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フレキシブルなCIGS太陽電池で効率17.7%を達成 / プレスリリース 産業技術総合研究所

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-----image(pop up ; ”セラミックス基板(左)およびポリマー基板(右)を用いたフレキシブルCIGS太陽電池 ”) & text : 産業技術総合研究所、 2008年7月16日発表より

" 「貼れる」高性能な太陽電池シールも可能に
ポイント
・非シリコン系材料(CIGS薄膜)を使った「曲がる」「軽い」太陽電池。
・フレキシブルCIGS太陽電池で最高のエネルギー変換効率。
・曲面への設置や、高性能なモバイル太陽電池の実現に大きく前進。

概要
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)太陽光発電研究センター【研究センター長 近藤 道雄】化合物薄膜チーム 仁木 栄 研究チーム長(副研究センター長)と石塚 尚吾 研究員は、帝人株式会社(以下「帝人」という)の協力を得て、非シリコン系材料であるCIGS薄膜を用いたフレキシブル太陽電池のエネルギー変換効率を飛躍的に高める技術を開発した。この技術によりセラミックス、金属箔、ポリマーなど様々なフレキシブル基板を用いた高性能な太陽電池の作製に成功した。

 銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)からなる半導体材料CIGSを用いた太陽電池は、光電変換層の厚さを数μmと薄くできる。この利点を活かし、曲面への設置や持ち運びが可能な、軽量でフレキシブルな太陽電池への応用が期待されている。これまでフレキシブルCIGS太陽電池の高性能化は困難であったが、今回、新しいアルカリ添加制御技術の開発、およびポリマー基板の新しいハンドリング技術の開発を行い、フレキシブルCIGS太陽電池のエネルギー変換効率を大幅に向上させた。
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開発の社会的背景
 深刻化する環境問題や高騰を続ける原油価格への懸念などから、太陽光発電をはじめとする新エネルギーへの期待と関心はますます高まっている。

 CIGS太陽電池は、(1)変換効率が高い、(2)経年劣化がなく長期信頼性が高い、(3)黒一色で意匠性に優れる、(4)耐放射線性に優れ宇宙空間など特殊な環境にも対応できるなど、優れた特長を持つ。また、エネルギーペイバックタイム(EPT)はおよそ1年と多結晶シリコン太陽電池の約半分程度であり、低コスト化も期待できる。すでに産業としての実用段階に移行しており、国内企業によるパネル型太陽電池モジュールの量産販売が2007年より開始されている。

 CIGS太陽電池のもう1つの特長は、光電変換層の厚さを数μmと薄くできることである。薄膜化により原料の使用量を少なくし、曲げることもできる。フレキシブルな高性能太陽電池が実現すれば、曲面への設置や、軽量、モバイル性といったニーズに応えることができ、太陽光発電の更なる用途拡大と普及が期待できる。

研究の経緯
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研究の内容
 フレキシブルCIGS太陽電池の高効率化に必要とされる技術課題の一つに、CIGS光吸収層へのアルカリ添加の問題があった。ナトリウム(Na)などのアルカリ金属はCIGS太陽電池において、ホールキャリア密度の増加、開放電圧の増大など、性能向上に不可欠な不純物(ドーパント)として知られる。フレキシブルCIGS太陽電池の高性能化のために、これまでに、セレン化ナトリウム(Na2Se)やフッ化ナトリウム(NaF)などのアルカリ化合物を光吸収層の製膜前や製膜中、または製膜後に供給するアルカリ添加手法が試されてきた。しかし、このようなアルカリ化合物の多くは潮解性があるなど、物性的に不安定で取り扱いが難しく、再現性良く性能を向上させることはできなかった。

