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京大、戸田建設ら、環境省の五島沖の浮体式風力発電実証試験の第一段階100kW基によるテストを開始

 京都大学、そして環境省浮体式洋上風力発電実証事業の受託者代表の戸田建設らのグループは、五島沖で浮体式風力発電実証試験の第一段階として100kWモデルを予定海域に設置したと発表しました。系統連系を行う浮体式洋上風力発電施設としては国内初とのことです。

 国内の浮体式としては、同じく京都大学らが長崎県で実施した10分の1モデルの実海域実験と博多湾の風レンズ風車の2例があるのみです。系統連系を行うこと、さらに五島沖の風況と海の状況も考えるとわが国初の本格的な実証試験となる内容のプログラムです。

京都大学、佐世保重工業など、浮体式洋上風力発電プラットフォームの10分の1モデルの実海域実験を実施-----ソフトエネルギー、2009/09/09
いよいよ博多湾に姿を現した、浮体式風レンズ風力発電機。実証実験始まる-----ソフトエネルギー、2011/12/06

 今回の小規模試験機の形状・寸法は、将来開発が予定されている2MW級実証機の約1/2の大きさで、一番深いところから風車翼(ブレード)の先端までの全長が71mで、海面上に浮いて見える部分の高さは34mとなります。また、支柱の円筒径は最大で3.8m、総重量は約350トンです。100kWの風力発電機のスペックは、報道などの内容も合わせた情報では、直径22mの三枚翼の風車ローター面がタワーの風下側となるダウンウィンド型です。浮体の最大の特徴は、釣りの浮きのように支柱そのものが浮体となるハイブリッド・スパー(spar : 円材)型である点です。海底とは3本のチェーンで係留されます。ハイブリッド・スパー型浮体は、先の長崎県で実施した10分の1モデルでも採用され、その性能が確認されています。

 実証海域として選定された五島市椛島周辺海域は、深さ約100m。これまでの気象・海象観測を通じて年平均風速約7.5m/s(海上60m)が見込める一方、有義波高1m以下の出現頻度が年間約89%と穏やかであることを確認されている海域であるということです。

 環境省浮体式洋上風力発電実証事業 受託者グループメンバーの役割は、グループ代表が戸田建設。風力発電機が富士重工業、環境などの評価が芙蓉海洋開発、技術研究が京都大学と海上技術安全研究所となっているようです。浮体(スパー)の建造は、協力企業として佐世保重工業が担当したようです。

 採用されている富士重工業の風力発電機については、"コメント続き"のほうに情報をアップしてあります。是非お読みください。

 今後のスケジュールは、7月中には運転を開始。系統連系をおこなう国内初の本格的な浮体式洋上風力発電施設としての稼動が期待されます。この小規模試験機は、約1年後に計画している2MW級実証機の設置に先立って撤去され、浮体・チェーンへの生物付着や腐食・摩耗状況等の調査が行われます。総合的な環境への影響や、施設の動揺・発電状況、等が試験されます。

プレスリリース / 京都大学、2012年6月12日
100kW風車を搭載した浮体式洋上風力発電施設の洋上設置に成功 -系統連系を行う浮体式洋上風力発電施設としては国内初-

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-----image(”写真1:洋上設置状況写真、上下とも”) : 同リリースより
Kyoto_univgotou2012floatingwind2

" このたび、京都大学を含む環境省浮体式洋上風力発電実証事業委託業務の受託者グループは、系統連系を行う浮体式洋上風力発電施設としては国内初となる100kW風車を搭載した浮体式洋上風力発電施設の長崎県五島市椛島周辺海域での洋上設置を6月9~11日に実施し、これに成功しました。本成果は、本学が戸田建設株式会社、日本ヒューム株式会社、佐世保重工業株式会社とともに2009年9月に実施したハイブリッドスパー型10分の1モデルによる浮体式洋上風力発電プラットフォーム実海域実験の成功に引き続くもので、本学が代表となって受託した平成22年度環境省浮体式洋上風力発電実証事業における成果を踏まえて実施されたものです。

