム、メガソーラー用大容量PCS)

・実証から得られるデータマネージメントおよびデータを活用した総括研究に関わる委託先:8社
アクセンチュア株式会社、伊藤忠商事株式会社、株式会社NTTファシリティーズ、京セラ株式会社、株式会社サイバーディフェンス研究所、株式会社東芝、日本電気株式会社、株式会社日立製作所
..........
)JSCA(ジャパン・スマートコミュニティ・アライアンス)は、スマートコミュニティ構築に向けて業界の垣根を越えて経済界全体としての活動を企画・推進するとともに、行政ニーズの集約、障害や問題の克服等の共通課題に取り組むために平成22年4月に設立した団体。事務局はNEDOが務める。
2.運転開始式出席者
.......... "


関連
米ニューメキシコ州でスマートグリッド実証を開始―サイトが完成、17日に運開式―-----NEDO、2012年5月9日

".....(1)日米スマートグリッド実証事業および運開式について
 本事業は、NEDOが米ニューメキシコ州政府および米連邦政府エネルギー省(DOE)傘下の国立研究所(ロスアラモスおよびサンディア)などと協力して行うスマートグリッド※の共同プロジェクトです。NEDOはニューメキシコ州政府が、州内5カ所で行うスマートグリッド実証プロジェクトのうち、ロスアラモス郡とアルバカーキ市の2カ所で連携し、スマートグリッドに関する実証を展開します。新エネルギーの導入拡大、省エネルギーの推進に向け、日本国内では実証研究が難しい技術(デマンドレスポンス、屋外における高速PLCによる通信等)を実証し、世界各国で急速に概念整理が進むスマートグリッドの標準化活動へ参画すること、また日本のスマートグリッド関連技術の海外への展開を目的に、日米共同事業として2009年度より実証事業を進めて参りました。....."

ロスアラモス郡のスマートグリッド実証サイトが始動-----京セラ、2012年09月18日

Los Alamos National Laboratory
- Lab signs Smart Grid modeling and simulation agreement Mar. 8, 2010

Los Alamos Adds Brains to Its Electric Grid-----ABQ journal,Sep 17, 2012

"The Los Alamos system includes:
♦ A 2 megawatt solar photovoltaic array
♦ Massive back-up battery storage system
♦ A demonstration “smart house” with intelligent appliances and energy systems that people can tour
♦ New meters on 2,000 homes for real-time monitoring of electric consumption
♦ Central command-and-control center to run the network"

・Wikipedia : ロスアラモス国立研究所

Los_alamos_national_laboratorygoogl
-----image : Googleマップ : ロスアラモス研究所より

NEDOのスマートグリッド戦略を聞く!(1):始動する新プロジェクト----WBB Forum、2010-03-17

関連2
Los Alamos Smart Grid

(ladpu,2012/09/19)

Los Alamosnm - Official County Web Site : Los Alamos Smart Grid - DPU-NEDO Demonstration Smart Grid Collaboration

追加情報
2030年までに、40%以上を再生可能エネルギーで賄う計画のハワイで、日米スマートグリッドが稼動-----ソフトエネルギー、2013/12/19

関連エントリー
経済産業省、スマートグリッドに関する国際標準化ロードマップについて資料、タイムテーブルなどを公表-----しなやかな技術研究会、2010/02/09


参考エントリー
北九州市のスマートコミュニティ創造事業。デマンドレスポンス実証試験実施中。変動料金制も-----ソフトエネルギー、2012/06/06


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