Fig1

-----image(”図1 今回開発した高効率フレキシブルCIGS太陽電池の構造。
CIGS光吸収層へのアルカリ供給源として、裏面電極層下部にケイ酸塩ガラスの極薄膜層(ASTL)を形成した。
図3に示されるようなグリッド電極は、表面透明電極層と反射防止コーティングの間に蒸着アルミニウムなどで形成する。”) : 同リリースより
 産総研では、図1に示すように、裏面電極層を形成する前に、安定なアルカリ化合物であるケイ酸塩ガラス層(ASTL:Alkali-silicate glass thin layer)を基板上に形成し、この層の製膜条件の制御により、裏面電極層を通過してCIGS光吸収層に取り込まれるアルカリ量を制御する技術を開発した(以下「ASTL法」という)。この技術により再現性良く、しかも簡便にアルカリ添加を行うことができ、CIGS太陽電池のエネルギー変換効率の大幅な向上が実現した。表面が平滑なセラミックスを基板として、ASTL法を用いて作製したフレキシブルCIGS太陽電池は、小面積セルの真性変換効率として17.7%を達成した。また表面がやや粗いチタン箔を基板に用いた場合でも17.4%を達成できた。17.7%(図2)は、現在までに報告されているフレキシブルCIGS太陽電池の効率としては最も高い値である。

図2(略)

Fig3

-----image(pop up ;”図3 フレキシブルCIGS太陽電池 (左)セラミックス基板(右)ポリマー基板 ”)

また、フレキシブルな基板材料として、軽量で絶縁体であり、しかも安価なポリマーが注目されている。しかし、CIGS光吸収層は500℃以上の高温で製膜されると高いエネルギー変換効率を発揮するが、ポリマーを基板に用いる場合、400℃程度で製膜しなければならない。またポリマー基板のハンドリングは難しく、ポリマー基板を用いたCIGS太陽電池で高いエネルギー変換効率を得ることは困難であった。世界でも12%以上のエネルギー変換効率の報告例はこれまでに2、3例しかない。

 今回、帝人が開発したポリマーフィルムはガラス基板上にスピンコートによって形成されたもので、このポリマーフィルム上にCIGS太陽電池を作製した後、図3(右)に示すようにガラス基板からフィルムを簡単に剥がすことができる。このポリマーフィルムを基板として、ASTL法を用いて作製したフレキシブルCIGS太陽電池ではハンドリング性が向上しただけでなく、アルカリ添加効果による開放電圧や曲線因子の大幅な向上が見られ、真性変換効率14.7%を達成した(図4)。なお、CIGS光吸収層は400℃で製膜した。このエネルギー変換効率はポリマー基板を用いたCIGS太陽電池の効率としては、現在のところ最も高い効率である。またこのポリマー基板を用いると、パネル型太陽電池モジュールと共通の製造ラインプロセスを利用でき、ロール・ツー・ロール方式のようなフレキシブル太陽電池専用の製造装置を新たに導入しなくてもすむというメリットもある。

図4以下
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今後の予定
 今回、小面積のフレキシブルCIGS太陽電池で実現した高効率化技術を、実用レベルのサブモジュールサイズまで拡大したものに応用し、スケールアップに伴う集積化プロセスや歩留り向上化などの技術課題の解決に向け取り組んでいく。
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コメント
 産総研がフレキシブルなCIGS太陽電池で効率17.7%を達成。これは大きなニュースです。また、シールのようにガラスなどに張れる太陽電池を可能にした太陽電池の加工、製造方法により、新たな利用の方法をも予感させるものです。

 次世代太陽電池への期待が高まる中で、こんなニュースが、、、、

太陽光発電は28年度に19年度比23%減 民間調査機関、国内エネルギー関連市場調査-----MSN産経ニュース、2008.7.21

 富士経済の調査結果に関する記事だが、競争激化、低価格化により太陽光発電の市場そのものは、10年後に頭打ちと読める内容になっているようです。現物をみていないので、なんともですが、、、、明るいニュースではないですね。
 とはいえ、こうした予想を上回るようなイノベーションを実現するような開発状況も生まれないとは限りません。技術革新が現実のエネルギーの世界でどんな貢献と可能性を開いていくのかについては、明るい見通しを語る人もいます。さて、、、?(t_t)



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