目的
 国内の中長期的な温室効果ガスの排出削減を進めるため、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー導入の推進がますます重要となっています。我が国は、排他的経済水域の面積が世界第6位の海洋国であり、洋上には風力発電の大きな導入ポテンシャルを有することが明らかになっています。また、洋上は風速が強く、その変動が少ないため、安定かつ効率的な発電が見込まれ、その実用化が期待されています。

 洋上風力発電のうち、水深が浅い海域には着床式が適していますが、導入ポテンシャルのより大きな比較的深い水深の海域に対応するためには浮体式を採用する必要があります。しかしながら、浮体式洋上風力発電は世界的にも実証段階であり、国内での導入事例もありません。

 このため、環境省では、我が国初となる2MW級の浮体式洋上風力発電実証機1基を実海域に設置することを目指して2010年度から実証事業を開始しており、受託者グループは、これまでに候補海域の選定(長崎県五島市椛島周辺)、環境影響調査や風力発電施設の設計・建造・設置に係る検討を実施してきました。

 今回の100kW風車を搭載する小規模試験機設置の目的は、環境影響や安全性に関する情報を収集して周辺地域関係者の安心感の醸成に努めるとともに、風や波による浮体の揺れが設計どおりになっているか、揺れる浮体に搭載された風車によっても計画どおりに発電できるか、等を検証した上で、2013年度に設置を予定している2MW級の浮体式洋上風力発電実証機の建造や風車制御にその成果を反映することにあります。

 なお、実証海域として選定した五島市椛島周辺海域は、気象・海象観測を通じて年平均風速約7.5m/s(海上60m)が見込める一方、有義波高1m以下の出現頻度が年間約89%と穏やかであることを確認しており、洋上風力発電に好適な自然環境条件を有しています。

特徴および形状寸法
 小規模試験機は、スパー型と呼ばれる、細長い円筒形状の浮体構造の上に、風車およびタワーが海上に突出して固定されている構造を基本としており、細長い円筒形は風や波が当たっても揺れにくいという利点を活かしています。この小規模試験機は、3本のチェーンで海底に係留されます。

 浮体構造としては、浮体上部には鋼、下部にはコンクリートを使用する、本学・戸田建設グループによって開発された「ハイブリッドスパー型」と呼ばれる形式を採用しています。コンクリートは水圧や錆にも強いため、これを浮体下部に用いることでコストダウンを図るとともに、重心を下げ安定性も向上させています。なお、系統連系する浮体式洋上風力発電施設としてハイブリッドスパー構造を採用したものは、今回の小規模試験機が世界初となります。

 小規模試験機の形状・寸法は、2MW級実証機の約1/2の大きさで、一番深いところから風車翼(ブレード)の先端までの全長が71mで、海面上に浮いて見える部分の高さは34mとなります。また、円筒径は最大で3.8m、総重量は約350トンです。

 風車の形状は、風車ローター面がタワーの風下側となるダウンウィンド型としており、特にスパー型浮体との組み合わせにおいてより安定性に優れた形式となっています。

01

-----image(”図1:今回設置した浮体式洋上風力発電施設の形状寸法”) : 同リリースより

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-----image(”図2:設置場所”) : 同リリース

設置までの経緯および今後のスケジュール
 本事業の実施に当たり、自主的に環境影響評価を実施し、必要な調査・予測等をおこない、事業者の実行可能な範囲内で影響を十分に回避低減された計画であることを確認しています。また、小規模試験機設置に当たり必要となる許認可を取得し、約3ヶ月をかけて製作した各構成部材を岸壁にて横向きに一体化させ、これを設置海域まで曳航して、建起し、所定位置への移動および係留作業をおこないました。
..........
今後、発電に必要となる海底ケーブルの布設、風車電気設備の接続・試運転をおこなった上で、7月中には運転を開始する予定であり、系統連系をおこなう国内初の本格的な浮体式洋上風力発電施設がまもなく誕生します。

 なお、この小規模試験機は、約1年後に計画している2MW級実証機の設置に先立って撤去し、浮体・チェーンへの生物付着や腐食・摩耗状況等の調査をおこなう予定ですが、それまでは運転を続け、環境への影響や、施設の動揺・発電状況、等を観測していきます。

環境省浮体式洋上風力発電実証事業 受託者グループ:
(代表)戸田建設株式会社
富士重工業株式会社
芙蓉海洋開発株式会社
京都大学
独立行政法人海上技術安全研究所
.......... "

関連
100kW風車を搭載した浮体式洋上風力発電施設の洋上設置に成功-----戸田建設、2012年6月12日

芙蓉海洋開発 : 再生可能エネルギー

富士重工業 : スバル風力発電システム

ハイブリッドスパー型 10分の1モデルによる浮体式洋上風力発電プラットフォーム実海域実験に成功-----京都大学、2009年9月8日

環境省、国内初の浮体式風力発電の実証地として五島沖を選定、実証実験へ。2016年の実用化を目指す-----ソフトエネルギー、2010/12/24


参考エントリー
浮体式洋上風力発電 Floating Wind Turbine / 自然エネルギーの世界-----自然エネルギー、2010/12/24


コメント続き

 今回の実験について富士重工からもなんらかのアナウンスがあることを期待したのですが、今のところでていません。何を気にしているかというと、富士重工業が7月に風力発電システム事業を今年の7月より日立に事業譲渡すると発表していることです。
 ということで、ローター直径15mの40kW(SUBARU 15/40)そして、今回の五島沖の100kW機にも採用された直径22mの100kW機であるSUBARU 22/100。そして、ダウンウインド型を採用したローター直径80mの2MW機であるSUBARU 80/2.0の行く末にひときわ関心があるということです。

富士重工業の風力発電システム事業を日立に事業譲渡-----富士重工業、2012年3月30日

 今回の五島沖で採用されたのは、直径22mの100kW機であるSUBARU 22/100、ダウンウィンドタイプであることがわかっています。海外のサイトなどには、SUBARU 22/100で検索するとスペック情報が得られます。富士重工のサイトでは、100kW機の情報はみつかりませんでした。

 直径22mの100kW機であるSUBARU 22/100は、2MW機がダウンウィンドタイプになった重要な実験が行われた際の貴重な実験機でもあったようです。国内で離島用風力発電システム等技術開発が平成14年に行われた際に、アップウィンドタイプとダウンウィンドタイプの二つが伊是名島に建設され、実証運転試験が行われたというこです。わが国の小型、大型風車の開発に大きな貢献をしてくれたということです。(「離島用風力発電システム等技術開発」 事後評価報告書 /平成16年3月独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 研究評価委員会のリポートより)

 そのときの写真がないかと探したら、ありました。メカ好きとしては、SUBARU 22/100の今回での実験での活躍と、今後にも関心をもってしまいます。

Subaru_22100_down_n_upwind
-----image : Development of new 2MW wind turbines adaptive to japanese particular conditions
Fuji Heavy Industries(SUBARU,Feb,2006-European Wind Energy Conference-)より

参考
富士重工業 「スバル小型風力発電システム」を開発-----富士重工業、平成12年11月1日

111fusha_2
-----image : 同リリースより

" 富士重工業(田中 毅社長)は、「スバル小型風力発電システム」を開発、その試作機を同社宇都宮製作所に設置した。このシステムは、同社の航空宇宙事業本部が、長年航空機でつちかった空力・制御・材料・構造設計などのノウハウを背景に、開発を行ってきたものである。

 「スバル小型風力発電システム」の試作機は、可変速制御、永久磁石式多極同期発電機など、最先端とされている技術を適用している。ブレードは3枚で、風車の中心までの高さが22m、風車の直径が15mで、風車が回転しているときの最大地上高は約30mの大きさである。定格出力は40kWで、風速2m/sec以上であれば発電可能である。風力発電システムとしては小型であり、低騒音を実現するとともに、景観構造物であることにも配慮し、都市近郊でも自然環境の中でも違和感のない魅力的な外観デザインをほどこした。

 富士重工業は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)より定格出力100kWの「離島用風力発電システムの技術開発」を受託するなど、数年前より風力発電システムの開発を進めてきたが、本システムの開発もNEDOの実用化技術開発費の助成を得て行っているものである。
  売電事業を目的とした風力発電の現状は世界的に大型化の一途をたどっているが、売電事業が成立するだけの風力が確保できない地域や諸々の条件から大型機建設が困難な市町村、施設電源を必要とする民間企業、更には政府開発援助(ODA)に対しては、小型クラスの需要が見込めると、同社では判断している。「スバル小型風力発電システム」はその先鋒となるものであり、消費電力の軽減に貢献することに加え、環境に対する啓蒙活動のシンボルとしても活用できることをアピールしていく。

 今後、試作機での性能試験を実施したあと、来春には市販の予定(販売価格は未定)である。将来的に海外市場への進出も視野に入れ、今後の開発の中で行う制御システムの簡素化などにより、低コストで、高い信頼性の風力発電システムの開発を目指してゆく。

<スバル小型風力発電システム 仕様>
基本様式(アクティブ制御形態を示す)
軸 方 向:水平軸
ブレード数:3枚
ロータ位置:アップウインド
ロータ直径:15mφ
ハ ブ 高 さ:22m
定 格 出 力:40kw
発電機形式:永久磁石式多極同期発電
回転速度制御:可変速制御
定 格 風 速:11m/sec
カットイン風速:2m/sec
カットアウト風速:25m/sec
極 値 風 速:70m/sec
回 転 速 度:8~74rpm
出 力 制 御:アクティブピッチ
ヨ ー 制 御:アクティブヨー
主ブレーキ:ブレードフェザー
緊急ブレーキ:主軸ブレーキ
.......... "

離島用風車から大型ダウンウィンド風車へ 富士重工株式会社-----p.4-----NEDO,2010

"..........
「SUBARU」風車は、2000年の40kW風車販売以来、40kWや100kW風車は累計21機を出荷しています(2010年10月現在)。これらは離島のみならず山間地や大型ショッピングセンターなどへの出荷もされています。海外ではミャンマーにも1機納入されました。また、2005年の2MW風車発売以降は2MW風車が24機出荷され、さらに2011年までに34機が出荷予定となるなど、近年の地球温暖化問題への意識の高まりもあり、大型風車への需要が急速に高まっています(同)。
.......... "

追加情報



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コメント

大野和美さん

 コメントありがとうございます。必ずバッテリーが必要と考えているのは日本のみだという指摘は数年前からあります。確かに再生可能エネルギーがあるていど普及した段階から蓄電池などを備えているのが好ましいが、極端な話。
 コストだけ考えても
 各局面の需要の中での再生可能エネルギーの割合が少なければ、弊害があれば高いバッテリーなどを導入するよりは、捨電のほうが合理的であり安価ということもあります。

 また、こんな研究もあります。

米国立再生可能エネルギー研究所 National Renewable Energy Laboratory、電力網は従来の研究よりも不安定化の恐れなく大量の再生可能エネルギーを受け入れることができるという研究成果を発表-----ソフトエネルギー、2010/07/09
http://greenpost.way-nifty.com/softenergy/2010/07/national-renewa.html

 また、蓄電池だけでなく”揚水水力”、”夜氷”、”プレッシャーバック”などの別の方式のシステムの研究と発展にも目を配る必要があります。

・IEEE、スマートグリッドにおける二次電池やフライホィールなどのエネルギー貯蔵技術に関するガイドラインの検討を本格化-----ソフトエネルギー、2010/11/05
http://greenpost.way-nifty.com/softenergy/2010/11/ieee-97af.html

コメント遅くなりました。
グリーンポスト 恒任とうじ

投稿: GreenPost | 2012/10/18 10:47

風力発電、メガソーラー太陽光発電等には必ずや大容量蓄電池が必要と思いますが、風力発電30基分ではどれくらいの大容量蓄電池が必要ですか?教えてください。また、メガソーラー発電ではどうですか?

投稿: 大野和美 | 2012/10/14 14:46

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